『イカゲーム』大ヒットの要因をひろゆき氏が分析「条件はグロさ」日本エンタメが世界で戦うには?
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 配信開始からわずか1カ月で視聴した世帯は1億1100万以上、世界およそ90カ国で視聴ランキング1位を獲得し、Netflix至上最大のヒット作となった韓国発のドラマシリーズ『イカゲーム』。主人公たちは多額の借金を背負いながら、43億円以上の賞金をかけたゲームに挑戦。失敗すれば死亡するスリリングな展開と、登場人物たちの裏切りや絆……そして、ゲームに渦巻く陰謀が描かれた、いわゆる“デスゲームもの”だ。

【映像】456人が命を引き換えに“人生逆転ゲーム”に挑戦『イカゲーム』あらすじ(冒頭〜)

 『バトル・ロワイヤル』をはじめ『賭博黙示録カイジ』や『GANTZ』『ライアーゲーム』など、日本エンタメの“お家芸”でもある“デスゲーム”もの。『イカゲーム』のファン・ドンヒョク監督も「発想の原点は日本の作品。『バトル・ロワイヤル』や『ライアーゲーム』など、日本の作品を見て影響を受けた」と語っているほどだ。

 近年、韓国エンタメは躍進を続け、日本エンタメが世界的ヒット作を生み出せないでいる。双方の違いは一体何なのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、『イカゲーム」の大ヒットに見るエンタメ界の今後について議論した。

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 韓国エンタメに詳しいフリーライターの石垣菫氏によると『イカゲーム』がヒットした理由は大きく分けて3つあるという。

「1つ目は、パッとイメージしたとき、人気のデスゲームものに加えて、出てくるゲームが全部子どもの遊びだった。特に『だるまさんが転んだ』は世界中にある遊びだ。なので、どの国の人が見ても面白さが伝わった。2つ目は『社会問題と差別』を考えさせる仕掛けがあった。深くて難しいことが入っているかというと、そうではないが、適度に貧しい者と富める者の格差、ちょっとしたセリフやキャラクターの行動に出る男女差別、学歴差別に対する意識、外国人労働者、そして脱北者に対するあらゆる差別問題がところどころに入っている。映画『パラサイト 半地下の家族』に近いところがあると思う」

 その上で、石垣氏は「このイカゲームが5年前に公開されていたら、ここまでの世界的なヒットになっていたかどうかは怪しい」と話し、3つ目の人気の理由を次のように分析する。

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「ここ3年間ぐらいでBTS(防弾少年団)がアメリカでも大スターになり、映画『パラサイト 半地下の家族』もオスカーを獲り、『愛の不時着』も世界的に人気を集めている。特に『愛の不時着』はアメリカがロックダウン中、Netflixで視聴された作品第6位だったと聞いている。『次に韓国からどのようなエンタメが来るんだろう』といった信頼があって、期待されている。そんな土壌ができているのではないか」

 一方で、海外ドラマ評論家の池田敏氏は「2021年にふさわしい作品だったことは間違いない」と述べる。

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「コロナ禍で今、動画配信サービスが世界的に注目を集めている。配信に関しては、CMに関係なく、尺はとにかく自由だ。『イカゲーム』も長い話は60分以上あるが、短い話は30分ちょっと。今、海外のドラマはどんどん多様化していて、作り手にとって尺の自由が与えられていることは、すごく大きい。その中ですぐにバズる現象があって、いろいろな要素から『イカゲーム』もそこを狙っていたのだろう」

「監督自身がデビューした直後『いきなり生活が困ってしまった』と言っていた。韓国にも漫画喫茶があるが、そこで生活していた時期もあると。そのときに韓国語に翻訳された日本のデスゲームコミックを読んでいた可能性は大きい。『自分ならもっと良くできる』と考えたと思う。何がこの世界を支えているか、根本的な部分は深掘りしていないかもしれないが、第2話で僕はびっくりした。国によって感じ方は違うと思うが、ひょっとしたらどこにでもいる存在として彼らを描いているのか。『イカゲーム』はまず第2話までは見てほしい作品だ」

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 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏も『イカゲーム』を鑑賞した一人だ。ひろゆき氏は全話観た感想として「面白いが、深みはそんなにない」とコメント。日本のエンタメとの違いについて「まず、監督自身が『日本で流行ったライアーゲームやバトル・ロワイヤルは話が難しい。ゲームを分かりやすくするために、まず子どもの遊びに変えた』と明かしている。その結果、文化が分からない世界中の人や、子どもでも分かる内容になった。範囲が広がって、視聴者も増えたという話。世界のマーケティングをちゃんと意識して作るかどうかだ」と指摘した。

「去年Netflixでよく観られた作品に『ペーパー・ハウス』という銀行強盗をする作品がある。社会が閉塞していて『銀行強盗でもしないと幸せになれない』と思っている人が多い。イカゲームも、どんな話かというと、死ぬかもしれないがワンチャン43億円もらえるかもしれない。それがあったら、あなたは参加するか。みんな『俺も参加するかも』とどこかで思っている部分がある。スペイン人も『確かに銀行強盗でもしないと俺の人生は絶対変わらない』みたいな。そういう犯罪に憧れるくらい、社会が閉塞している。それが世界中で広がっているので、同じような社会風刺のテーマがそもそもウケやすい土壌があると思う。日本人は、あまりそこに共感しないので、デスゲームだけに執着して『別にそんなもの前からあったよね』といった話になってしまうのかなと思う」

 同じ“デスゲーム”ものと比較してしまいがちな日本の風潮に「デスゲームはパッと見のきっかけであって、物語をずっと見たくなる仕掛けとはまた別だ」と述べたひろゆき氏。一方で「グロいことは、今売れるための条件だ」とも話す。

「テレビがグロい要素を制限しすぎてしまった。そのせいで子どもが過激な表現に飢えている部分があると思う。『鬼滅の刃』もグロい描写が多い。アメリカのテレビもグロい部分が全く出ないようになってしまった。アメリカの子どもが、Netflixで見られるグロい表現に興味がある。Netflixというインターネットで見られるものだからこそ『イカゲーム』がウケた」

 さらに、作品に出演する役者について、ひろゆき氏は「アニメや漫画といった“アイデア”は世界でヒットしても、日本は世界で戦える俳優があまりいないのではないか」と言及。

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「日本のマーケットはおよそ1億人いる。だから、日本だけの売り上げで成立してしまう。だから、少し演技ができなくても『日本人の好きな顔の女優・俳優を入れておけばとりあえずいいよね』となってしまう。本当に演技力がある人が育っていないことも、日本のコンテンツがなかなか世界に羽ばたかない理由だと思う」

 韓国のエンタメにおけるキャスティングについて、石垣氏は「日本がどうだという話ではないが、韓国エンタメは国内の有名人を数字のために使うことはせず、あくまでその役にあった人を無名でも使うことがある。今回の『イカゲーム』でもそうだった」と説明。

 また、日本のマーケットに池田氏も「日本はどんどん少子化で人口が減っている。国内ばかりを当てにしていていいのか」と危惧。「『鬼滅の刃』など、海外で人気が出る作品も生まれている。アニメやゲームも日本の誇る文化だ。(世界の市場に)出られるなら、出た方がいい」と語った。(『ABEMA Prime』より)

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