フィンランド首都 公共イベントで“肉類禁止” 現地で何が起こっているのか?
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 現在イギリスで開催されている、国連主催の気候変動に関する国際会議「COP26」。米中両政府が今後10年間、気候変動問題で協力して取り組むとする共同声明を発表するなど、気候変動を止めるための話し合いが行われている。そんな中、開催地イギリスから遠く離れた北欧の国・フィンランドで起きた“ある動き”が話題を集めている。

【映像】フィンランド首都・ヘルシンキの美しい街並み(40秒ごろ〜)

 今月2日、フィンランド首都・ヘルシンキの市議会は来年以降、市が主催する会議やセミナー、公共イベントなどで提供される飲食サービスについて「肉類や食肉加工品を提供しない」ということなどを、盛り込んだ制度を導入する計画を発表。導入の背景には牛の環境に与える影響があるという。

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 牛のゲップには地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつ、メタンが多く含まれることが知られていて、現在、世界中でメタンを減らすための研究が進んでいる。そんな中、2019年2月、ヘルシンキ市議会は市が使用・提供する乳製品や肉類・食肉加工品を2025年までに半減させるという法案を可決。今回発表された制度はその一貫として導入されたものだ。

 フィンランドの発表によると、来年以降は公共イベントで肉類の提供を止め、代わりに季節に応じた野菜や持続可能な方法で獲れた魚などを使用するという。また、使い捨てスプーンなどの使用をやめることなども発表された。これらの発表について、現地の人々はどのように受け止めているのだろうか。

 フィンランド在住の日本人でライターの靴家(くつけ)さちこさんは「国内では『食肉はどうなの?』『続けていいのか』といった議論が長いこと続いていました」と語る。

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「いよいよヘルシンキが行動に出たのかなと。ヘルシンキ市議会としても、この件は満場一致で可決されました。『ベジタリアンなことを市全体でやりましょう』と言いながら、実際にやるというのは今までありませんでした。多くの外国人がフィンランドに入ってきて『なんでこんなに遅れてるんだ』と刺激を受けた中で『急にきっちりはできないけど、このくらいならできるよね』という感じで積み重ねてきて、今の状態があると思います」

 2004年からフィンランドに住んでいる靴家さん。今回の発表に国内ではどのような反応が起きているのだろうか。

「ほとんどは『支持します』『素晴らしい』といった声で『私たちの街でもやったらどうだろう』と、さらに広げようという声もあります。一方で『お肉ではなく魚を摂りましょう』『近海の魚を獲りましょう』というと『バルト海の汚い海から獲った魚を食べるんですか』という声だったり、ベジタリアン食にすると、最初のうちは代用肉の類の製品は値段が高かったですから。そこ(コスト)も懸念していいと思います」

 ヘルシンキ市は2035年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指していて、現在、電車やバスなどの交通機関も環境に配慮した仕様に変化しているという。人口65万人と、決して大都市とはいえないヘルシンキだが、靴家さんはむしろ今回のような取り組みをヘルシンキのような街が行うことに大きな意義があると話す。

「人々の心の中に『この先、地球環境はどうなっていくんだろう』といった不安とか『何かしなきゃいけないんじゃないか』という使命感がくすぶっていて、それをちゃんと形にしてやってみようとしている。規模が小さいけれど、すごく人々の発想が柔軟です。試すことも早く、それだけのコンセンサス(合意)を得られることが早い。規模の人数というのも利していて、何かやろうとしたときに『それは続けてできることなんですか』『今すぐ急にやったら大変すぎないか』と議論する。すぐみんなやろうって飛びつくような人たちではなく、持続可能かどうか判断してやる取り組みは、本当にフィンランドは強いと思います」(『ABEMAヒルズ』より)

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