セットプレイから試合は動いた

MATCH 29 グループG 第2節 
2022年11月28日 13:00キックオフ(会場:アル・ジャノブ・スタジアム)
カメルーン 3-3 セルビア

初戦を落とした者同士の対戦となったカメルーン対セルビアの一戦。第1節では同じグループGのブラジルが、セルビア相手に圧倒的な強さを見せたこともあり、この両チームが狙うべきはグループステージ2位通過と見込まれる。勝利をあげて、スイスの後を追いかけたいところだ。

両チーム共に、初戦から少しメンバーを変えてこの試合に臨んだ。カメルーンは守護神オナナがベンチ外となり、代わってエパシが先発出場。一方のセルビアも初戦で出番のなかったコスティッチがスタメン入りを果たしたが、エースFWヴラホビッチは2戦連続のベンチスタートとなった。

試合は序盤からセルビアがチャンスを作る。ブラジル戦であまり見せ場を作れなかった長身FWアレクサンダル・ミトロビッチがカメルーンゴールに襲いかかった。11分にはタディッチとのコンビネーションから右サイドを抜け出すと、相手DFを1人かわし、左足で巻いたシュートを放つ。これは惜しくも左ポストを直撃した。

17分にはそのミトロビッチに絶好のチャンスが訪れる。タディッチが左サイドの深い位置からクロスをあげると、カメルーンDF陣が処理に手間取り、ミトロビッチの目の前にこぼれ球がやってくる。右足で叩いたシュートは枠の左へと外れてしまい、セルビア代表がリードを得ることはなかった。

やや押され気味だったカメルーンも隙を見てセルビアゴールに迫る。19分にはクンデが後方からのパスに抜け出し、右サイドを突破。相手DFと体をぶつけながらパンチのあるシュートを放ったが、これはバニャ・ミリンコビッチ・サビッチがセーブした。

その後もタディッチやコスティッチを中心とするセルビアの攻撃が続いたが、29分、カメルーンが数少ないチャンスをものにする。左からのコーナーキックをヌクルがニアでそらすと、カステレットがファーで詰め、先制点をゲットした。

リードを許したセルビアは、引き続きサイドを起点に同点ゴールを目指す。するとこの姿勢が前半アディショナルタイムに実を結んだ。フリーキックからタディッチがふんわりとしたクロスをゴール前へ送ると、高々とジャンプしたパブロビッチが頭で合わせ、試合を振り出しに戻す。

さらにその2分後、エリア手前でパスを受けたセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチが左足でミドルシュートを沈め、瞬く間にセルビアが逆転。1-2というスコアでハーフタイムを迎えた。

[W杯マッチ29]カメルーンの10番が途中出場から試合を一変 一時はセルビアが逆転するも3-3のドローで決着
ミトロビッチは前線のターゲットとして機能しただけでなく、自らゴールも決めた photo/Getty Images

カメルーンの背番号10アブバカルが試合の流れを変える

後半に入ってもセルビアの勢いは止まらない。53分には美しいパスワークから追加点を奪う。左サイドでカウンターを発動すると、ドリブルで中央を持ち上がったミトロビッチが左サイドのコスティッチへと展開。コスティッチからのマイナスのクロスは、中央にいたセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチがワンタッチで右サイドへと叩き、フリーのジブコビッチへ。再びボールが中央へ折り返されると、ゴール前にポジションを取っていたミトロビッチがきっちりと押し込み、セルビアがリードを2点に広げた。

追いつきたいカメルーンは、55分に攻撃の切り札を投入。10番アブバカルがピッチに姿を現し、試合の流れを大きく変える。60分、右サイドを抜け出したアブバカルは相手DF2人かわしてシュートまで持ち込む。これはブロックされたが、いきなり得点の匂いを感じさせた。

そして63分、アブバカルが反撃の狼煙を上げる。再びディフェンスララインの裏を取ると、後方からのスライディングを冷静に捌きつつ、見事なループシュートでキーパーとの1対1を制する。一度はオフサイドと判定されたが、VARによるチェックでこれが覆り、ゴールが認められた。

立て続けの66分、アブバカルが再三チャンスを作る。これまたギリギリのタイミングで右サイドを抜け出すと、中央へグラウンダーのクロスを送る。待ち構えていたチュポ・モティングがこれを押し込み、カメルーン代表が同点に追いついた。

