[カタール・ワールドカップ・グループステージ第3戦]日本 2-1 スペイン/12月2日/ハリファ・インターナショナル・スタジアム
「(前田)大然くんが大外に居たので、ボールが残ると信じて入りました」
2大会連続の決勝トーナメント進出を決めた歓喜のスペイン戦後、殊勲の決勝ゴールを挙げた田中碧が得点シーンを振り返った。
「VARになった時は、正直ラインを割っているかと思いました。あそこに入っていくプレーは常に意識してやってきたので、現実になって良かったです」
前半はほとんどの時間帯で自陣に押し込まれ、11分に失点を許す苦しい展開だった。しかし後半の頭から三笘薫と堂安律を投入すると、一気に風向きが変わった。48分に積極果敢なハイプレスで伊東純也がボールを奪うと、堂安が左足を振り抜き同点に追いつく。さらにその3分後、堂安が縦に仕掛けてクロスを入れると、逆サイドで三笘が折り返し、最後は田中が身体ごとボールをゴールへねじ込んだ。一度はVARが介入し、折り返しの時点でボールがラインを割っていたかの審議が入ったが、無事ゴールが認められて逆転に成功。その後は最後まで失点を許さず、日本史上初めてスペインを下し、グループリーグ突破を果たした。
田中は劇的な勝利を次のように喜んだ。
「自分たちのやりたいサッカーで勝ったわけではないですけど、ワールドカップで勝つための最善策でした。厳しいグループのなかで勝ち残ったのは僕らの実力ですし、自信を持っていいと思います。また、勝ったのもそうですが、次のステージに行けることが一番です。前回コスタリカに負けて、いろいろな選手が批判を受けているのを見て、正直『同じ日本国民なのになぜ一緒に戦ってくれないんだ』と憤りを感じる部分もありました。だからこそ、全員で次の試合に立ち向かえるチャンスを掴めたのが嬉しいです」
また、田中はスペイン代表のプレーを実際に体感して、課題も感じたという。
「スペインの選手たちと対峙して『こういうところは巧いな』、『自分もこうしないといけないな』と感じる部分がありました。勝利したドイツ戦も含め、今後たくさん見返すでしょうけど、喜ぶだけでなくそういった課題も振り返って、より高いレベルを自分に求めていきたいです」
終盤に押し込まれた苦しい時間帯については「最後は打たせないということを意識していました。5バックにしたことで相手が外回しになり、間に入れられる回数も多くなかったので、守ろうと思えばスペイン相手にも守り切れるという意味では良かったと思います」と手応えを口にした。また、「個人的に、(マルコ)アセンシオが左足で持った時に五輪の失点シーンが頭をよぎって怖かったですけど、その時の経験がピッチで行きました。今後も今日の経験を生かしていきたいと思います」とコメント。東京五輪での戦いも、田中には確かに糧になっていたようだ。
ベスト16に進んだ日本の次の対戦相手は、名手のルカ・モドリッチを擁するクロアチアだ。18年のロシア大会で準優勝を果たした難敵だが、ドイツ、スペイン戦のような戦いができれば、再び国民に歓喜をもたらす可能性は十分にあるだろう。
初のベスト8へ、勢いに乗る田中の活躍に期待したい。
構成●サッカーダイジェスト編集部
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