将棋の藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)が11月12、13日に行われた竜王戦七番勝負第4局で、豊島将之竜王(31)を122手で下し、同シリーズの成績を4勝0敗で竜王位を奪取した。史上最年少19歳3カ月での四冠達成で、棋士の序列でも1位に。将棋界の頂点に立つと、対局後の新竜王としての記者会見では、最高峰タイトルの獲得に「幸運だった」と語り、さらに「将棋は奥が深くて、どれだけ考えてもわからない」と、さらなる努力を誓っていた。会見の内容は以下のとおり。
【中継】第34期 竜王戦 七番勝負 第四局 2日目 豊島将之竜王 対 藤井聡太三冠
――竜王獲得の感想をお願いします。
まだ実感が沸かないところがありますが、竜王というのは最高峰のタイトルですので、とても光栄に思っています。豊島竜王との対戦は、全体的に押されている対局が多かったので、結果が出せたのは幸運だったのかなと感じています。
――棋士としてこれからどのような目標を持ちますか。
今回竜王を獲得することができて、竜王位の重みを感じますし、それにふさわしい将棋を指したいと思っていますが、これまでと変わらず強くなれるように取り組んでいきたいと思います。
――序列トップになりました。
それについてはあまり意識したことはなかったんですが。1位というのは光栄なことだと思いますし、同時に身の引き締まる思いでもあります。
――豊島竜王との十九番勝負で得られたものはありますか。
全体を通してこちらが気づいていない好手を指されたり、気づいていない間にこちらが悪くなっていることもありました。自分の課題を突きつけられた気がします。
――今日は師匠の杉本昌隆八段の誕生日です。
師匠の誕生日というのは、全く知らなかったんですが、これまでお世話になってばかりだったので、初めてプレゼントのようなことができたのかなと思います。
――全八冠のうち四冠を保持して藤井竜王の時代
今期はこれまで結果は出せていますけど、内容的には課題は多いですし、自分としてはそういう印象は全くなくて、常に危機感を持ってやっています。
――竜王戦の賞金、使い方があれば。
いや(笑)。それは全く考えていませんでした(笑)。ゆっくり考えたいと思います。
――竜王戦で4勝0敗。強くなった実感はありますか。
今年は特に序盤について重点的に取り組んでいるので、そのあたりは以前より成長できたところはあるのかなと感じています。
――第4局は終盤まで難しかった。終盤のぎりぎりでの緊張感は、どう感じていましたか。
本局は封じ手のあたりはまずまずだと思っていたんですが、その後、具体的な手順がわからなくて。最後、お互いの玉が詰むか詰まないか、際どい形が多いので、自分としても読み切っていたわけではないです。どちらかと言えば、こちらが負けの変化が多いと思っていました。先手が、どの順が一番いいかは、はっきりわかってはいなかったです。
――実力が足りないと感じているところは。
実力が足りないというのは、一局指すごとに感じることで、対局ごとにうまく判断できない局面があるので、そういう局面を減らしていかないといけないと思います。
――王将戦で5つ目のタイトルの可能性があります。抱負を。
王将リーグに関しては、ここまではいいペースで来られているので、残り2戦もしっかり集中して指せればと思っています。
――こんなルールで対局してみたいというものはありますか。
そうですね。将棋は指すごとに現在のルールでバランスが取れている印象があるので、今のルールが最もバランスがいいなと思います。
――将棋とはなんでしょう。
将棋は奥が深くて、どれだけ考えてもわからないものではあるんですが、本当に指すごとに新しい発見を与えてくれるものなのかなと思います。
―ーファン、師匠へひとことお願いします。
対局を観戦いただき、ありがとうございます。本局も終盤は苦しい局面が多かったと思うので、まだ実感が沸かないところではあるんですが、今後竜王としてこれまで以上に精進しておもしろい将棋をお見せしたいと思っています。
(ABEMA/将棋チャンネルより)