11月20日に開幕するFIFAワールドカップカタール2022。2010年大会のファイナリストで、過去3度のファイナリスト経験があるオランダ代表の戦術、予想フォーメーション、予想スタメンを紹介する。

【オランダ代表 カタールW杯2022メンバー】

GK

ユスティン・バイロウ(フェイエノールト)
レンコ・パスフェール(アヤックス)
アンドリース・ノペルト(ヘーレンフェーン)

DF

フィルジル・ファンダイク(リヴァプール)
ナタン・アケ(マンチェスター・シティ)
デイリー・ブリント(アヤックス)
ユリエン・ティンバー(アヤックス)
デンゼル・ダンフリース(インテル)
ステファン・デフライ(インテル)
マタイス・デリフト(バイエルン)
タイレル・マラシア(マンチェスター・ユナイテッド)
ジェレミー・フリンポン(レヴァークーゼン)

MF

フレンキー・デヨング(バルセロナ)
デイビー・クラーセン(アヤックス)
トゥーン・コープマイネルス(アタランタ)
マルテン・デローン(アタランタ)
ケネト・テイラー(アヤックス)
シャビ・シモンズ(PSV)

FW

ステフェン・ベルハイス(アヤックス)
コーディ・ガクポ(PSV)
メンフィス・デパイ(バルセロナ)
ステーフェン・ベルフワイン(アヤックス)
フィンセント・ヤンセン(ロイヤル・アントワープ)
ルーク・デヨング(PSV)
ノア・ラング(クラブ・ブルッヘ)
ワウト・ウェクホルスト(ベシクタシュ)

ピンチを救ったオランダの名将

4年前は欧州予選敗退で本大会出場を逃したオランダ。そこから二度の監督交代を経て就任したフランク・デ・ブール前監督は、昨年の欧州選手権のラウンド16でチェコに0-2の敗戦という“失態”で解任となった。火急の事態でオランダを救ったのは2014年のブラジル大会で3位に導いたルイス・ファン・ハール監督だった。

経験豊富な指揮官のもと、欧州予選では同組のトルコとノルウェーを上回り、本大会にストレートインを果たした。そして抽選会ではポット2(出場国のランク分けで2番目のグループ)ながら、開催国であり本大会初出場となるカタールのいるA組に入った。組み分けも日程も有利なものになったといっていい。

これまで“空飛ぶオランダ人”ことヨハン・クライフを擁した1974年の西ドイツ大会、さらに4年後のアルゼンチン大会。そして2010年の南アフリカ大会と3度の準優勝を経験しているが、いまだワールドカップ優勝はない。今度こそは優勝したいというのは、すべてのオランダ人に共通する思いだろう。

超ワールドクラスのセンターライン

ストライカーにはメンフィス・デパイ(バルセロナ)、中盤にはフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)、センターバックにフィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール)という世界に誇る巨星が各ポジションにいるのは強みとなる。

オランダというと4大リーグのビッグクラブに所属する選手でスタメンがほぼ埋まるのが、過去数大会の傾向だった。ただし、今回の主力メンバーの多くは“国内組”となっている。

FWステーフェン・ベルフワイン(アヤックス)、トップ下を争うデイビー・クラーセン(アヤックス)とコーディ・ガクポ(PSV)、貴重なワールドカップ経験者の1人である左サイドのデイリー・ブリント(アヤックス)などがそうだ。

オランダ王者のアヤックスから多くの選手が選ばれているのは連携面においてはプラスに働くだろう。

パスを繋いで攻める戦い方がベース

ファン・ハール監督になってからは4-3-3がメインだったが、ここ最近は3-4-1-2という形をテストしている。

2014年のブラジル大会の時はある種、美しいサッカーという理想を捨ててロングボールと縦への速い攻撃を多用していたが、今回はしっかりとパスを繋いで攻める戦い方がベースになるはずだ。

そのため3バックもナタン・アケ(マンチェスター・シティ)とユリエン・ティンバー(アヤックス)というビルドアップ能力が高く、相手のプレスを外せる選手をファン・ダイクの左右に並べている。

中盤はデ・ヨングとトゥーン・コープマイネルス(アタランタ)が、安定したパスワークでトップ下のクラーセンやガクポをサポートする。

右ウイングバックのデンゼル・ダンフリース(インテル)は縦への推進力と単騎での突破力があるが、多くの場合はインサイドの選手と近い距離感でコンビネーションを生かす。短い距離のパスを多用しながら、中央でもサイドでも攻め切れるのが理想だ。

ファン・ハール監督もチームの仕上がりには自信を持っているだろう。前回大会に出られていないだけに、ワールドカップ経験者が少ないのは仕方ない。それでも、若い選手たちが試合を重ねる中で自信をつけて、チームが大きく化ける可能性は十分にある。

■オランダ代表予想フォーメーション(3-4-1-2)

FW

CF:ベルフワイン
CF:デパイ

MF

トップ下:クラーセン
右ウイングバック:ダンフリース
右セントラル:コープマイネルズ
左セントラル:F・デ・ヨング
左ウイングバック:ブリント

DF

右センターバック:ティンバー
中センターバック:ファン・ダイク
左センターバック:アケ

GK

パスフェール

文・河治良幸