苦労する親も多い乳児期の「夜泣き」。どうしたらよく眠ってくれるのだろうか。
そんな悩みの事前対策につながるかもしれない、ある調査結果が富山大学の研究チームによって発表された。カギになるのは、なんと「魚」。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、研究に参加した群馬大学の浜崎景教授を取材した。
「ある程度、お母さんがオメガ3(系脂肪酸)を摂っている、あるいは魚を摂っている群で、お子さんが睡眠不足になるリスクが低下していたという結果が出ました」(群馬大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野 浜崎景教授・以下同)
研究チームが調べたのは、妊婦の魚の摂取量と、生まれた子供の1歳時点での睡眠時間の関連性だ。およそ8.7万人の大規模なデータをもとに、摂取量で5つのグループに分け、睡眠不足のリスクを解析したところ、摂取量が一定以上のグループで睡眠不足の子供が減っていることが分かったという。
「2群目はだいたい1日に16.1グラムを摂っていますが、それ以降はどうやらリスク、睡眠不足になるリスクが低下していたという結果が出ました。16.1グラムがどれくらいか、週に換算するとだいたい112〜113グラムになります。妊婦さんならお魚で2食分程度に相当します」
基準になったのは魚の切り身で1週間に2食程度。また、それ以上摂取しているグループでも、数値にそれほど変化はみられなかったといい、食べれば食べるほどいいわけではないようだ。
なぜ、妊婦の魚摂取量が子供の睡眠に影響するのだろうか。
「以前、我々は神経発達の関連も見ておりました。すると、魚を摂っていたり、あるいはオメガ3脂肪酸を摂っていると、神経発達の一部に関連していたという結果が出ました。睡眠は中枢神経とも関連していますので、魚を摂っていたり、あるいは魚の中の成分であるオメガ3脂肪酸によって神経発達が促されて、睡眠のリズムがしっかり取れるようになったという可能性が考えられます」
また、もう1つの可能性として腸内細菌との関連も考えられるという。
「母親の腸内細菌は子に受け継がれることも知られています。昨年、発酵食品と子の睡眠との関連も調べました。すると、妊娠中の発酵食品、特に味噌汁をある程度摂っていると睡眠不足のリスク低下と関連していることがわかりました。オメガ3脂肪酸は、腸内細菌に対してもいい影響を及ぼしていることも知られていて、腸内細菌を介して睡眠と関連があった可能性も考えられます」
焼き魚に味噌汁、そしてごはんという日本の和食スタイルが、思わぬ形で出産後に抱えやすい悩みを軽減する可能性も出てきた今回の実験。浜崎教授は「魚にこだわらずバランスの良い食事を心がけてほしい」とした上で、出産後の子供への影響についてこう話す。
「授乳中もお母さんの魚摂取は、そのまま母乳中にオメガ3脂肪酸として反映されます。あと乳幼児の脳は2歳まで急速に発達することが知られていますので、出産後も積極的に魚を摂取いただければと思います」(『ABEMAヒルズ』より)
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