韓国の弁護士「日本の政治家たちは侵略戦争の反省をしていない」 “領土議連”の新藤義孝議員と竹島の歴史をめぐり激論
新藤議員と崔弁護士による議論の様子
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 北朝鮮や中国への対応を協議していた日米韓3カ国。しかし17日の共同会見に現れたのはアメリカの代表だけ。前日、韓国の警察トップが竹島に上陸、日本側が厳重に抗議するとともに、会見への出席を拒否したためだ。

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 韓国警察庁の長官による竹島上陸について、超党派の「領土議連」会長で元総務大臣の新藤義孝衆院議員は次のように批判する。

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 「3カ国の外務次官が集まって、国際的な安全保障の枠組みをどうするかという、とても大事な協議をやる前日に日韓が争ってしまったということだ。韓国政府の人間が公の立場で上陸するというのは極めて良くない、非常にセンスの悪い行動だ。日本としては絶対に受け入れられないので強く抗議をすることになるし、あらゆる活動が一時止まってしまうわけだ。ただ、今回のことは韓国政府が積極的に出しているわけではなく、韓国のマスコミがスクープしたことなので、警察庁長官がどのような方法で上陸し、どのくらい滞在したかも明らかになっていない。韓国政府の統治能力が非常に落ちているのではないかと私は思う」。

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 島根県に属し、歴史的にも国際法上も日本固有の領土である竹島。しかし韓国は「独島」と呼んで歴史的にも国際法上でも韓国固有の領土だと主張、警備隊を置くなどして実効支配している。日本側は不法占拠をやめるよう抗議し、撤回を求めているが、韓国は軍事演習や議員団・政権幹部、観光客らの上陸が続いてきた。

 さらに島根県が2005年、条例で「竹島の日」を制定すると、韓国では激しい抗議デモが巻き起こる。そして2012年には当時の李明博大統領が歴代大統領として初めて竹島に上陸。日本政府は武藤駐韓大使を帰国させるなどの強い措置を取り、3度にわたって国際司法裁判所に判断を委ねることを提案しているが、韓国側は全て拒否してきた。

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 新藤議員は「江戸時代、日本人が鬱陵島に漁に行っていたが、その中継地として使われていたのが竹島だ。アワビやワカメがたくさん採れたので、漁は竹島でも行われていた。江戸時代には領土についての取り組みも法律もなく、鳥取や島根の漁師たちが幕府から許可をもらって行っていたのが実態だが、明治になると民間からの要請を受けた政府がどこの国の領土にもなっていないことを確認した上で、正式に編入したという経緯がある。ところが昭和20年、日本が戦争に負けて占領されると、竹島についても主権を失うことになる。その後7年間の占領を経てサンフランシスコ平和条約で独立を回復した際、竹島も日本の領土に含まれるという形での国際的な約束が交わされたわけだ。ところが韓国は竹島に上陸をした。日本には当時、軍隊はなく、海上保安庁もピストル1丁、持っていなかった。そういう中で韓国は日本人をピストルで脅して、今に至っている。

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 韓国側の、“自分たちの領土であってほしい“という気持ちは分かる。ただし残念ながら、李氏朝鮮時代に竹島の正式な図面は1枚もない。“于山島”という島が竹島だという主張もあるが、地図上で于山島は鬱陵島の手前の朝鮮半島側にあるし、大きさもほぼ同じだ。鬱陵島は世田谷区よりも面積の大きな島だが、竹島は日比谷公園の面積と同じだ。また、1900年、当時大韓帝国政府が鬱陵島の管轄区域として竹島を入れたいう主張もあるが、韓国政府の文献では鬱陵島のエリアは縦が34km、横が21kmなのに対して、竹島までは91kmの距離がある。つまり竹島の存在は認識していないということだ。“自分たちのものだ”と言われても、根拠はゼロだ。にもかかわらず不法占拠しているから、私たちは正式に話し合いをしようと言っているということだ」。

 一方、竹島に上陸した経験があるという「日帝被害者人権特別委員会」委員長の崔鳳泰弁護士は「竹島は鬱陵島から見ることもできるし、漁業民たちが事業をするなど、韓国人が利用してきたという様々な資料がある。こちらには固有の領土だという認識が確かにある」と反論する。

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 「警備している警察官の激励などのために、政治家や県知事、官僚たちがたくさん上陸しているので、いちいち抗議をしているときりがない。韓国の警察庁長官は12年前にも上陸しているが、日本政府は抗議しなかった。しかし今回はなぜ抗議をしたのか。領土問題というのはナショナリズム、民族主義に利用しやすい部分があるので、日本の市民は政治家たちを注意して見ておく必要があると思う。私は紛争があるのは、ある面ではいいことだと思う。それによって、お互いが話の必要性を感じることができるからだ。その意味でも、竹島の問題は裁判で解決するのもいいが、対話によって解決した方がいい」。

