台風後の雨で住民も危険な作業余儀なく、“想定外の被害”に東電の責任は?若新雄純氏「関東では想定外でも日本全体では想定内」
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 台風15号で多くの家屋に被害が出た千葉・鋸南(きょなん)町。上空から見渡すと、ブルーシートで覆われた屋根が多数確認でき、中には全体を覆うことができず骨組みがむき出しになったままの家も。

 台風の後も雨が降る日があり、自ら屋根に上り作業をする住民が相次いだ。そのため、千葉県では転落事故が多発しており、いすみ市では17日、94歳の男性が転落し死亡。これまでに3人が死亡し、52人がけがをしている。

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 18日、鋸南町役場でブルーシートを求める住民からは、「(自分で)屋根にかぶせる」「きのうの大雨で雨どいもないから大変だった。(ブルーシートを)いただいて、屋根に上がれる人がやってくれるかなと」といった声が聞かれる。千葉県は「作業は必ず専門業者に依頼を」と呼びかけているが、やむを得ない場合はヘルメットの着用と複数人で作業するよう促している。

 住民が切実に望む、安心して住むことができる家。ブルーシートによる応急対策は進んでいるが、町が心配しているのはこれから先の対応だ。

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 「皆さんお困りの中で、罹災証明や家の保険、見舞い金の関係もあると思うが、一段落して停電が復旧したところは、これから先の手続きを心配されている方、問い合わせが多くなっている。役場の今後の災害復旧に向けた対策に人材が必要」(鋸南町総務企画課・平野幸男課長)

 鋸南町では完全な復旧までに長い時間がかかるとみており、「物資が充足したのでふるさと納税を受け付けている。17日から義援金の口座も決まるので、そういった支援もお願いしたい」と県外への支援も求めている。

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 台風15号がもたらした“想定外の被害”。慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「地震に関しては、日本列島のほとんどの地域で『いつ自分のところに来るかわからない』と備えはできてきていると思うが、いま問題になっているのは台風や大雨の被害。気象予報士から聞いたのは、今回と同じレベルの台風や大雨は頻繁に日本に来ているけど、地域が限られていたと。沖縄や九州は台風が頻繁に直撃していて、でもなぜ大きな停電や浸水被害が起きないかというと、そのレベルに備えてインフラを整えたりマニュアルを作ってきたから。気象環境は100年単位でみると全然違うと言われていて、今大きく変わってきているらしい。自分の町には関係ないだろうと思わずに先手を打っていかないと、今後、日本のすべての地域で“想定外”が起きることになる」と指摘する。

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 また今回、被災者を苦しめているのがいまだ続く停電だ。若新氏は「現場で睡眠時間を削って復旧作業をされている方を否定するつもりは全くない」とした上で、「一番の問題は、東京電力本社が今回の事態に対して的確に予測や指示できていたかどうか。電気代は不足の事態に備えて、どんなことがあっても電気を供給できるよう高めに設定されていると言われている。だから、東電本社の社員は多めに採用され、普段何もない時でも高い給料で仕事はそんなに大変じゃないというのが有名だったが、こういう時に先手を打てるように頑張っていてほしかった。そのために高い電気代を払っているのだから。今回、千葉でここまでの被害があるとは思っていなかったかもしれないが、日本全国でみれば前例はある。つまり、関東エリア的には想定外でも、日本全体としては想定内。被害が起きてから現場で作業する関連会社の人に急に負担を強いるのではなく、全国の電力会社の本社の人には、大きな気象変動に備えて先手のインフラ整備をしてほしい」と苦言を呈した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

【映像】鋸南町の様子

 停電続く“東電の責任“を考える
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