自転車の悲惨な事故 知るべきヘルメットの安全性と「時には乗らない」判断 「“自転車は車と道を共有する”という意識を」
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 今月12日、大阪府枚方市の歩道で、男子中学生が乗った自転車と歩道を歩いていた70歳の男性が正面衝突。男性は病院に搬送されたが、約5時間半後に死亡が確認された。自転車が下り坂を走行中に起きた事故で、警察は過失致死の疑いも視野に、事故の瞬間をとらえた防犯カメラの映像を解析するなどして捜査を進めている。

【映像】コロナ禍の自転車ブーム 一方で悲惨な事故も

 また、11日には、東京・世田谷区でトラックが左折する際に自転車に乗った親子が巻き込まれ、女性が抱っこひもで抱いていた生後8カ月の男の子が死亡する事故も起きている。

 警視庁の統計によると2020年、都内で自転車が関わった事故の割合は過去6年間でトップになっている。帝国データバンクの調査によると、2020年度の自転車の販売市場は2100億円を超え、過去最高を更新。新型コロナウイルスの感染拡大による感染リスクの低い移動手段、そして食事の配送サービスの広がりなどによって、自転車が見直されていると分析している。

自転車の悲惨な事故 知るべきヘルメットの安全性と「時には乗らない」判断 「“自転車は車と道を共有する”という意識を」

 自転車の活用が増える中、利用者が気をつけられることについて、自転車活用推進研究会理事長の小林成基氏に話を聞いた。小林氏は、ヘルメットの着用率向上を目指すべきだと訴える。

 「学校でも、中学生・高校生で自転車通学をする子どもたちにヘルメットをかぶらせようという話はある。しかし、その場合、校章がついていて工事現場でかぶるようなヘルメットをかぶらせるケースがあって、子どもたちには不評だ。学校に行っている間は義務だからかぶるけど、卒業したら絶対かぶらないという、ヘルメット嫌いを増やすような結果になる」

 もう1つ肝心なのが、その安全性だという。

自転車の悲惨な事故 知るべきヘルメットの安全性と「時には乗らない」判断 「“自転車は車と道を共有する”という意識を」

 「工事用のヘルメットみたいなものは、倒れて地面に頭を打った時、衝撃の減退率は4分の1くらい。一方で、自転車用のプラスチックで表面を覆った発泡スチロールのヘルメットは、それ自体が割れて中の頭蓋骨を守るが、減退率が15分の1になる。工事用のヘルメットをかぶって地面に頭を打つ場合に比べて、はるかに衝撃が少ないし安全」

 道路交通法では、13歳未満の子どもにヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。ただ、罰則はないため、街中でヘルメットを着用していない子どもを見かけることも多くある。自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に損傷を負っているが、ヘルメットの着用が浸透していないのが現状だ。

 また、小さな子どもを持つ家庭では当たり前になった子ども用の座席があるタイプの自転車は、利用する際に細心の注意が必要だと小林氏は指摘する。

自転車の悲惨な事故 知るべきヘルメットの安全性と「時には乗らない」判断 「“自転車は車と道を共有する”という意識を」

 「2輪で倒れるような自転車に、子どもを高い位置に乗せるのはあまりヨーロッパではやらない。2~3人乗せることができる『カーゴバイク』があって、そういったものが一般的。日本の子ども乗せ自転車というのは、世界で見ると異質なものになっている。赤ちゃんの間はベビーカーに乗せる、自転車で運ばない、というのは鉄則だ」

 免許が不要で便利な自転車だが、急いでいる時に事故は起きやすいため、そんな時こそ冷静に「時には乗らない」という判断も重要だという。

 「自転車の法律はヘルメットに限らないが、いろいろ罰則も決まっているものでも、実際には取り締まらないケースがたくさんある。何が違反で何が本当はいけないのか、何が安全で何が危険なのかがよくわからない状況になっている。ヘルメットに限らないが、もう少し“自転車が車と同じように道を共有して使うものである”という意識を持たせるような、メディアも含めた啓蒙活動が必要なんだろうと考えている」

自転車の悲惨な事故 知るべきヘルメットの安全性と「時には乗らない」判断 「“自転車は車と道を共有する”という意識を」

 消費者安全調査委員会の調査(令和2年12月報告書)によると、2人乗せの場合、約6割が推奨以外の方法で幼児の乗せ降ろしを行っており、事故・ヒヤリハットを経験した割合は回答者全体の54.3%に上るという。

 こうした状況に、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「僕は田舎で生まれ育ったので、自転車がなかったら学校にも通えなかった。僕は自転車で骨折したこともあるし、中学の同級生は1人自転車事故で亡くなっている。それでも、道路の見通しはよかったし、停めるところもいっぱいあって、地方では比較的安全で便利な乗り物」とした上で、より危険性や恐怖を覚えるのは都市部の環境だという。

 「ただでさえ道が狭くて、車もたくさん走っている。子どもを前後に乗せるというのは、ルール上違反ではないかもしれないが、僕も危険すぎて問題だと思う。本人が運転して移動することだけを考えたら、(自転車は)小回りが利いて便利だが、事故の危険性はかなり高い。都市部はバスがとても細かく走っていて、少しは待たないといけないかもしれないが、僕の地元みたいに1、2時間待つわけではない。15分待てば来るようなところは正直、特別な理由、仕事上必要だという許可を得た人以外は制限するほうがいいと思っている」

自転車の悲惨な事故 知るべきヘルメットの安全性と「時には乗らない」判断 「“自転車は車と道を共有する”という意識を」

 電車やバスなどの交通網が発達している都市部においては、自転車を制限することで事故を減らすことができると言及した若新氏。一方で、自転車に関わる法律や条例がある中、なかなか認知が進まない状況においては次のように指摘した。

 「(法律や条例が)あったとしても、例えばヘルメット未装着や駐車禁止を取り締まるのはすごく大変。数も多いし、それだけ取り締まる人を動員しなければいけない。だから、僕はなおさら、乗っていいエリアと仕事や通学など特別な許可がないと乗れないエリアに分けるべきだと思っている。最近都市部では配達員の自転車も増えているが、そういうのはちゃんとヘルメットを着用して許可をもらった人ができるようにして、守っていない人はできないようにする。その人たちは仕事のために自転車を使うわけなので、ちゃんと守るようになると思う。こういう問題を考える時、日本全国をまるっと1個で捉えるのではなく、都市部と地方で分けて考えていくと、もう少し自転車と共存できるいい未来があるのではないか」

 自転車の利用が増えることは二酸化炭素の削減や健康社会の実現など公共の利益にも繋がる。小林氏は、車のドライバーに自転車は本来、歩道ではなく車道を走るものと“慣れてもらう“ことが大事とした上で、自転車の安全な走行を妨げる違法な路上駐車などをいかに減らしていくのか、自動車側への対策が必要と述べた。(『ABEMAヒルズ』より)
 

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