カタール・ワールドカップ(W杯)のグループH第1節、ポルトガル代表vsガーナ代表が24日に行われ、ポルトガルが3-2で競り勝った。

今大会の優勝候補に挙がるポルトガル。通算5度目の本大会出場となるクリティアーノ・ロナウドの最後の大舞台としても注目が集まる今大会の初陣で、フェルナンド・サントス監督は[4-3-1-2]の布陣を採用。GKにジオゴ・コスタ、4バックは右からカンセロ、ルベン・ディアス、ダニーロ、ラファエル・ゲレイロ。中盤はブルーノ・フェルナンデス、ネヴェス、オタビオのトリプルボランチにベルナルド・シウバがトップ下、2トップにロナウドとフェリックスが並んだ。

一方、2大会ぶりの出場となるアフリカ屈指の強豪ガーナは、2010年の南アフリカ大会以来のグループリーグ突破を目指す。この試合ではトーマスやアンドレ・アイェウ、クドゥス、イニャキ・ウィリアムズというワールドクラスのタレントをスタメン起用も、並びを[5-3-2]の守備的な布陣に変更して臨んだ。

後ろ重心で慎重な入りを見せたガーナに対して、立ち上がりからボールの主導権を握って押し込むポルトガル。開始5分にセットプレーの二次攻撃からオタビオがファーストシュートを放つと、その数分後には史上初の5大会連続ゴール達成が期待されるエースに大きな見せ場。

10分、相手陣内中央でのボール奪取からオタビオが中央でゴール前に飛び出すロナウドに絶妙なスルーパスを供給。オフサイドラインをかいくぐった37歳だが、ファーストタッチが大きくなってしまい、右足のシュートはGKアティ=ジギにうまく間合いを詰められてゴールとはならず。

今大会の主役にいきなり見せ場が訪れたが、以降試合はガーナが望むスローテンポで進み、時間の経過と共に膠着状態に陥っていく。

ガーナ得意のカウンターを封じ込めるポルトガルだが、攻撃では序盤の決定機以降はサイドを起点に攻め手を窺う場面が多く、ゴールの匂いをさせられない。そういった中、31分には左サイドに流れたフェリックスからの浮き球パスをボックス内でDFと競ってマイボールにしたロナウドが右足のシュートを突き刺すが、ここは競り合いの際の微妙なファウルを取られてゴールは認められず。

ポルトガルがシュート7本枠内2、ガーナがシュート0本とスタッツ上は前者が圧倒したものの、試合はゴールレスで後半に突入。

後半はガーナがよりアグレッシブな入りを見せると、前半にはほぼ見られなかった厚みのある攻撃を仕掛けていく。そして、54分と55分にはレンジは長いものの、セイドゥ、クドゥスと続けてシュートシーンを作り出した。

やや守勢の時間帯が続くポルトガルはオタビオが足を痛めて56分にウィリアム・カルヴァーリョを投入。カルヴァーリョがアンカー、ネヴェスがインサイドハーフにポジションを移す。

以降、試合はほぼイーブンな展開に戻ると、千両役者が決定的な仕事を果たす。62分、背後へのスルーパスに反応したロナウドがボックス内でDFサリスと交錯。微妙な判定ながらもこの接触プレーでポルトガルにPKが与えられる。キッカーはもちろん背番号7が務め、相手GKにコースを読まれながらも強烈なシュートをゴール左上に突き刺し、65分の先制点とした。

ロナウドのW杯史上初となる5大会連続ゴールによって均衡が破れた試合。これでゴールが必要となったガーナはリスクを冒して前に出ると、後半に入って攻撃面で存在感を示していたクドゥスが突破口を開く。

73分、左サイドでの味方のパス交換の際に中央から斜めのランニングでボックス左に抜け出したクドゥスがゴールライン際で折り返すと、DFダニーロがクリアし切れずにゴール前へ流れたボールをアンドレ・アイェウが冷静に流し込んだ。

両チームのキャプテンのゴールで1-1の振り出しに戻った試合だったが、この交代直後のポルトガルの交代策で一気に流れが変わる。

ネヴェスを下げてレオンを投入し、並びを[4-3-3]に変更したポルトガルは78分、中盤でのボール奪取からカルヴァーリョ、B・フェルナンデスと繋ぎ右ウイングにポジションを移したフェリックスにスルーパスが通る。そのままボックス内に持ち込んだフェリックスはGKの寸前でチップキック気味の右足シュートをゴール左隅へ流し込み、勝ち越しに成功する。

さらに、80分にはフェリックスの身体を張った守備からショートカウンターに持ち込むと、中央を持ち上がったB・フェルナンデスがボックス手前まで運んで相手守備を引き付けてボックス左に走り込むレオンへラストパス。これをレオンが冷静にゴール右下隅へ流し込んだ。

システム変更がもたらした連続ゴールで勝利を確信したポルトガルベンチは、88分に殊勲のフェリックス、ロナウド、ベルナルド・シウバを下げてパリ―ニャ、ジョアン・マリオ、ゴンサロ・ラモスと守備的な交代で逃げ切り態勢に入る。

しかし、諦めないガーナがここから粘りを見せる。89分、左サイドの背後へ飛び出したババがDFを一瞬振り切って強引に浮き球の折り返しを入れると、ゴール前にフリーで入り込んだブカリのヘディングシュートがゴール右隅に決まる。

このゴールで一気に緊迫感が増した9分の後半アディショナルタイムは白熱の攻防に。試合終了間際にはGKジオゴ・コスタが背後のイニャキ・ウィリアムズに気付かずにボールをピッチに置いてリスタートを試みた際にボールを奪われる失態を演じたが、ここはバランスを崩してシュートには至らず。

最後の最後で肝を冷やしたものの、ガーナとの打ち合いを制したポルトガルが3-2の勝利で白星スタートを飾った。なお、連勝を目指すポルトガルは28日にウルグアイと、初勝利を目指すガーナは韓国と対戦する。

ポルトガル代表 3-2 ガーナ代表
【ポルトガル】
C・ロナウド(後20[PK])
フェリックス(後33)
レオン(後35)
【ガーナ】
A・アイェウ(後28)
ブカリ(後44)