渡辺明名人、来年の激戦に備え新研究の日々 藤井聡太三冠には「竜王戦は一番注目している」
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 将棋界の序列1位に君臨する渡辺明名人(棋王、王将、37)が今、力を蓄えている。2021年は王将、棋王、名人という順にタイトルを防衛。三冠を維持したが、昨期失った棋聖を取り返すべく、藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)に挑戦したものの、0勝3敗のストレート負けを喫した。ここで渡辺名人の対局も一段落。年内は対局も少なく、まとまった時間が取れている。「上半期とは違うリズムでやっていますね」と、目先の対局の準備に追われることもないため、今は新たな研究やその準備を進めている。それも今期自分が保持する王将に藤井三冠が挑戦してくることも、十分に想定してのものだ。

【動画】「将棋日本シリーズ」二回戦第二局 渡辺明名人 対 木村一基九段

 タイトルホルダーとして番勝負が続くと、その対局への準備のために、じっくりとした研究が進められない。トップ棋士共通の悩みだ。その分、時間がある時にこそ、手間がかかることは済ませたい。渡辺名人はパソコンを買い換え、研究環境を変えた。「試行錯誤しているところです。来年の研究のやり方みたいなものを模索しています」と、具体的な研究を進める前段階を整えている。新しいパソコンにしろ、新しい将棋ソフトにしろ、それをどこまで使いこなし、さらに自分の将棋に取り入れるかも問題だ。膨大に提案される手を全て自分の血肉として取り入れるのは不可能。そこから自分に合うものを抽出し、実戦で使えるものに仕上げていくのが、棋士にとっての“研究”だ。

 準備を進める中、将棋界では藤井三冠と豊島将之竜王(31)との戦いが繰り返された。お~いお茶杯王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負。いずれも藤井三冠が制したが、豊島竜王も健闘。好勝負が繰り返された。「主に藤井さんが誰かと戦う時、相手の人の戦い方、戦略の立て方は参考にしますね。トップ棋士の中では、豊島さんが対藤井さんに一番成績を出しているので、どのあたりがうまくいっているのかはすごく注目しています」と、貴重なサンプルとして確認する。

 最新のサンプルとなるのが、10月から開幕する竜王戦七番勝負。藤井三冠が豊島竜王に挑戦するが、藤井三冠が勝てばまたも記録を更新する最年少四冠に。一方、豊島竜王も失冠すれば無冠に転落するだけに、このタイトルは譲れない。近い将来、タイトル戦でぶつかる可能性がある藤井三冠が、どんな将棋を指すのか。非常に重要な研究課題だ。

 例年1月には王将戦の番勝負が始まるだけに、時間があるといっても実際には、この3カ月で今後の研究に関する下地は固める必要がある。「時間を要することを下半期にやっておきたいですね。長期的なビジョンの組み立てを具体的にしていく時期です。タイトル戦とか詰まってくると、僕が今やっている長期的なことはできなくなる」と、のんびり休むような時間の余裕はない。序列1位を守り、藤井三冠を跳ね返す強大な壁となれるか。それは、この3カ月にかかっている。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】「将棋日本シリーズ」二回戦第二局 渡辺明名人 対 木村一基九段
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将棋日本シリーズ JTプロ公式戦
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第34期 竜王戦 七番勝負 第一局 1日目 豊島将之竜王 対 藤井聡太三冠
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