その後は両チーム共に疲労の色が濃くなっていき、決定的なチャンスを作ることはできなくなっていった。終盤の89分にはセルビアが右サイドから崩し、エリア内でミトロビッチがシュートを放つがこれは惜しくも枠の右。後半アディショナルタイムには、ミトロビッチがキーパーと1対1の場面を迎えるが、浮かせたシュートは飛び出したエパシが体を張ってセーブした。

怒涛の展開を見せたこの一戦は、3-3のドロー決着となった。両チームともに勝ち点1の獲得に留まり、決勝トーナメント進出に向けて暗雲が立ち込める。特にブラジルとの対戦を残すカメルーンはかなり厳しい状況と言えるだろう。また、今回の戦いで一気に蓄積されたはずの疲労も気になるところ。次戦までにいかにリカバリーできるかが、グループステージ突破への鍵を握ることになりそうだ。

[W杯マッチ29]カメルーンの10番が途中出場から試合を一変 一時はセルビアが逆転するも3-3のドローで決着
セルビアの10番タディッチも多くのチャンスを生み出した photo/Getty Images

[スコア]
カメルーン 3-3 セルビア

[得点者]
カメルーン
29分 ジャン・シャルル・カステレット
63分 バンサン・アブバカル
66分 エリック・マキシム・チュポ・モティング

セルビア
45分(+1分) ストラヒニャ・パブロビッチ
45分(+3分) セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ
53分 アレクサンダル・ミトロビッチ

[ポゼッション]
カメルーン 37% セルビア 48% 中立15%

[シュート数]
カメルーン 13 セルビア 15

[枠内シュート]
カメルーン 8 セルビア 6

[イエローカード]
カメルーン 2枚
ニコラ・ヌクル
クリスチャン・バソゴグ

セルビア 2枚
ルカ・ヨビッチ
ニコラ・ミレンコビッチ

[レッドカード]
なし


[ラインナップ]
カメルーン
フォーメーション:[4-3-3]

監督:リゴベル・ソング

GK
デビス・エパシ(アブハ/サウジアラビア)

DF
ニコラ・ヌクル(アリス・テッサロニキ/ギリシャ)
コリンズ・ファイ(アル・タエー/サウジアラビア)
ジャン・シャルル・カステレット(ナント/フランス)
トロ・ヌフ(シアトル・サウンダーズ/アメリカ)

MF
アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサ(ナポリ/イタリア)
ピエール・クンデ(オリンピアコス/ギリシャ)
マルタン・オングラ(ヴェローナ/イタリア)

FW
カルル・トコ・エカンビ(リヨン/フランス)
エリック・マキシム・チュポ・モティング(バイエルン/ドイツ)
ブライアン・ムベウモ(ブレントフォード/イングランド)

交代出場
55分 マルタン・オングラ→バンサン・アブバカル(アル・ナスル/サウジアラビア)
67分 カルル・トコ・エカンビ→クリスチャン・バソゴグ(上海申花/中国)
67分 ピエール・クンデ→ガエル・オンドゥア(ハノーファー/ドイツ)
81分 アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサ→サミュエル・ウムグエ(メヘレン/ベルギー)
81分 ブライアン・ムベウモ→ジョルジュ・ケビン・エヌクドゥ(ベシクタシュ/トルコ)

セルビア
フォーメーション:[3-4-3]

監督:ドラガン・ストイコビッチ

GK
バニャ・ミリンコビッチ・サビッチ(トリノ/イタリア)

DF
ストラヒニャ・パブロビッチ(ザルツブルク/オーストリア)
ニコラ・ミレンコビッチ(フィオレンティーナ/イタリア)
ミロシュ・ベリコビッチ(ブレーメン/ドイツ)

MF
ネマニャ・マクシモビッチ(ヘタフェ/スペイン)
アンドリヤ・ジブコビッチ(PAOK/ギリシャ)
サシャ・ルキッチ(トリノ/イタリア)
フィリップ・コスティッチ(ユヴェントス/イタリア)

FW
アレクサンダル・ミトロビッチ(フラム/イングランド)
ドゥシャン・タディッチ(アヤックス/オランダ)
セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ(ラツィオ/イタリア)

交代出場
55分 ストラヒニャ・パブロビッチ→ステファン・ミトロビッチ(ヘタフェ/スペイン)
78分 ミロシュ・ベリコビッチ→スルジャン・バビッチ(アルメリア/スペイン)
78分 アンドリヤ・ジブコビッチ→ネマニャ・ラドニッチ(トリノ/イタリア)
78分 セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ→マルコ・グルイッチ(ポルト/ポルトガル)
90分(+2分) フィリップ・コスティッチ→フィリップ・ジュリチッチ(サンプドリア/イタリア)