実に強いプロ意識の持ち主だ。セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)は、2019シーズンの個人スコアトップ、つまりMVPを獲得。ただ2020シーズンはマイナスに終わり、チームも最下位に沈んだ。長期で見て確率の高い方を選択する、というのがスタンダードな考え方になる中、麻雀プロとしては100回どころか「20回で結果を出さないと意味がない」と断言する。チームが勝ってほしい時に勝つ。そんなエースとなるべく、個人2度目のMVPを堂々と宣言し、チームを初の優勝へと導く。
――2019シーズンの準優勝から一転、2020シーズンは苦しいものでした。
一年ずっと苦しかったです。去年が底だと思えば、今年はもう少し、去年よりは絶対いいシーズンになると思うので。弱気じゃないですけど、まずはレギュラーシーズンを勝って、セミファイナル、ファイナルに進出することが第一目標かなと思っています。
――チームメイトの近藤誠一選手もハードラックが多かったと言っていました。
他のチームに入るような手が一切入らなかった。展開も、いい展開が巡ってきたことがなかったかなと思います。
――2019シーズンの活躍があったことで、魚谷さんに対して周りが引いてしまった、ということは実感としてありましたか。
近藤さんの場合、戦える手もあったと思うんですが、私は戦いにいける場面すらほとんどなかったっていう印象で、手が苦しいといえばそれまでなんですけど。Mリーグ以外でも麻雀を打っていて、感覚がずれているのかなという部分があるので。一生懸命修正しようとしています。日々、麻雀の稽古はたくさんするようにしています。よく言われるのは、麻雀は100半荘、1000半荘打たないと強さの指標は出ないというじゃないですか。でも麻雀のプロは仕事というか、20回で結果を出さないと意味がない。結果が出ていないということを自分なりに捉えて、上振れ下振れみたいのもあると思うけどそれを加味して、悪い時でもできることはないかとか、いろいろ模索したうえで、自分のできることは最大限やったうえで、Mリーグを迎えたいと思っています。ロング(スパン)で考えるのが軸ですが、(短期間のリーグである以上それは)不可能なことなので、ある程度短期でも結果を出せるのが麻雀プロとして自分の役目かなと。
――和久津晶選手がチームを離れ、東城りお選手が入ってきました。その瞬間、どんな思いでしたか。
ある程度チームから話はあって、結構前から指名候補の人を聞いていたので、イメージはしていました。最終的な「この人で」というのもドラフトの2日前には聞いていました。
――チーム4人揃った雰囲気はどんなものですか。
みんな仲良く、大人なチームなので、誰が来てもきちんと仲良く付き合ってというか、ベタベタという感じじゃなく、向き合ってやっていけるチームだと思います。ラフなところがあるので、東城さんもいやすいと思います。
――東城選手を紹介すると、どんな選手ですか。
プレイヤーとして東城さんは、「すごい手入るな!」みたいな。彼女のポジティブメンタルというか、強いんですよね、明るい方に強い。手牌も明るく捉えていて、ある意味攻撃的、守備は雑な面もありますが、攻撃では人より運を掴めるという部分を持っている。人が掴めないものを掴めるタイプです。
YouTubeで一緒にやってたんですが、「りおちゃんは可愛いんだけど麻雀は弱い」と言ったことがあって、ここ最近まで未熟な部分もあったと思うのですが、一緒に勉強してダメな部分を指摘したりすると、吸収力が高くて、一緒に麻雀を打ってもいつも勝っていて。みなさんが思うより負けず嫌いで、正のエネルギーを持っているというイメージです。
(ドラフトで)名前が挙がった時には不安もあったんですが、今ではフェニックスの一員として、戦力になってくれると思っています。上からで申し訳ないんですけど、人気で(指名を)取られたと思っている方が多くて、実際そういう面もあると思うんですが、今だったら戦力として1シーズン戦えるんじゃないかなって思います。前とかなり違うと思います。ガラッと変わりました。たぶんいい影響を受けていると思うんですけど、オリれるようになった。行きっぷりはもともとすごいんで。あと、めちゃくちゃメンタルが強いと思います。批判的なコメントを見返してやりたいですね。私が言うのもアレなんですけど(笑)
――チームとしては優勝を目指すと思いますが、個人の目標はなんでしょう。
目指すはMVPです。チームメイトの誰かがたくさん勝っていると戦いやすい。下位にいるより気持ち的に戦いやすいので。負けていると取り返さなきゃという思いが働いてくる。昨期は今やれることを精一杯やるというのがやれたと思うんですが、どうしても後半戦に負担が出てきてしまうので。自分が勝つことでチームも楽になるし、ファイナルも近づくと思っているので、MVPを目指します。