「小さく生まれた赤ちゃんでも…」“早産児”支える日本の周産期医療 「世界早産児デー」
“早産児”支える日本の周産期医療
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  2020年7月、アメリカ・アラバマ州で生まれた男の子、カーティスちゃん。生まれたときの体重は420グラムで、出産予定日よりも4カ月早い妊娠21週目で生まれた。

 現在1歳4か月のカーティスちゃんが今月10日、「世界一早産で生まれた赤ちゃん」としてギネス世界記録に認定された。栄養を摂取するためのチューブなどがまだ必要だが、健康にすくすくと育っている。

【映像】世界トップクラスの医療成績を誇るも…日本の周産期医療の課題

 カーティスちゃんに限らず、早産で生まれてくる赤ちゃん、いわゆる「早産児」は少なくない。そこで、国連やWHO(世界保健機関)などの諸団体は、2011年より毎年11月17日を「世界早産児デー」と制定。世界中の早産児とその家族をサポートすべく啓蒙活動が行われている。

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  早産児の増加は日本も例外ではない。NICU(新生児集中治療室)に入院する子供のための家族会を立ち上げた、慶應義塾大学病院・小児科の有光威志助教に話を聞いた。

「早産児は約20人に1人、低出生体重児は約10人に1人です。1年間に100万人出生すると考えると、早産や低出生体重児の赤ちゃんは1年間に約10万人生まれています」
(慶応義塾大学病院・小児科、有光威志助教・以下同)

 通常40週前後とされている妊娠期間だが、日本では37週未満で生まれてくる赤ちゃんを「早産児」としている。さらに、体重2500グラム未満で生まれてきた赤ちゃん「低出生体重児」と呼び、高度な医療を必要とする場合もあると有光助教は話す。

「早産で生まれた赤ちゃんは、体の機能がお母さんのお腹の外で生活するための準備が十分にできていない状態です。そのため、呼吸、心臓を動かすこと、栄養を摂取することなどに医療が必要になることがあります」

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 かつて超低出生体重児の救命が難しいとされていた時代もあった。しかし有光助教は、新生児医療の進歩により、小さく生まれた赤ちゃんでも元気に育つ可能性が十分にあると力強く語る。

「幸い日本の周産期医療の治療成績は世界トップクラスと言われていまして、体重1000グラム未満で出生した超低出生体重児であってもその救命率は高く、約90%がNICUから退院していきます」

 2018年8月に慶応義塾大学病院で生まれた体重わずか268グラムの男の子。妊娠24週の早産だったが、新生児集中治療室で育てられると、5カ月で3200グラムを超えるまでに成長。元気に退院した。

 世界トップクラスの医療成績を誇る日本の周産期医療。このような事例が今後のさらなる医学の発展につながってほしいとしながら、まだまだ課題は多いと有光助教は指摘する。

「NICUに入院する子どもは、重症な赤ちゃんが多いため高度な医療が必要で、その家族の不安に対する『精神的な支援』というものがとても大切です。『精神的支援』というのは、ご家族の不安や心配に寄り添い、気持ちを支えるということです。ご家族がどういう不安を抱えているのか、そういうことを早産でないご家族の方が十分に理解していないということが今の課題のひとつではないかと思っています」

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 早産や低出生体重児の生まれる原因は、子宮内感染や母親の体質に因ることが多いと言われている。そのため、大きな不安を抱え自分自身を責めてしまう母親も珍しくないそうだ。そういった不安に対して、早産の家族や先輩の家族と話したり共有したりすることで気持ちが伝えられることも多いという。

 不安を抱える家族たちをサポートする「世界早産児デー」。今年のスローガンは「家族分離ゼロ」。その言葉が持つ意味、そして生まれてくる赤ちゃんへの思いについて、有光助教はこう明かす。

「早産で生まれて病院に入院している赤ちゃんも家族とコミュニケーションをとることができます。赤ちゃんはお母さんのおなかの中で家族の言葉を聞きながら育ちますが、早産で病院に入院している赤ちゃんも家族の声を聞いています」

「家族が赤ちゃんと過ごす時間は家族関係を深め、家族の気持ちを安定させ、赤ちゃんの発達を促します。私たちの共通の願いは、生まれたすべての赤ちゃんが人生を謳歌することです」

(『ABEMAヒルズ』より)

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11月17日は「世界早産児デー」…“早産児”支える日本の周産期医療
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