豊島将之竜王と藤井聡太三冠 至高の対決が生んだ大熱戦に棋士たちから「名局賞候補」と絶賛相次ぐ/竜王戦・七番勝負

 将棋の竜王戦七番勝負の第1局が10月8、9日に行われ、挑戦者の藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)が、3連覇を目指す豊島将之竜王(31)に123手で勝利した。中盤まではほぼ互角、終盤に差し掛かったところで豊島竜王がリード、そこから藤井三冠が巻き返して逆転した一局に、解説を務めた棋士からは「これは名局賞候補」など絶賛の声が相次いだ。

【動画】竜王戦 七番勝負 第一局 2日目 豊島将之竜王 対 藤井聡太三冠

 今年度だけでも、お~いお茶杯王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負と、既に2つタイトル戦でぶつかっているタイトルホルダー同士の戦い。序盤の研究量、中盤の構想力、終盤の決定力。現在の将棋界においてどれを取っても超トップクラスの対局は、この一局を含めて11局目になったが、まさに「名局メーカー」と言えるほど、激戦も多い。藤井三冠は最年少の四冠、豊島竜王は一冠死守となる3連覇を目指すシリーズ初戦は、大熱戦になった。

 先手の藤井三冠が選んだ戦型は相掛かり。居飛車党の2人がよく指すもので、今年度の11局のうち5局連続6局目だ(その他は全て角換わり)。激しい展開になりやすいものと言われ、そのため100手にも届かない短手数で終わることも多いが、この2人の戦いはあっさり終わるはずもなく、局面が進むにつれてどんどんと熱を帯びてきた。

 先にリードを奪ったのは豊島竜王。お互い、中住まいというバランス型の戦いの中、先に藤井陣深く切り込むことに成功。ABEMAで解説をしていた郷田真隆九段(50)からも「藤井三冠は今が徳俵。もう一発パンチが入ると勝負にならない」というほど、形勢以上にぎりぎりのところで藤井三冠は耐えていた。

 この辛抱が実ったのはお互いの持ち時間が残り1時間を切り、佳境に入ってからだ。大駒の交換が入ったところで巡ってきたチャンスを逃さず一気に互角以上に戻すと、ここからは終盤得意の藤井三冠のペース。相掛かりを得意とする飯島栄治八段(42)からも「これはもう相掛かりじゃないですね」と言われるほど、終着点がなかなか見えない大熱戦へと進んでいった。

 今年度の直接対決では、お互い逆転勝ち、逆転負けを喫した経験があるだけに、最後まで気を抜くことなく、集中力を高めあった最終盤だったが、精度の高い指し手を続けた藤井三冠が勝利。最高峰タイトル・竜王にふさわしい勝負に、郷田九段からは「第1局から、これは名局賞候補かもしれない。竜王戦にも数々の名勝負がありましたけど、これもそれに刻む将棋」と、両者を称えた。

 棋士にとって勝敗だけでなく、新たな手を生む、名局を生むというのも、棋士人生における大きなテーマになってくる。もちろん名局は双方の努力、勝負にかける熱い思いが重なってこそ生まれるもの。藤井三冠の記録達成に目を奪われがちにはなるが、次々と生まれる名局の数々も、長い将棋の歴史において、しっかりと輝きながら残っていく。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

第34期 竜王戦 七番勝負 第一局 2日目 豊島将之竜王 対 藤井聡太三冠
第34期 竜王戦 七番勝負 第一局 2日目 豊島将之竜王 対 藤井聡太三冠
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