26日、ご結婚に際し会見に臨んだ眞子さんと小室圭さん。お気持ちの表明の後に行われる予定だった質疑応答は取りやめとなり、文書で回答するという異例の対応となった。宮内庁によれば、「誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問に、眞子さんが強い衝撃を受け、口頭での回答は不可能」と判断したためだという。
同様の指摘は、お二人の口からも繰り返された。眞子さんは「圭さんのすることが独断で行われていると批判され、私の気持ちを考えていないといった、一方的な憶測が流れるたびに、誤った情報がなぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていくことに恐怖心を覚えるとともに、つらく悲しい思いをいたしました」と発言。小室さんも「この数年間、誤った情報があたかも事実であるように扱われ、誹謗中傷が続いたことにより、眞子さんが心身に不調をきたしたことを、とても悲しく思います」と話し、会見の最後に眞子さんは「いま、心を守りながら生きることに困難を感じ、傷ついている方がたくさんいらっしゃると思います。周囲の人の温かい助けや支えによって、より多くの人が心を大切に守りながら生きていける社会となることを心から願っております」と締めくくった。
■結婚会見を終えた今も疑問視するメディアがいる理由
今回の会見を、皇室ジャーナリストはどう見たのか。
元宮内庁職員でもある山下晋司氏は「質疑応答のあるなしに関わらず、“こういったことはお話しすべきだろう”と思っていた内容がおおむね盛り込まれていたので、良かったんじゃないかと思う」と振り返る。
「今回のご結婚というのは、“公”と“私”のうち、“公”の部分を外しましょう、また、“私”の中でも宮中の中では公的な意味合いのある部分についても外しましょう、つまり、完全な私人としてのものになった。昨年の記者会見で秋篠宮殿下が憲法の規定についておっしゃっていたが、それは皇族だからではなく、日本国民に適用される規定だ。この点からも、私人としての結婚を認めようということなので、整合性は取れていると感じる。今回の会見についても、私人になったとはいえ、今まで皇族だった以上、“最後のけじめ”というような意味合いで話すべきだと、秋篠宮殿下もおっしゃっていたのだと思う。それを守ったというふうに考えていいだろう。文書でお答えになった5問の質問中、4問に“誹謗中傷”、“誤った情報”という言葉が出てきたことを見ると、相当強く訴えたかったことなのだろうと感じた」。
また、週刊誌『女性自身』時代に皇室を担当し、上皇さまに関する著書もある近重幸哉氏は「雑誌を中心としたメディアやインターネット上では誹謗中傷だと感じられるような一方的な記事や書き込みが多かったのはそのとおりだと思う。そこに対して何の反論もできなかった眞子さんと小室さんが反論し、そして文書で回答するという機会を設けられたことは良かったと思う。ただ、私の印象としては意見を述べる、主張する場であって、決して会見という形にはなっていなかったという印象が残った」と指摘する。
「やはり儀式が行われず、結婚式もなしという形になった背景には、小室さんのお母さんと元婚約者さんの金銭トラブルの問題が3年半経った今日においてもずるずると解決されずに来ていて、交渉の進展もあまりないということがある。小室さんは“交渉する”“解決に向かっている”というニュアンスのお話をされたが、現実としては今日まで解決されずに結婚の日を迎えたわけで、そこに多くの国民が疑問に思っていることも事実だと思う。
最後の機会、ということを考えれば、もう少し国民にお気持ちや状況が伝わり、やわらかく受け止められるよう、ご自身たちの言葉で話をしてもらっても良かったのではないか、報じられた中で誹謗中傷と感じられた点も挙げて説明していただきたかった、と思う。質問が提出されてから数日間あったわけで、前日になって急に予定を変更されるということではなく、“この内容についてはお答えはしかねる”と事前に回答する、あるいは眞子さんがお辛く思われるのであれば、小室さんだけがお答えになる、というよう選択をしても良かったのではないか」。
ロンドンブーツ1号2号の田村淳は「まずは“おめでとうございます”、という気持ちだ。質疑応答が無くなったことをニュースで見て、眞子さんの体調のこともあるし、“大丈夫かな”と不安に思っていたが、100%もやが晴れたわけではないが、触れてほしい部分にはきちんと触れられていた」と話す。
「秋篠宮さまが娘を送り出すにあたって求めていたのは、小室さんに“金銭トラブル”と言われていることについて国民がちゃんと理解できるよう、分かりやすく伝えてください、ということだったと思うし、それは決して高いハードル設定ではないと感じていた。そして、それが国民の祝福のラインにもなっていった。もちろん親の金銭トラブルを子どもが背負うことはないとは思うし、今までも小室圭さんなりに分かりやすく説明しようとしてきたのだろう。
ただ今回の会見を聞いていて、中には眞子さんからの提案で行動したこともあったのか、と驚いたし、それによって別のもやがかかったということもある。4月に公表した28枚の文書で眞子さんが納得していたのだとすると、本当にそれで良かったのかというところに立ち返ってしまう部分もある。そういうところに対する国民感情がいろいろな言葉になって出てくるのは仕方ないと捉えている。思ったよりも聞きたいことが聞けた会見だった。なので、今は心から祝福したい」。
ジャーナリストの堀潤氏は「眞子さんも一方的に言われっぱなしだったのが、皇籍を離脱して私人になったことで、やっと反論権を行使できるようになったわけだ。先日、眞子さんと同じ学校に通っていた方にお話を伺う機会があった。子どもの頃から本当にしっかりとされていて、周りに指示を出せるタイプの方だったようだ。今回のことも、眞子さんの考えが芯にあって、でも皇室にいらっしゃるから発言できないということで、代わりに小室さんが担ってきたのではないかと想像する。
それでも、もし自分だったらと考えると難しい。普通であれば、子どもの問題と親の問題は切り分けるべきだという議論もあるはずなのに、それが吹っ飛んでしまって、親が起こした金銭トラブルにについて、会見で説明しろと言われる。皇室が絡んでいるから勝手なことは言ってはいけないとか、こういうことを言うとこうなるからからと、いろんな面で気を遣われていたのだろうし、“親なんで、僕の知っている限りですけれども…”ということになってしまうのではないか」と慮った。
■火に薪をくべたメディアが原因だったのではないか?
