[カタールW杯グループステージ第3戦]日本代 2-1 スペイン/現地時間12月1日/ハリファ国際スタジアム
ドイツ戦に続く魂のこもった劇的な勝利だった。ピッチ上には涙を浮かべる選手たちもいた。
現地時間12月1日、日本時間12月2日の早朝、日本はカタール・ワールドカップのグループリーグ第3戦のスペイン戦に挑み、2-1での逆転勝利を演じてみせたのだ。
前半は予想通り、スペインにボールを保持される苦しい展開。3-4-2-1を今大会初めてスタートから採用し、守備は5-4-1の形でスペインを迎え撃ったが、11分には左からのクロスをモラタに頭で合わされて先制を許した。
それでもチームの意志は統一していた。“1点のビハインドならなんとかなる”“後半に勝負”。だからこそ0-1でハーフタイムを迎えた時点で日本陣営に焦りはなかったのだろう。
それを表わすかのように、森保一監督は後半頭から堂安律、三笘薫を投入し、前線からのマンツーマンディフェンスで勝負にでる。
すると48分には左ウイングバックに入った三笘、CFの前田大然が連動して相手GKまでプレッシャーをかけ、GKのフィードを前に出た右ウイングバックの伊東純也がヘディングで相手と競り合いながらカット。ボールは堂安に渡ると、今大会、ノッテいる男は左足を振り抜いた。強烈なシュートがネットを揺らす。
劇的な同点弾で勢いを得た日本は一気呵成に攻め、51分には堂安の右からのクロスを三笘がギリギリの位置から折り返し、走り込んでいた田中碧が詰めて逆転。できすぎの感はあったものの、まさに狙い通りの試合展開だったと言えるだろう。
その後は再び5バックに戻し、ゲームをしっかり締めている。
ドイツ、スペインを破っての1位での決勝トーナメント進出だ。誇って良い素晴らしい結果と言えるだろう。日本中の多くの人が喜んでいるはずだ。
もっともドイツ、スペイン、コスタリカ、日本が同居し、2強2弱とされたグループEを勝ち抜いた印象を訊かれた際の田中碧の言葉も印象的だった。
「そこは結果論ではあるのかなと。2強2弱という構図は変わらないと思いますし、次に、4年後に、同じグループに入ったからといってどうなるか分からない。
でも今大会、勝てた自信がある。こういう積み重ねがあってこそ強豪国になっていく。最初から強い国はいない。こういう歴史、経験を積み重ねて世界から見て強豪国になっていくと思います。
そういう意味では、強くなったとは思わないです。でも、自分たちで強いと信じることは大事だと思います。周りの人がなんて言おうと自分たちは自分たちを信じることが大事だと感じました」
三笘薫も今大会のチームの戦い方について語る。
「ブロックを作って、自分たちが組織的に守備をすればチャンスがあるというところで、逆にコスタリカ戦(●0-1)は、自分たちがボールを持って崩せないという形は、今の日本サッカーの現状だと思いますし、ここをどう改善していくかは必須です。でも決勝トーナメントではドイツ戦やスペイン戦のような戦い方になると思うので、ここでの経験が生きると思います」
前半は最少失点で耐え、後半に一気に勝負に出る。組織的な守備をベースにしたサッカーで大きなサプライズを起こしている森保ジャパン。まだまだ課題はあるが、この“勝った経験”は、日本サッカーに代えがたい財産を残してくれたはずである。
現地時間12月5日(月)、日本時間では丁度日が回った12月6日(火)深夜0時に日本は悲願のベスト8進出を懸けてクロアチアと対戦する。新たな歴史を作るための自信、勢い、団結力は、今のチームに備わっている。8強進出を決めれば、日本サッカーはさらに階段を登ることができる。またとないチャンスが巡ってきたと言えるはずだ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)
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