「僕は山内想です。今は10歳でSt Michael’s University School(セント・マイケル・ユニバーシティ・スクール)の5年生です。今はカナダのビクトリアというところにいます」
インタビューに応えているのは、カナダ在住の山内想さん、10歳。今年8月にカナダに移り住み、現地の学校に通っているという。興味を持っている分野を聞くと……
「たくさんのことに熱中しています。数学や科学、歴史などですが、特に科学に情熱を持っています」(※以下、全て英語で回答)
なんと、日本語の質問に英語で回答。山内さんは、先月『ABEMAヒルズ』で紹介した“数学者”の梶田光さん(13歳)と同じく、突き抜けた才能を持つ若手人材の支援を行う「孫正義育英財団」の財団生に選出された一人で、3歳の頃に科学や宇宙に興味を持ったという。
今は化学、物理、歴史、地球環境、資源問題などにも関心があり、将来の夢は、航空宇宙エンジニア。マサチューセッツ工科大学かカリフォルニア工科大学で航空宇宙工学や環境工学を学び、月に新しい基地を作ることを目標にしている。
日本では5歳から8歳までインターナショナルスクールに通い、その後は公立の小学校で学校生活を送っていた山内さん。インタビューでは、山内さんが5歳の頃から書き始めた手作りの科学新聞を見せてもらった。
科学新聞では「なぜヤモリは壁を登れるのか」という疑問に対する解説に始まり、地球温暖化の原因の分析や、宇宙に関する内容など、科学についてのさまざまな記事がすべて英語で書かれていた。「卵を落としても割れない装置」の検証では、複数のパターンで実験。ボトルの中に水を入れた状態だと100%成功したという。
また、山内さんが熱心に取り組んだのがロボットの開発だ。設計から動作テストまで、自らが思い描いた理想のロボットを製作し、ロボット工学の基礎を学んだ。
幼い頃から好き嫌いがはっきりしていて、好きことについては、とことんのめりこんでいく。母・澄(さやか)さんは、そんな息子に合った“環境探し”に奔走した。
「想の場合は、小さいときに周りだったり、いろいろな方から『ちょっと日本だと難しいんじゃないの』と正直言われていて。一から全部手探りでした。特に日本においては、誰に聞いても答えは持っていないので、そういう意味で私の場合、海外の情報が手に入って、海外のいろいろな人たちが助けてくれたことがとても大きかったですね」(母・澄さん)
山内さんの意欲の前に立ちはだかったのが、学校制度の壁だ。インターナショナルスクールでは飛び級で4年生まで終えていたものの、公立小学校転入時には学年が2つ戻ってしまった。さまざまな環境に身を置いた経験から、日本とカナダの違いについて山内さん本人はこう答える。
「一番大きな違いは、生徒にやる気があること。先生も生徒を手助けしようと頑張っています。(先生たちは) 他の生徒と接触して自分たちももっとできることを知り、(かけ持ちの)生徒たちももっとできるようになってもらいたいと思っています。カナダはそうです」
やる気があればどんどん次のステップに進める環境があるカナダ。山内さんは今、どのような将来を思い描いているのだろうか。
「僕は航空宇宙エンジニアになって、(月面に)新しい基地を作りたいです。生物史上、私たち(人間)ほど長く存続した生物はあまりに珍しく、そのために淘汰が起きて、たとえば気候変動によって、人類は絶滅の危機に晒されてしまいます。それが、僕が航空宇宙エンジニアになりたいと思った理由のひとつです」
また、医療やテクノロジーの分野での活用が期待できる月の鉱物にも興味を持っているという山内さん。インタビューの最後に「絶対に言っておきたいことは?」と聞くと、「親や生徒、子供たちに向けて? 教訓かな。決して諦めないこと。常に夢と情熱を追いかけること(が大事)」と答えた。
文部科学省では“ギフテッド”と呼ばれる特異な才能を持った子供の支援を検討していて、今月1日に行われた有識者会議では、当事者や保護者らに行ったアンケート結果を公表。これをふまえて支援策を検討するとしている。(『ABEMAヒルズ』より)
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