「高齢出産」で夫婦が直面する現実…リスクや不安、そして子どもを授かる喜びを、40代で産んだ女性たちに聞く
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 国際産婦人科連合(FIGO))では35歳以上の初産、または40歳以上の出産経験のある女性の妊娠出産を「高齢出産」と定義している。日本でも晩婚化やライフスタイルの多様化によって増加傾向にあり、先月には料理研究家でタレントの森崎友紀さん(41)が第3子を妊娠したことを発表したことも話題となった。

【映像】49歳で高齢出産した女性が明かす苦悩と葛藤とは?

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 一方、今年7月、44歳の人気女性YouTuberが妊娠報告動画を投稿したところ「高齢出産は高確率でダウン症の子供が生まれるからな」「子どもが成人する時に64歳ってしんどくないのかな」といった厳しいコメントが寄せられた。とはいえ、高齢出産には、こうした様々なリスクや不安がつきまとうのも確かだろう。

■子どもの疾患のリスクや、母体に影響が出るリスクも…

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 厚生労働省によれば、母体の年齢が上昇するにつれ、ダウン症など、子どもの染色体異常が発生する確率も上昇するという。医学の進歩により、胎児に異常がないかを調べる「出生前診断」を受けることで、早期に胎児の情報が分かるようになった一方、疾患の陽性の診断が確定したうち、実に9割が中絶を選択したというデータもある。

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 出産ジャーナリストの河合蘭さんは「卵子は女の子がお母さんのお腹の中に発生してまもなく一生分ができるため、卵子の年齢=ご本人の年齢プラス10カ月ということになる。そして卵子が高齢化することにより、染色体の本数が違ってしまう確率が上昇するため、受精卵は育たない不妊症や、少しだけ育っても流産してしまうケースがある。そして生まれてくることができる子の中に、染色体異常を持っている赤ちゃんがいるということだ。また、母体そのものにも老化が生じているので、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病みたいなものが妊娠中に出てくることがある。加えて、子宮筋腫など子宮の病気で手術を経験していた場合など、様々な理由で帝王切開が増えるという面もある」と説明する。

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 39歳で再婚したのを機に妊活をスタートさせたところ、すぐに子どもを授かり、40歳で初めての出産を経験したブロガーのひがしむきさんも、「出生前診断」を受けるかどうかをめぐり、夫婦で悩んだという。

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 「障害を持った子どもが生まれるリスクが高まるということは知っていたが、やっぱり現実になる怖さが多少はあった。でも、検査を受けた結果、“障害を持つリスクが高いですよ”と言われても、私たちには堕胎はできないなと思ったし、そうであれば事前に知ってもあまり意味がない」。そう考えた夫婦は、「どんな子でも愛する我が子には変わりない」と結論付け、お産を迎えた。母子ともに健康で、今年8歳になった子どもは、元気に小学校に通っているという。

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 YouTubeチャンネル『YUKARIちゃんねる』で発信するYUKARIさんの場合、4人目の子どもを49歳での“超高齢出産”で産んだ。47歳で再婚した夫との間に子どもをもうけることは諦めかけていたというが、自然妊娠。20年ぶりの出産は安産だったという。

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 「病院でタイミング法の指導を受けてもダメだったし、別の病院のお医者さんにも、人口受精でも無理だと言われていたのに、まさか自然に妊娠するなんて、本当にびっくりした。医学でも分からない奇跡もあると思った。もちろんリスクは考えたし、出生前診断の予約もした。でも検査の日までの間、“残念な結果になったとして、本当に私はこの子とさよならできるんだろうか”と悩んで、やっぱり検査はやめよう、と決めた。どんな子どもが生まれてきても、2人の子に変わりはない。一生懸命に育てていこうという気持ちで、頑張って産もうと」。

■経済的な問題や、キャリアが中断される不安も…

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 また、経済的余裕や、若いうちに自分のやりたいことができたからこそ、ゆとりをもって子育てに臨めるという側面もある高齢出産。それでも、ひがしむきさんには“早く産めばよかった”という思いもあるようだ。「自分が病気になったら、子どもがヤングケアラーになってしまうのではないかという心配がある。まだまだ両親に頼ることもある30歳のとき、私は70歳だ。結婚・出産とか、家を建てるとか、困ったことが起きた時に、手助けをしてあげられないのではないか…」。

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 自身も42歳で出産、高齢出産の母親たちのカウンセリングを行っている西村恭子さんは「子どもは正直だから、見た目が老けてくると“おばあちゃん”って言われたり。お母さんに友達ができなかったことで、子どもも遊び友達もできず、自分が年を取ってから産んだばかりに…と罪悪感を抱えているお母さんもいる」と明かす。

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 フリーアナウンサーの宇垣美里は「産みたいけれど、“そこでキャリアが終わってしまうから、働ききってから…”と言う人が圧倒的に多い。私はそこが一番の問題じゃないかなと思う。キャリアの途中で子どもを産んでも帰って来られる社会にならないと、高齢出産をチョイスする人は増える一方だろう」とコメント。YUKARIさんは「金銭面でできなくて諦めている方もいると思うので、保険適用は早くしてもらいたいなと思う」と訴えた。

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 こうした問題について、河合さんは「親の手が借りられないといったことを言う人も多いが、自治体によってはベビーシッターさんなどを非常に安い値段、あるいは無料で利用できるサービスもある。そこは政策で対応できることだ。もちろん、早く産めればそれに越したことはないが、産めない理由があるからこそ皆さん産まないわけだし、出会いの問題もある。いろいろな年代で産む人がいる、ということを前提に制度を作っていくべきだと思う。フランスでは産んだ分だけ年金が増額になるし、減税などを導入すれば、経済的な不安も軽減されると思う」と指摘。

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 また、議論が進む不妊治療の保険適用に関しては、「現状では1回につき平均50万円ほどかかるが、3回ほど受けたというのは珍しい話ではないし、20回という方もいらっしゃる。やはりお金の面が不安で、不妊治療を始めないという方もたくさんいらっしゃる。この秋に詳細を詰めていくことになるが、若い方も始めるようになると思う。体外受精は先生の腕次第とも言われるが、女性が若い方が有利だというのも事実だ。

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 今は不妊治療、体外受精にトライし始める方で最も多い年齢が40歳ぐらいだ。それがマスコミで“卵子の老化”などと報じられたことで、初診の方の年齢が少しずつ下がってきているようだ。つまり、“妊娠しない日本の体外受精”が“妊娠しやすい、妊娠できる体外受精”になっていくのではないかというのが、私の希望的観測だ」と話した。

■ケンコバ「男性の環境のアップデートを」

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 一方、ケンドーコバヤシは「体外受精や不妊治療の話題が出たので、他では論じられないだろうなというところをあえて言う」と切り出し、「不妊治療を経験した同性の知り合いが多いが、みんな口を揃えて言うのは、本当に難しかったということだ。病院で男性が精子を提供する部屋のアップデートがあまりにも進んでいないようだ。壁で囲まれただけの殺風景なスペースだったり、置いてあるアダルトな映像や本がすごく昔の作品だったり。その辺もきっちりアップデートしていってあげなきゃいけないと感じる」と明かした。

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 河合さんは「男性の場合、そういうことを遠慮して言わない面があると思うので、もっと言っていいと思う。たしかに女性の方が注射をたくさん受けたり、手術台に上がったり、痛い思いをすることが男性よりも多い。だからこそ男性は後ろめたさを感じて、我慢する方向に行ってしまうのかもしれない。また、協力しない、あまりコミュニケーションも取らないという男性もいる。もっと参加できるようになったほうが良い」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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