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 これに対し新藤議員は「崔さんはよくご存じだと思うが、かつての韓国は問題が大きくならないよう、竹島への上陸にとても注意を払っていて、政府の人たちはほとんど行かなかったし、今は観光客がたくさん行くようになったが、以前は船をチャーターしなければいけないような孤島だった。それが2000年頃から韓国が経済的にも大きくなると、政府の人たちが行くようになり、ついに大統領が上陸するまでになった。さらに戦争に関する問題を持ち出して、“もう口を出さないでくれ“と言って不法占拠を強化しようとしている。今まで日本と韓国は正式な協議を一度も行ったことがない。歴史的事実と法律に基づいて国と国が正しく決着さるためにも、話し合いをしようということだ」と強調した。

■「お互いに主張と主張を同じテーブルに乗せて、まずチェックをすることから」

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 福井県出身の若新雄純・慶應義塾大学特任准教授は「日本海側で生まれ育った僕としては、何が何でも竹島を日本の領土として守ってほしいという気持ちがある。一方で、国際法や国際裁判所では解決しないということも僕たちはさんざん学んできた。“事実”という言葉が出てきているが、立場が違うと“事実”もこれだけ違ってくるわけで、もはや“真実”は神様でない限りわからない。最終的には、国として長生きできた方が竹島を取るということになるのだと思う」とコメント。

 その上で、「両国は国交を結んでいるわけだし、戦争をする気もないわけだから、互いに譲れないことは戦略的な棚上げをし続けるしかない。その点では、日本側は自分たちのものだと言いながらも、上陸などの行動は控える“大人の対応”を取ってきた。韓国の側も、国内政治が上手くいっていないということもあるのかもしれあにが、ここで上陸してしまうというのは幼稚な対応だと思う」と指摘した。

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 新藤議員は「今の日本の教科書には竹島が日本の領土で、韓国が不法占拠しているということが書いてあるが、つい最近までは学校で教えていなかった。そして、今でもなぜ日本の領土なのか、その理由は書かれていない。だから日本の国民の皆さんも分かりようがない。子どもたちに自分の国の歴史、どうやって領土が成り立っているかという国の基本は教えなければならないし、その上で、日本に都合のよい理屈を押し付けるのではなく、歴史的な事実と国際的な法律に基づいて、きちんとした解決をするべきだ。そのためにも、客観的な証拠を韓国の皆さんにも知ってもらいたい。しかし韓国では子どものところから『独島の歌』を歌わせ、竹島は韓国のもので、日本に奪われた島を取り返しのだと洗脳している。私は事実を知らされていない韓国の人たちは気の毒だ思う」と指摘。

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 崔弁護士は「おっしゃるとおりだと思う。日韓の未来のためにも、自分の都合がいいことだけを学生さんに教えることは非常に危ない。事実をちゃんと教えてあげることが一番大事なことではないか。竹島以外にも、いろいろな問題がある。法律家として私が早く解決したいのが、併合条約についての歴史認識だ。私は日本の市民たちを信じている。良心的な市民がたくさんいることも知っている。しかし日本の政治家たちが竹島について日本の領土だと主張するのは、侵略戦争を全く反省していないということの証拠になると思うし、もう一度韓国を侵略したいという趣旨だと私は受け止めている。

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 日本が竹島を島根県に編入したのは1905年のことだが、その10年前、日本では閔妃として知られている明成皇后が日本の外交官たちによって殺された。関連する記事が先日も朝日新聞に出ていたが、この事件について日本政府が一言でも謝罪したことはあるのだろうか。新藤さん、日本の政治家たちが若者を大事にするのはいいことだ。領土問題はナショナリズムに利用される可能性が非常に高いテーマなので、日本に不利なことも学生さんにちゃんと教える必要がある」と投げかけた。

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 新藤議員は「現実には日韓併合よりも前に手続きは終わっているし、無主の地だった江戸の頃も日本人が使っていた。だから韓国を併合して竹島が日本のものになったのではない。しかし韓国の人たちはそう主張しないと竹島に上陸する根拠がなくなってしまうと考えている。両国が折り合うことは難しいし、お互い都合のいい主張もあるが、調べ抜けば事実は一つしかない。日韓で歴史共同研究をやったこともあるが、韓国側が頑なに竹島のことは触られたくないということで、実は除外されてしまった。都合のいいような解釈でおやりになるが、それは無理だ。

 また、日本と韓国は日韓基本条約を結んでいて、解決のつかない問題については紛争委員会を作って話し合いの場を設けようとしている。ところが、韓国はそのテーブルに着くことすら拒否する。大事なことは、お互いの主張が違っていても話し合いをすることだ。それを両国の国民が客観的に見て、何が事実なのかをお互いに知り、相手に敬意を持ちながら事実は事実として受け入れて決着をさせようということだ。それまでは、お互いに勝手なことは控えること。私達は粘り強く、必ず覚悟を持って対応していくことを考えている。

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 その意味では、崔さんはすごく重要なことをおっしゃっていたと思う。まず、韓国の人が日本語でここまで会話してくれるのだから、ありがたいし、すばらしいことだ。こうやって話し合いをしていくべきだ。今までの日本の反省点は、韓国側が何を言っているかについてはあえて触れず、日本の立場しか言わなかった。韓国側も、日本が言っていることはデタラメだとしか言わなかった。お互いに主張と主張を同じテーブルに乗せて、まずチェックをすることから事態が動いていくと思う」と語りかけた。(『ABEMA Prime』より)

新藤議員と崔弁護士による議論の様子
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