自国の中国サッカーには悲観的な声も浮上
森保一監督率いる日本代表は、現地時間12月1日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第3戦で、スペイン代表相手に2-1と見事な逆転勝利でグループ1位通過を決めた。初戦のドイツ代表戦(2-1)に続き、W杯優勝経験国を破ったことに中国で大きな反響が出ている。
日本の勝利、そしてグループリーグ突破は、「アジア勢初の2大会連続決勝トーナメント進出」「韓国の6勝を超え、アジア勢W杯最多勝利(7勝目)」「アジア勢で初めてW杯で優勝経験国2か国に勝利」「初めてW杯で世界ランクトップ10に勝利(スペインは7位)」「スペイン戦のボール支配率17.7%は、勝利チームではW杯史上最低」と、記録ずくめだった。
中国の大手スポーツメディア「新浪体育」は、「8か月前に日本の森保一監督がドイツ、スペインに勝ってベスト8を目指すと発言したら、みんな笑い話にしていた」として、「今になって振り返れば、森保監督の予言は確固たる自信を持っての発言だった」と称賛。中国国営放送「CCTV」などで長くキャスターを務めた黄健翔(ファン・ジェンシャン)氏は、「日本サッカーがいかなる大言壮語を言っても、もう夢物語とあざ笑うことはできない」と語った。
中国版ツイッター「微博(Weibo)」でフォロワー71万人を誇り、日本サッカーに関する投稿を続けてきた星庭(シン・ティン)氏は、「感慨深い。2007年から日本サッカーについて書き始めて16年、Jリーグの実況を始めて10年、日本サッカー発展の一歩一歩を目の当たりにし、今夜1つの成果を見た。しかもまだ終わりでない。日本サッカーは発展し続け、サッカー少年からプロ選手、サポーター、スタッフ、皆がサッカー強国になるため努力し、アジアの中では抜け出した。実に羨ましい」と手放しで称賛した。
また、フォロワー155万人、中国サッカー専門誌「足球週刊」のライターが運営する韓国サッカー関連アカウント「韓国足球新聞」は、「日本の成功は育成だけでなく、サッカー界での“明治維新”。代理人や企業の協力で選手を欧州に送り込まなければ、強国相手にここまで戦えなかっただろう。2014年のブラジルW杯以降、日本はW杯で2度グループリーグを突破、東京五輪4位。中国サッカー界にとっては育成だけでなく、日本を学び選手を国外に送るべきかもしれない。日本の欧州移籍組で出番がない選手もいるが、それでも懸命に努力したのが日本の成功の鍵だ。中国の選手にこの意識がなく、クラブはオファーを拒否することしかできず、日本の育成だけに目を向けてもダメだ」と選手の積極的な海外移籍による全体的レベル向上を指摘している。
フォロワー580万人を超える中国人記者の李璇(リー・シュアン)氏は、「中国が日本に学ぶことは可能だが、日本のようになるのは難しい。違法行為で拘束された前代表監督や、朝令暮改のサッカー政策を考えてみれば分かる」と皮肉も交えて、W杯の陰で李鉄(リー・ティエ)前中国代表監督が検察に拘束されている件にも言及。多くの中国人ファンがW杯や日本の活躍に喝采を送っているのは、一向に希望の光が見えない自国サッカーから目を逸らしたいのかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)