リーグ最年長の66歳、KADOKAWAサクラナイツの沢崎誠(連盟)からは、後輩たちの成長を喜ぶ言葉しか出てこなかった。昨期、チームは惜しくも準優勝。ただ、個人30人中27位に終わった自分を除き、他の3選手は堂々のプラスだった。中でも内川幸太郎(連盟)、岡田紗佳(連盟)の成長ぶりには目を細めるばかりだ。「優勝を狙えるチームだなというのは去年の段階でできた。チームとして戦うには十分過ぎる」。自信たっぷりで、今期の初優勝を疑う様子はまるで見えなかった。
【中継】大和証券 Mリーグ2021 開幕式&開幕戦
――昨期チームは2位でしたが、個人としては大苦戦でした。振り返りをお願いします。
あっという間に終わってしまいました。スコア的にだいぶマイナスしましたけど、自分のスコアよりもチームのことを考えていました。みんな育ってきたので、精神的に良くなりましたね。見ていて安心だし、今年はもう自分のやりたいことをやっていればいいんだなという感じですね。
――2019シーズンと2020シーズン、自分の麻雀で何か違うところがありましたか。
特にありません。優勝が狙えるチームを作らなければいけないというところで、基礎的なことはもちろんですけど、精神的なところが大きいですよね。2年目は精神面がすごくできあがってきた。今年も、昨年のように3人とも成績が良いかというとそうではないと思いますけど。そうでなくても決勝まで行ける力はあるし、優勝を狙えるチームだなというのは去年の段階で、できたかなという風に思います。
内川幸太郎さん、岡田紗佳さんは強いですし、堀慎吾さんも新しく加入したんですが、強いことは強い。でも、ずば抜けて強いというわけではない。Mリーガーで標準的な強さ。来年も再来年もずっと勝てるというわけじゃないだろうから、悪い時には沈む。ただチームとして戦うにはもう十分過ぎます。監督が良かったというのもありますけど。内川さんと岡田さんは、1年目は押し返すということがすごく少なかった。2年目は全部できている。内川さんの方がちょっとやりすぎなくらいに押し返しています。
岡田さんもそう。1年目は先制リーチをかけられると放銃しないという麻雀でした。うまいというふうに見られるけど、勘違いをしていた。当たり牌を持っていない人は、何を切っても当たらない。1年間何度も言って、それがわかってきて、2年目は自分で押していけるようになったから、今すごくいい麻雀をやっているなと思います。ちょっとツキが悪い時は沈む。でも立ち直ることができる、立ち直すことができるチームになっている。叩く能力も高いので良いと思っています。
岡田さんは「自分は当たり牌を持ってきていない」ということが、やっとわかった。内川さんは1年目と同じようだけど、少し変わって押し返すことが多かった。僕の調子が悪くて、自分が代わりに叩かなくてはいけないという自覚が生まれたということです。数字的に僕はとても悪かったけど、チームでは内川さんや岡田さんが育ってきて、チームとしては僕がどうこうというより2人が伸びたということがすごいということですよね。
――具体的にロッカールームなどで教えていることはありますか。
教えるというのではなくて、一緒に映像を見ているとたとえば、僕が「これは絶対に行け」と言う。そういうのを聞いているから。たとえ放銃してもいいから、これは行かなくてはいけないとかね。行く人はトータル的に勝てる。
――ここが勝負どころというのが伝わってきたのでしょうか。
そうですね、自分で成長してきたということですね。それがとても大きいです。伸びてくるのを見るのが楽しいですよ、ましてやチームですからね。今期は自分のことだけをしていればいい。そういう面ではだいぶ楽になります。出来が悪ければ今期で終わりでもいいし(笑)。それが勝負の世界ですから、結果を残さなくてはいけないと思っています。
――今期は新たに選手を獲得したチームもあります。
自分のことだけ考えるようにしています。新しい人は新しい人で頑張ればいいんじゃないですかね(笑)。全然知らないという人はいない。やったことがない人は東城りおさんだけだと思う。伊達朱里紗さんは練習会でやりましたし、松ヶ瀬隆弥さんは団体対抗戦でやりました。
――昨年の準優勝から、1つ上に行くためにはどこを頑張りましょうか。
優勝するしないというのは紙一重のツキ。一番大事なのはいつもファイナルに行けるということ、これが優勝に近いと思うんですよね。過去のデータでいうと優勝、準優勝のチームはその次の年の最初のステージで負けてしまう。過去2年ありましたから、それだけにはならないよう、ファイナルには残るようにしたい。渋谷ABEMASはずっとファイナルに残っているので、そこだけはちょっと足を引っ張ろうかなと(笑)。