この男のリーチは怖い。そう植え付けられた歴史があるからこそ、この日も最後までライバルは震撼した。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2021」11月26日の第1試合、セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)がオーラスに大逆転を期すリーチ、これにライバルがそれぞれ緊張した表情を浮かべ、視聴者は大興奮、試合が大いに盛り上がった。
場面は南4局2本場、EX風林火山・勝又健志(連盟)と渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)のトップの競り合いに割って入ろうとしたのが近藤だ。9巡目にタンヤオをテンパイし、打点アップを狙ってダマテンとすると、11巡目に赤5索を引き入れ、これを最終形と見て二万と七万のシャンポン待ちでリーチ。山には二万が1枚だけある。現状はツモの1ハンを含めると満貫、これに一発・裏ドラ・ハイテイなどの偶然役を加え、跳満となれば2者をまくってトップとなる。解説の瀬戸熊直樹(連盟)は「これで裏々OKになった!一発ツモウラか、ハイテイツモ裏か、ツモ裏々」と熱気を帯びた声で説明した。
昨期の3月4日、第2試合で近藤はオーラス、震える手で倍満をツモり、ラス目から大逆転を果たしている。この場面が視聴者の記憶に新しい。そしてライバル3者にとっても「近藤のリーチは怖い」という印象は十分にあるはずだ。このリーチ発声の直後、トップ目の勝又はすぐさま点棒表示に目をやり条件確認、2着目の松本も思わず頬を触り、動揺を隠せない。沸騰する場面に、視聴者からは「近藤さん!魅せてくれー」「夢芝居はよ!」「カッ!ツモ来い!」「いけいけいけ」と声援が飛び交った。近藤の一発目のツモが八万と、アガリ牌のマンズであることが見えるとまた実況の松嶋桃(協会)も「違うか!ちょっとドキっとしました!」と大興奮だ。
13巡目、近藤は見事に最後の二万を引き当てた。こうなると瀬戸熊も「うわー!裏ドラ次第!」と叫び「一(万)か六(万)が出れば勝ち!」と裏ドラに着目し、視聴者もすわ逆転劇の再来かと盛り上がった。じっくりめくられた裏ドラは8筒で1枚乗ったものの、惜しくも満貫まで。近藤は3着で終局した。しかしこのゲーム、最も湧いたのはこのアガリであり、盛り上げた立役者はまぎれもなく近藤だ。視聴者からはその後も「惜しいいい」「流石の戦いだな」「誠一さん魅せてくれますなぁ」とエキサイティングな結末に思い思いのコメントを書き込んでいた。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)