イングランドVSフランスは現実的で地味な戦いになる?

FIFAワールドカップのような代表メジャートーナメントを制するには、攻撃と守備のどちらが重要なのだろうか。もちろん両方とも重要なのだが、どちらかといえば守備だろう。

10日にはFIFAワールドカップ・カタール大会準々決勝でイングランドと前回王者フランスが顔を合わせるが、英『The Guardian』は両チームのスタイルを高く評価している。

フランスを指揮するディディエ・デシャン、イングランドを指揮するガレス・サウスゲイトは現実的な戦い方を好む指揮官で、一見すると地味に映ることもある。しかし守備を重要視しているために安定感があり、大きく崩れることがない。同メディアが評価するポイントはそこにある。

スペインのティキ・タカのように美しいパスワークで相手守備陣を翻弄し、大量得点を狙うフットボールは魅力的だろう。しかし代表はクラブと違って集まれる機会が限られており、組織的な攻撃を構築するのが難しい。まずは守備を優先し、攻撃は強烈な個の能力での打開を試みる。これが代表チームにおける無難な戦い方だろう。前線にキリアン・ムバッペを抱えるデシャンは、まさにそのタイプと言える。

クラブでは超攻撃型サイドバックなども目立っているが、4年前のロシア大会でデシャンはリュカ・エルナンデス、バンジャマン・パヴァールと守備的な選手をサイドバックに配置していた。この手堅いやり方がロシア大会を制覇できた理由の1つでもある。

例えば4年前の準決勝・ベルギー戦はDFサミュエル・ウムティティがコーナーキックから挙げた1点を守り切って1-0の勝利を収めたが、同メディアは当時のフランスをディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリードのようなサッカーだったと振り返っている。

一方で黄金世代を揃えたベルギーは守備に難があり、それがEUROやワールドカップを制覇できていない理由なのかもしれない。

今大会もデシャンはFWアントワーヌ・グリーズマンに守備のタスクを課しており、攻撃ではムバッペの能力を最大限引き出しながらベスト8まで駒を進めている。

イングランドを指揮するサウスゲイトも手堅いフットボールを好んでおり、就任当初よりセットプレイの引き出しを増やすなどコツコツと得点を奪える技を磨いてきた。タレントが揃っている割に戦い方が地味と批判されることもあったが、一応は4年前のロシア大会でベスト4、昨夏のEURO2020で準優勝と結果は出ている。

タレント的にはフランスVSイングランドでは派手な打ち合いを期待してしまうが、国際大会をよく知る両指揮官は今回も慎重に入ってくる可能性が高い。しかし、その現実的スタイルこそ短期決戦を制する最良の道なのだろう。