「自由と民主主義を何よりも大切にするのが共産主義の社会だ」日本共産党・吉良よし子常任幹部会員 各党に聞く衆院選(5)
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 選挙戦が続く衆院選。『ABEMA Prime』では22日までの間、主要政党から代表者を招き、各党の政策やビジョンについて聞いており、20日には日本共産党の吉良よし子・常任幹部会員が生出演した。

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■「表現の自由と子どもの人権を守ることは両立しうる」

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 この4年間の成果について、「憲法9条を守り抜くというのは実現できたし、野党ではあるが、少人数学級の実現、ブラック企業規制など、実現できたことがいくつかある」と話す吉良氏。今回の衆院選では“地球と若者の未来を守るために頑張る”として、「学費半額、最低賃金2500円。選択的夫婦別姓、ジェンダー平等、気候危機の打開」を訴える。

 「何より命。ブレずに貫くのが日本共産党という政党だ。コロナ禍では検査を抑制され、自宅療養を強要されて、助けられるはずの命も助けられなかった。補償もまともにない中、飲食店やライブハウスが限界に追い詰められている。弱肉強食、自己責任を押し付けている自民党・公明党の政治を変えるために頑張っているのは日本共産党だ。私自身、コロナ禍でバイトもできず困窮している学生たちの“学費を下げて”という声を国会に届け、学生支援緊急給付金を実現させよう、若者のコロナ支援の予算を増やそうと頑張った。ブラック企業の規制、就活セクハラの相談窓口を作ることなどについても頑張った」。

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 この日は、とりわけ「選択的夫婦別姓・同性婚、痴漢ゼロ、賃金の男女格差の是正」といった「ジェンダー平等」について訴えたいとした吉良氏。
 
 「選択的夫婦別姓・同性婚については野党で法案を出しているので、それを成立させればいいだけの話だ。痴漢ゼロについては、長い間の問題ではあったが、政治的に解決できる社会問題だとは思われていなかった節があると思う。しかし私たちがアンケートを取ったところ、初めて被害に遭ったのは18歳以下だったと答えた人が7割もいた。つまり痴漢は子どもに対する性暴力の問題であって、政治の力で無くさなければならない課題だということがはっきりした。これに対して相談窓口を充実させたり、軽い犯罪ではないというメッセージを発信していたりすることで、痴漢ゼロを目指したい。

 そして男女の賃金格差は本当に大きい。生涯の平均賃金を比べると1億円もの差がある。女性の多くが非正規で働いている実態があって、それが賃金を引き下げている。“俺の方が稼いでいるだろう”というのがDV被害の温床にもなっているわけで、正規雇用に切り替えていくことも含めて是正していく。同一労働・同一賃金、最低賃金も時給1500円以上にアップさせ、男性も女性も働きやすい社会を目指す」。

 昨年は第2子を出産した。「検査と医療の強化と補償により、一刻もコロナ禍を収束に早く持っていき、祖父母にひ孫の顔を見せてあげたい」とも話す。

 「下の子はまだ0歳なので、この時間(21時からの生放送)に六本木のスタジオに来るのも非常に悩ましい決断だった。今はパパが頑張っているところだが、やはり出産や子育てがキャリアアップのマイナスにならない社会にしなければならない。休んでいいんだ、早く帰っていいんだとそもそも長時間労働をやめて、男性も女性も8時間働いたら家に帰り、家庭の時間をきちんと持つんだということをルール化していけば解消されていくと思う。保育園の充実も含め、家庭任せ、個人任せにせず、みんなで子育てをする社会にしていきたい。

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 こうした主張に対し、慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「自民党と差別化する戦略もいいと思うが、資本主義を超えたところにあるという共産主義の理想の形というものを見てみたい。例えば、なぜ女性が産休・育休を取ると不利になるかといえば、それは終身雇用があるからだ。しかし終身雇用を無くして、もっと自由にしようよとなれば、今度は雇用の安定が無くなることにもつながる。物事には表と裏の面があるわけで、それがバランスしていないということであれば、“こういうバランスのさせ方をしたい”と言っていただければ、新しい社会というものも見えてくるのではないか」とコメント。

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 さらにタレントでソフトウェアエンジニアの池澤あやかからは「ここ数日、表現の自由と児童ポルノ規制に関する話題で日本共産党が炎上していたが、主張に矛盾はないのか」との質問が出た。

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 吉良氏は「矛盾はない。ジェンダー政策の部分で言っているのは、子どもに対する性暴力は絶対許さないということだ。児童ポルノも子どもへの性暴力だから許されないということだ。ただし、児童ポルノという言葉を使った表現規制ということに対しては明確に否定している。表現の自由を守り抜くのは当然だし、児童ポルノを無くせば子どもへの性暴力も無くなるという話ではない。どう解決していくかはクリエイターも含めて国民的に議論していくべきだ。具体的には、子どもたちや一般の人たちの目に触れないような場所に置くゾーニングというやり方もあると思うし、“こういう表現は本当にまずいよね”“儲からないよね”という合意ができれば、クリエイターの皆さんも作らなくなると思う」と答えた。

■「共産主義の社会というのは、自由と民主主義を何よりも大切にする」

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 今回は7割の選挙区で野党共闘を実現、候補を1本化している日本共産党。しかしスタジオからは、その政治思想に関する疑問も数多く出た。

