現地時間11月20日、カタール・ワールドカップが開幕。世界最大のスポーツイベントの開会式がアル・バイツ・スタジアムで行なわれた。

 開幕カードであるホスト国カタール対エクアドル戦に先立って行なわれたオープニングセレモニーには、韓国出身の人気グループBTSの一員であるジョングクや、ハリウッド俳優のモーガン・フリーマンが出演するほか、中東文化の色濃い演出も見られた。

 その様子を、米スポーツチャンネル『ESPN』のガブリエル・マルコッティ記者は自身のSNSで「ラクダとの出会いを経て開会式を見てる。こんなにラクダがいるオープニングセレモニーは初めてだ!からかったほうが良いのかもしれないけど、これは割と良い感じ」と発信している。

 英スポーツチャンネル『Sky Sports』のロブ・ハリス記者は、31兆円を投じたとされる今回の大会を「信じられない規模だ」と感嘆。さらに開会式の終盤で上がった圧巻の花火の風景を投稿し、「アメージング」と伝えた。これにファンからは「リッチなのは良くわかる」「お金…カネ…すべて金だ」「札束さえ打ち上げるんじゃないか」といった声が寄せられている。
【動画】スタジアム外側から見た圧巻の花火! BTSのジョングクがオープニングアクトを含めた開会式の様子をチェック
 また、米紙『The NewYork Times』は「ドーハのアジアンタウンには、W杯を作った労働者たちが集まった。何千人もの出稼ぎ労働者が、自分たちの仕事の一部を眺めるために集まった」と報じた。

「華やかさからは何マイルも離れた場所に、何千人もの労働者たちが駐車場に集まっていた。ほとんどが夜勤明けの男性。自分たちを認めない国に声援を送った。試合のキックオフ前には1万3000人収容のクリケット競技場に押し寄せた。巨大スクリーンでより良い位置を取るために皆が必死だった」

 カタール大会の開催に当たっては、移民労働者を取り巻く環境が問題視され、公表されている死者数を上回る数百人の犠牲が出たと“告発”する海外の報道もある。

 直近になっていくばくか改善されたようだが、決して恵まれているわけでもないというのも実情のようだ。

「ここカタールは移民の国であり、遠方からの貧しい労働者が大半を占める。彼らは富裕層のための国と経済を築いてきた。市民権を得るチャンスはほとんどない。移民労働者は使い捨てにされ、平等な権利や声を上げる価値がないとみなされる。感謝されず、低賃金で命にかかわる仕事をする。観光客やカタール人から離れ、駐車場の影に隠れるようにしているのが、その境遇を物語っていた」

 カタール大会を取り巻く光と影。海外メディアは驚きを露わにしつつも、それを取り巻く状況に冷静な視線も向けている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部