一方で、加熱する報道に対する厳しい見方は少なくない。タレントでソフトウェアエンジニアの池澤あやかは「一般人が“姑”になる必要があるか?と言われれば、ないだろう。第三者である国民の気持ちに寄り添うために失われる人権はないと思う」とキッパリ。
「私も炎上すると“死ね”という言葉が飛んでくるが、それ以上にいろんなことを言われてきたんだろうなと思う。一般人の感覚からすると、“家柄のいい人と結婚しなさい”などと言ってくる家族が1人、2人いるだけでもメチャクチャきついはずなのに、それが国民レベルの人数でいて、しかもプライベートもガンガン報道されてしまっている。金銭トラブルの話も、小室さんの母親の問題であって、眞子さんと2人でどうにかできる問題だったのだろうか。皇族なのであれこれ言いたい気持ちも分かるが、その前に一人の人間だ。一連の報道は人権侵害だと思う」。
リディラバ代表の安部敏樹氏も、「“今後の報じ方は?”という論点については“報じなくていい”、という答えに尽きる」と断じる。
「侍従長を努めた渡辺允さんという方は、上皇さま天皇陛下も含め、皇室の方々は国民が分断してしまうことを特に避けたいと思っていると言っていた。秋篠宮さまもそう思われているはずなのに、あえて積極的に火に薪をくべて、みんなで燃やす意味があるのだろうか。国民が世論で、メディアが視聴率や部数で盛り上げることが、ひいては皇室を維持していくことの難しさをより高める結果を招く状況を生み出しているわけだ。スキャンダルだ、面白そう、となっちゃうところがあるのが人間なので、そこの間に入って交通整理をするのが本来のメディアの役割なのに、そこの意を汲めなかったのが良くない。
どんな家庭にも様々事情がある。金銭トラブルがあったからといって、そこを掘っていく必要はあったのだろうか。刑事事件になっていましたか?何か訴訟になっていましたか?ということだ。僕から見れば小室さんは立派だ。完璧と言っていいくらい素晴らしい。今回の件を踏まえれば、皇族がご結婚相手を見つけ、子どもを産み、家庭を築く、ということが一層難しくなってしまうだろうと感じた。例えば愛子さまは一体どうするのか。小室さん以上のプレッシャーがかかることは明らかだ」。
テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「誹謗中傷はアウトだし、それは裁判をしてでも決着をつけるべきことだ。一方、意見や批判については受け止めなければいけない部分もあるし、答えが求められてしまうところもある。今回のことは、世代によっても分断があるような気がする。だから“国民”という言葉も使いにくい」との見方を示す。
「若い人たちには“家とか関係ないし、2人が結婚したいと言っているんだからいいじゃないか”という意見がある。一方で、地上波や週刊誌の関心が高いのは、簡単に言えば“親心”があるのだと思う。皇室だからという点とは別に、娘には祝福される形で結婚してほしいと思う父親が気持ちや、相手の家族とのことなど、結婚をめぐる様々な問題も内包している話だ。そういうところに対して、気持ちよく送り出したいよね、クリアになっていないところをクリアすれば祝福されるから頑張ってね、このままだとちょっと残念かもしれないよね、と思っている人も多いということだと思う。
だからこそ、“報じるな”と言ってしまうのは、ある意味では正論だけど安直でもあると思う。逆に言うと、これで“終わり”だということだ。アメリカで静かに生活したいというメッセージを発せられているわけで、旅立つ様子ぐらいまでは報じたとしても、その後は追わないというのが正しいと思う。私も、お二人が何か発せられない限り、あまり触れたくない。それでも追いかけるメディアも多いだろう。これをどう考えるかという議論になってくる」。
■私人になった今、メディアは報じ続けるべきなのか?
