NTTは28日、全グループの社員を対象に、リモートワークを基本の勤務形態とし、転勤や単身赴任は原則廃止する経営改革を打ち出した。近年、就活生の企業選びにおいても転勤を伴う異動がないことは重要なファクターとなってきており、これを廃止したことで学生からの応募が増えた企業もあるという。
テレビ朝日の渡辺瑠海アナウンサーは「就職活動をしていた時、友人の中には関東圏で働けること、さらに転勤がないことを条件に会社を選んでいる子がいたので、実感として分かる。引っ越しの手間を考える人も多いと思う」とコメント。
NTTドコモの元執行役員でもある慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「アメリカの企業等の場合、例えば“アジアに行ってくれ”となると、給料がボンと増える。それは新しいミッションが与えられるからだ。日本企業はその点、給料は変わらないけど社命だから移れという具合に、全くロジカルに作られていなかった。
NTTも社命による転勤が当たり前の会社だし、実際に運用する現場はすごく大変だと思うが、澤田社長はこれまでの社長以上に意志を持って変えようとしているのだと思った。ただし“地域限定社員”とか“リモート前提社員”というような区別をするようになると、“そのコースでは幹部になれない”といったことが生じる可能性もある。それは人事からすれば“ラッキー”なことかもしれないが、転勤オッケーの社員とそうでない社員を区別せず、リモート前提の働き方が実行できるかが問われる」と話した。
一方、テレビ朝日の平石直之アナウンサーが「金融や商社、メーカー、新聞、NHKなど、大手はグローバルも含めて、どこに行かされるか分からない。それでも人気があるのも事実だ」と話すと、リディラバの代表の安部敏樹氏は「それがおかしいということだ」と指摘する。
「会社都合で住まいや家族の教育環境などを変えさせるのは、普通に考えて嫌ではないか。長期で見た場合、転勤は人権侵害ではないかくらいの議論が出てくる可能性もあると思っている。大手企業が人気なのは給与などが理由だと思うし、 ある種、高い給料の代わりだから、各地を回って経験を積むのが出世コースだから我慢しようということで、転勤の交換条件にしてきたんだと思う。それは嫌だ、だったら別のところに行くという優秀な人が増えてきているということだ。
出張の多い経営者にとってはリモートが増えるのは嬉しいだろうし、現場としても取引先と効率的にやりとりができるようになるので、全体の生産性が上がると思う。一方で、現場に行って張り付いたり、ノウハウを伝えていったりしなければならない仕事も必ず残る。次はそういう人たちへのサポートをどう手厚くしていくのかを考えることが必要だと思う」と話した。(ABEMA Prime』より)
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