 慶應義塾大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は「僕は田舎で校長をしていた熱烈な共産党支持者の父の下で育ち、大学院まで行かせてもらい、会社も作って、“勝ち組だ”と言っている。父親も、息子にはメチャクチャ競争を強いていたし、今も“お前が努力して勝ち取ったんだからいいじゃん”というスタンスだ。一方で、競争で勝ち続けなければならないと思い込んでしまった人は、そこから落ちてはいけないという不安がつきまとう。

 つまり競争が辛いのは負けた人だけはなく、勝ち続けることこそ人生の価値だと思い込んでいる人たちも同じではないか。最初におっしゃった、“弱肉強食でいいのか”という日本共産党のメッセージは分かりやすい。しかし本当は、弱肉強食の社会の中で努力をしたから勝ち取ったんだと思い込んでいる、声がでかくて偉そうな“勝ち組”の強者と戦う対立構造に持っていくのではなく、そこにアプローチしていくことこそが必要なのではないか」と問題提起。

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 吉良氏は「勝った人たちが悪いんだから潰れてしまえばいい、なんて考え方は一切ない。ただし儲けられずに困窮してしまった人、一度レールから外れただけで立ち直れないくらい貧困に陥ってしまう人が出るくらい、勝つか負けるかしかない社会になっている。つまりそのような状況を作ってしまう政治姿勢、勝ち組ばかりを優遇するような政治そのものを変えたいという立場であって、何度転んでも立ち上がることができるよう支えるシステムを作らなければならないし、そのためには余力がある勝った人たちにも幾分か協力してもらわないといけないというのがスタンスだ。もし“攻撃されている”と思われてしまっているのだとしたら、それは私たちが物の言い方を工夫しなければいけない」と応じた。

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 テレビ朝日平石直之アナウンサーは「若新さんがおっしゃることも分かる。例えば党の綱領の中にある“革命”という言葉に抵抗を持ってしまう人もいるかもしれない」「自民党幹部が、“自由民主主義か、共産主義が入ってくる政権のどちらを選ぶのか”という発言もしている」と重ねて質問。

 吉良氏は「社会を変えることを目指すという意味で“革命”であって、過激なことを無理やりやるつもりは一切ない。“民主主義革命の後に多数者革命”という言い方もしているように、国民の合意を得て、つまり選挙を通じて多数派になってこそ変革が実現できる。だから政権交代を目指し、それが実現したら、政権の中で合意できる範囲での変革、改革をしていくよ、ということだ」と回答。

 自民党幹部の発言についても、「私たち野党の政権交代に向けた政策合意の文章を全く見ていないなと思う。そこには憲法に基づいた政治を実現するとか、格差と貧困を是正する、ジェンダー平等、原発のない脱炭素社会、核兵器禁止条約の批准といった、具体的な項目を掲げているだけで、“共産主義”という言葉は一言も入っていない。あくまでも、これらの6本柱・20項目の範囲内での政権協力なわけで、例え選挙で勝ったとしてもそれ以外のことを持ち込むわけがない。
 
 そもそも自分たちのことを“自由民主主義の思想”とおっしゃっているが、本当に自民党の政治は自由なのか、民主主義なのか。選択的夫婦別姓や同性婚すら認めない、つまり自由に生きる権利すら認めていないということは、自由を壊しているのではないか?と言いたい。国民の声を本当に聞かない、国会すら開かないということに関しても、それで民主主義の思想を持った政治を実現しているなどとは言って頂きたくない」と反論した。

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 しかし夏野氏は「個々の政策については今の日本社会が抱える問題点を指摘しながら、具体的にこのようにしたいとおっしゃる。しかし綱領の文章などを読んでみると、“まずは社会主義革命ではなく民主主義革命である”とか、普段は使わないような言葉も出てくるし、時代がかっていて怖いなという感じがする」と指摘。

 「別に日本共産党さんのせいではないし、もちろん同じ共産党でも国ごとに全く違うわけだが、歴史的には世界のいわゆる社会主義国家や共産主義国家はそのほとんどが失敗してしまっているし、過去に共産党の支配の力が強かった国のこともある。そのような中、この日本で“日本共産党”と名乗ることは、実はブランディング戦略上、あまり良くないのではないか。“共産主義を理想にする”と言ってしまった瞬間に、資本主義の歪みを直すどころか、コルホーズ、ソフホーズの世界にまで行ってしまうように聞こえてしまう。その理想を目指してソ連は失敗したし、中国は路線を修正した。だから日本共産党も、非常にリベラルな思想を追求している野党というよりは、少し怖い存在に映るのではないか」。

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 吉良氏は「善意の方も含めて、名前を変えたらいかがですかという声を多数いただく。ただ、名前を変えた時にどうなるかといったら、“結局、元共産党ですよね”と言われるのがオチかなと思う。例えば長時間労働、ブラック企業の問題を追及しているが、これは一企業の問題ではない。利益競争に負けないために人件費をどれだけ削れるか、どれだけ搾取できるかという、資本主義の歪みの中で出てきた問題だと思う。気候危機についてもそうだ。

 その意味で私たちは共産主義を理想の社会として掲げているのであって、決してソ連や中国を目指すということではない。私たちが目指している共産主義は、資本主義で利益ばかりを追求することによって出てきた問題を、人類の叡智を結集して乗り越える社会だ。そして共産主義の社会というのは、自由と民主主義を何よりも大切にする社会だ。労働時間をぐっと減らすことで人間の自由な時間をもっと増やす。そしてみんなの能力をもっともっと使いながら、気候危機もないような、より良い社会を作っていこうということだ。そういう、長い、長い先の未来の共産主義ということで謳っている」と説明した。(『ABEMA Prime』より)
 

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