「ピンクリボン」は、乳がんの早期発見や早期治療の大切さを訴える世界的活動のシンボルマーク。ピンクリボン月間として制定されている毎年10月は、各所で検診やセルフチェックを促すほか、東京都庁舎や協力施設がピンク色にライトアップされるなど、日本でも活動が広がっている。
【映像】“視触診”はわずか27% 「乳がん」発見率比較(画像あり)※3分ごろ〜
国立がん研究センターの統計によると、この30年で罹患数はおよそ5倍に増加し、死亡数も増加の一途をたどっている「乳がん」。日本人女性の9人に1人が一生涯にかかるといわれていて、何よりも重要なのが早期発見だ。
最も簡単にチェックできる方法として、異常やしこりを調べる視触診が知られているが、そんな常識に異を唱えるのが、乳腺外科医の明石定子さんだ。
「視触診は廃止の方向でいいと思います。ご本人で見つける場合、一般的にだいたい3センチくらいの大きさになれば見つけられると言われています」(昭和大学外科学講座乳腺外科学部門・明石定子教授、以下同)
1987年から始まった乳がん検診で、全国的に実施されるようになった視触診。現在、人間ドックのおよそ6割で視触診が実施されているが、長年続いてきた方法を廃止すべき理由として、明石さんは視触診による「がん発見の難しさ」を挙げる。明石さん自身も、視触診で小さな乳がんを発見することは難しいという。
「専門医であっても、せいぜい視触診で見つけられるのは2センチくらい。よほど表面に近い浅いところにあるしこりはともかくとして、ましてや、1センチ程度の小さなしこり、乳腺の奥にあるしこりを触診で見つけることはかなり難しいです。正直、私の触診よりもはるかに超音波やマンモグラフィの画像検査の方が有能だと思います」
これまで3000件以上の乳がん手術に携わってきた、乳がんのスペシャリストの明石さんですら早期発見が難しいと語る視触診。近年になり、厚生労働省も「視触診を推奨しない」とし、仮に実施する場合は乳房エックス線検査と併せて実施すること、としているものの、今もなお続けられているのが現状だ。
明石さんは乳がんにおける有用な検査方法として、マンモグラフィと超音波を推奨。近年、検診における乳がん発見率はマンモグラフィが77%、超音波は75%、視触診はわずか27%だった。マンモグラフィに視触診を足しても74%と変わらず、マンモグラフィに超音波を足すと、発見率は97%にまで上がった。
また、日本人の場合、外国人より乳房の濃度が高い(※乳房の中の乳腺が多く、マンモグラフィで乳房が白く写る乳房のこと)女性が多く、マンモグラフィだけでは乳がんが見つけられないケースもあるという。
「40代であればマンモグラフィに加えて超音波、あるいは毎年の検診が難しければ両方を交互に受けてください。それから若い女性の場合、マンモグラフィでは高濃度乳房という問題があり、中々見つけにくいことがあります。なので、40歳未満の若い方は超音波検診を受けるといいと思います」
年齢などによって乳腺組織の濃度が違うため、それぞれに合わせた検査を選んでほしいと話す明石教授。いずれにしても「視触診以外の検査を積極的に推奨していくべき」が、明石教授の考えだ。
「40歳代の場合、マンモグラフィーに超音波を併用することによって、1.5倍の乳がんが見つかった大規模なデータもあります。ですので、視触診は廃止して、健保組合の財政も限度があると思いますので、そのお金を画像診断の方にまわしていただきたいです」 (『ABEMAヒルズ』より)
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