すでにお二人の滞在するマンションの前から中継をする地上波ニュース番組があることについて、テレビ朝日の田中萌アナウンサーは「メディアで働いている人間だが、やりすぎだ。いらないと思う」と感想を漏らす。
堀潤氏は「報じるべきかどうかという話ではなく、様々な憶測、誤り、固定観念、伝聞を排し、本当に必要な事実を丁寧に報道すればいいという話だ。それは小室さんの金銭トラブルが悪なのかどうか、見過ごすべきなのかどうかといった論評ではないと思う。報道に携わる者は、そのこだわりは捨ててはいけない。そして、本当に真実を知りたいと思っている取材者なら、カメラ引き連れて“ここだ!”とはならないと思う。もし何らかの事実を掴んだのなら、個別で接触できる機会を狙ったり、信頼関係を築いて本人から事実を引き出すということだ」と話す。
「そして、小室さんは“お金を返しますよ”と言っているので、これ以上何の問題があるのだろうか。母親の元婚約者の男性が受け取るかどうかでこじれている。さらにこじれるのであれば、ここから先は一般人として粛々と法的な対応を進めていただいて構わないと思う。特に小室さんは法律家として働いていくわけだし、これからは大手を振って色々なことを語っていただければいいと思う。眞子さんも、小室眞子さんとしてTwitterをやってもいい、YouTubeチャンネルを開設してもいい。思うことがあったらどんどん言ってくださいと、それが言論には言論で対抗を、ということにも寄与すると思う」。
改めて皇室ジャーナリストの二人はどう感じているのだろうか。
山下氏は「公人、私人の問題もあるし、公共性、公益性についても究極的には裁判所が判断することになるので、報じる上での線引きというのは非常に難しい。基本的にはそれぞれが“我々はここまでならいいと思っているんだ”と判断することになるが、それでもお住まいが特定されるような報道は記憶にないし、マンション前から中継した社があったのかと驚いている。短期滞在型だということが救いだが、それでも公にするというのはマスコミとしてあり得ない。そして私が宮内庁の報道担当をやっていた時代と大きく変わったのは、ネットが出てきたことだ。昔であれば、渡米後に撮った写真を売るパパラッチがいたとしても、日本のマスコミが買わなければ済んだ。しかし今はアメリカから直で日本国民に対して情報がサービスできるようになった。みんなに“見るのをやめよう”と言っても無理なので、そこが非常に難しい」とコメント。
近重氏は、報道の背景には、国民からののニーズがあると強調する。
「国民、特に週刊誌を読む女性たちの関心が高いということがある。平成の時代、国民のもとに通われた上皇ご夫妻のお姿を大切に思っているし、その初孫である眞子さんが、いわゆる疑惑が週刊誌に取り上げられるような方と結婚をされるのは、上皇ご夫妻のお姿とはそぐわない、自分の理想とは合わない、やはり考え直してほしいという方が多いということだろう。そして小室さんやお母様に対しても、辛い思いをしてでも相手の方と会って話をし、誠意を見せて金銭トラブルを解決したいというお気持ちを持っている人であってほしい、という希望みたいなものがあるわけだ。それは人権や個人の自由という観点からすれば古い考えになるのかもしれないが、家と家とが結びつくにはお互いに信頼できるという気持ちがあるはずだし、それを継承していくべきだ、という考えの人たちもいるということだ。
また、“これは借金ではない”と小室さんはおっしゃっているが、アメリカで勉強し弁護士資格を取る手前まで来て、優れた弁護士事務所に就職できた背景には、やはり元婚約者さんの金銭的な支えがあったことが間接的にはあるだろう、そう多くの人は思っているわけだ。その元婚約者さんが生活に困窮し、400万円を返してほしいとおっしゃっているのであれば、借用書がなくても心で返す、あるいは今はお金はないけれども長期的にはなんとかします、ということになれば、“そういう心のある人なんだ”、という意識が国民にも芽生えたんだと思う。しかも3年半経っても解決していない。そこに不信感、モヤモヤが残るということだ。これから騒ぎは沈静化していくと思う。僕も静かな生活を営んでほしいと思う。けれども皇室というものが存続する限り、今回の結婚の形が特異なものとして残るということだ。若い方たちから見ると、人権問題ということにもなるかもしれないが、それ以上に皇室に心を寄せている国民が多く、だからこそ大きく注目もされているわけだ。だから秋篠宮殿下が儀式をなくして結婚をされることをお認めになった」。
その上で、「隠された事実を探っていくのが取材記者の仕事だし、それこそ地を這うようにしてそれを探してきている週刊誌の記者たちがいる。やはりニーズがあれば取材をするし、それは合戦だから、どこかがやればやる。テレ朝のクルーも自宅前に行っているはずだ。その上で、自分たちで考え、そこに則って仕事をする。だから言いやすい、差し支えのないことだけ言って、言いにくいことは言わないというのはジャーナリズムではない。自分が思っていること、経験して考えたことを、あえて言いにくいことも伝えるということも、それぞれの持ち場で必要だということなのではないか」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
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