将棋界屈指の研究家・豊島将之竜王が「準備不足でした」と脱帽 藤井聡太三冠の快勝を支えた研究量と対応力
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 将棋の藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)が10月22、23日に行われた竜王戦七番勝負の第2局で豊島将之竜王(31)に70手で快勝した。豊島竜王が先手番から、相掛かりの研究手を繰り出したものの、藤井三冠がこれに対応。序盤から徐々にポイントを積み重ね、1日目終了時には既に藤井三冠が指しやすくなっていた。これに豊島竜王は「準備不足でした」と反省。ただこの言葉、将棋界屈指の研究家から発せられたとあって、棋士たちからは驚きの声が相次ぐことになった。

【動画】藤井聡太三冠が70手の短手数で快勝した竜王戦第2局

 豊島竜王は、将棋ソフトを用いた研究で、特に序盤の研究の深さに定評がある。その上で中盤、終盤と隙のない将棋を指しこなし、現在の地位を築いた。実際、藤井三冠との直接対決でも、序盤の作戦勝ちでそのまま一気に完勝したこともある。そのため藤井三冠からは、直接対決で得られたものとして「序盤が課題」というコメントが出たこともあった。

 序盤巧者の豊島竜王と、終盤力の藤井三冠。少なくとも今年度戦ってきたお~いお茶杯王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負では、そんな構図で語られてきたはずだ。ところがこの竜王戦七番勝負第2局では、仕掛けたはずの豊島竜王が序盤から苦しみ、そして挽回のきっかけを見つけられずに負けた。「ちょっと本局は一方的になってしまった」と、敗戦どころか、好勝負にすらできなかったことを悔やんだ。全ては藤井三冠の研究の深さと、その対応力による結果だ。解説を務めた棋士たちは、同じような感想を持った。

 青嶋未来六段 圧倒的な研究量を誇る豊島竜王に対して、後手番でこれだけ快勝した藤井三冠の指し手の素晴らしさが際立った将棋だったかと思います。

 行方尚史九段 1日目の午前中から豊島さんの研究手と思わしきものが出て、研究量の豊富さを感じたんですが、藤井さんの対応が非常に巧みで、いつの間にか藤井ペースになっていった。このような負け方をするのは、隙のない豊島さんですから、記憶にないくらいです。

 類まれな終盤力を持つ藤井三冠を相手にするには、いかに序中盤までに大きなリードを作るか。そんな戦術を考える棋士もいたかもしれない。確かに終盤力を鍛えるといっても、未知なる局面への対応力は、そう簡単には上がらない。だとすれば、将棋ソフトを活用し、自分だけが知っている局面に持ち込み、作戦勝ちで逃げ切る。その方が現実的に思える。ところが藤井三冠はそれを上回ってきた。だからこれほどまでに勝っている。

 竜王の奪取に成功すれば最多の四冠保持者となり、将棋界の序列1位に立つことになる。勢いで取れるほど四冠という偉業はたやすくないが、今の藤井三冠は研究量と対応力、どちらでも最高レベルに仕上がり始めている。本格的な「藤井時代」が近い将来にやってきたとしても、さほど驚く棋士はいないかもしれない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】藤井聡太三冠が70手の短手数で快勝した竜王戦第2局
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【動画】藤井聡太三冠が注文して大人気となった「くま最中」
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