米ニューヨーク大学のランゴーン・ヘルス外科医らのチームが先月、ブタからヒトへの腎臓移植成功を発表した。
【映像】ブタの腎臓をヒトに…公開された移植のイメージ動画(3分ごろ〜)
同大のロバート・モンゴメリー博士は「ヒトへの移植時に想定されるごく正常な状態だった。早期の激しい拒絶反応の兆候はなく、腎臓は正常に機能した」とコメント。移植手術では、ブタの遺伝子を操作し、拒絶反応を起こす分子を取り除いた上で、ブタの腎臓を一時的に人の体につなげたという。移植された新しい腎臓は、患者の血管につながれて体外で3日間維持された。
将来的に異種移植医療につながる可能性が生まれた今回の手術。このニュースに日本初の個人向け大規模遺伝子検査・解析サービスを手がけるGenequest(ジーンクエスト)の代表取締役・高橋祥子氏は「臓器移植でドナー待ちをしている患者さんはとても多い」と臓器移植の現状に言及。
「ブタのような哺乳類からの異種間の臓器移植の研究はこれまでにも進められていました。ただ、ヒトで実際に移植実験を行ったケースは今回が初だと思います。ブタの臓器をそのままヒトに移植してしまうと拒絶反応が起きますので、拒絶反応を起こさないよう免疫に関する遺伝子を編集したのだと思います。『早期の激しい拒絶反応の兆候はなかった』と報告されているので、ブタの遺伝子操作自体には成功したと言えるでしょう」
患者の家族は、脳死状態の患者が生命維持装置から外される直前に実験に同意したという。倫理面の問題はないのだろうか。
「今回の実験は、脳死状態の患者様がいて、生命維持装置を外す直前に患者様の家族が同意したというすごい話です。もし、私が脳死状態だったら、科学の発展に寄与したい気持ちもありますが、脳死状態の人間であれば実験に使っていいのかといった議論もあります。ここは非常に難しいところです。(生きている患者への異種間移植を)実用化していくとなると、さらにもう一つハードルが上がると思います」(『ABEMAヒルズ』より)
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