将棋界は、将棋ソフト(AI)の誕生により、大きく世界が変わった。「人間対AI」という構図は、既にかなり昔のことのようにも語られ、今はソフトが提案する手に対して、それをどこまで人間が取り込むか、また取り込まずに人間として指しやすい手を選ぶかという、次のステージに進んでいる。棋士の中でも、早くからAI研究に取り組んだ千田翔太七段(27)も「人間はソフトに近づいていくものの、ソフトももっと強くなっていく。部分的には指せるようになっていきますが、全体的に見てどれくらい印象が変わるかと言えば、ちょっと疑問がありますね」と、コピーでもしたように全く同じ手を指すようになることもないという。そこで求められるのが、勝敗を大きく左右する終盤での「人間力」だ。