自陣に戻っての守備など、MFとしてのプレーに称賛が集まる

 フランス代表MFアントワーヌ・グリーズマンはカタール・ワールドカップ(W杯)で攻守両面に渡る獅子奮迅のパフォーマンスを披露し、2大会連続の決勝進出に大きく貢献している。かつてはゴールを量産していた31歳の変貌ぶりを英メディアが称賛している。

 グリーズマンは2016年の欧州選手権で得点王(6得点)とMVPをダブル受賞。14-15、15-16シーズンにはアトレティコ・マドリードで2シーズン連続でリーグ戦22得点を決めるなど得点力を備えたアタッカーだ。しかし、バルセロナ移籍した19-20シーズンを境に得点数は徐々に減少傾向にあった。

 今大会も決勝戦に至るまでの6試合でノーゴールだが、その一方で3つのアシストを記録。準決勝のモロッコ戦でも巧みな抜け出しから先制ゴールの起点となった。ゴールは奪えずとも、確実にチームに貢献している。

 さらに、特にモロッコ戦では顕著だったが、守備でも存在感を発揮。敵陣内でチャンスに絡んだかと思えば、自陣深くまで戻って守備をする姿が散見された。同胞MFポール・ポグバや元コートジボワール代表FWディディエ・ドログバなどはグリーズマンが守備のスペシャリストであるMFエンゴロ・カンテ(チェルシー)のような役回りをこなしていると絶賛している。

 英紙「ザ・サン」も「キリアン・ムバッペは今大会でもフランスのスターだが、アントワーヌ・グリーズマンこそがアンサングヒーロー(陰の功労者)だ」とし、元イングランド代表FWウェイン・ルーニーやFWアラン・スミス、元ベルギー代表FWムサ・デンベレ、元アイスランド代表FWエイドゥル・グジョンセンらのようにFWからMFに転向したかつてのスター選手たちを比較に出し、グリーズマンの働きを称えている。

「アトレティコ・マドリードのスターはスペインでゴールが少なく、試練の2年間を過ごしてきた。しかし、31歳はカタールで新たに見つけたMFの役割で成功し、レ・ブルーの2大会連続決勝進出に貢献した。まだ得点はしていないが、3つのアシスト(2つはイングランド戦)を記録。グリーズマンが今後もMFとして定着するかは分からないが、今大会のパフォーマンスは称賛に値する」

 30歳を超え、円熟味を増したプレーを見せるグリーズマン。マンチェスター・ユナイテッドの歴代最多得点記録を保持しながら、キャリア終盤はMFとして活躍したルーニーのように華麗な転身を遂げるのだろうか。(FOOTBALL ZONE編集部)