18歳の高校生が死刑判決を下す日がやってくる?メンタルケアはどうするのか? 裁判員の選任年齢引き下げに懸念の声
元刑務官が語る死刑執行の瞬間
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 来年4月の民法改正で18歳に引き下げられる成人年齢。また、18、19歳に対する厳罰化が賛否を呼ぶ中、今年5月には改正少年法も可決・成立している。そうした中、あまり注目されてこなかった論点が、裁判員の選任年齢の20歳から18歳への引き下げだ。

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 くじ引きで選ばれる確率は0.01%程度といわれ、選ばれても80%近くが辞退をしているのが裁判員の現状だが、それでも今回の改正により、再来年には高校生が裁判員として審理に臨み、場合によっては死刑判決を下すか否かの議論に参加する可能性が出てきたということだ。ところが、この引き下げについての議論や周知はほとんどされず、最高裁判所や法務省のホームページに法律改正の告知があるだけ。

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 こうした現状について、裁判員制度の充実を目指し、2010年に共同代表世話人として「裁判員経験者ネットワーク」を立ち上げた牧野茂弁護士は「プロセスがおかしい」と指摘する。

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 「裁判員の選任年齢が決められる際の議論でも、最終的には選挙権年齢と同じ20歳にはなったものの、25歳や30歳がいいのではないかという意見があった。次に、公職選挙法の改正で選挙権年齢が18歳に引き下げられたが、このときも少年法では18歳、19歳は大人と同じ処遇は受けていない、裁くときだけ大人になるというのはおかしいのではないかといった国会で意見が出て、そのまま18歳に引き下げられることはなかった。さらに民法での成人年齢の引き下げが国会で議論された歳にも、やはり少年法との関係から、裁く側だけ18歳からというのはおかしいのではないか、という話になった。

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 そしていよいよ今年5月の少年法の改正になるわけだが、確かに18、19歳への厳罰化の動きとして“特定少年”という概念が出てきたが、一方で今まで通りの扱いも残ったので、いわば“一人前扱い”に近づいた部分と、まだ“少年扱い”をしている部分のある、中間的な改正になった。だから裁判員の選任年齢についても、今までのペンディングをやめるのかどうかという議論をする余地があったはずなのに、なぜか何の議論もなく、当然のように18歳に引き下げられることになってしまった」。

 さらに「内容」についても、「今一度、考え直した方がいいのではないか」と訴える。

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 「裁判員の選任年齢を決める際の前提となったのが司法制度改革審議会の意見書だが、その中では制度の趣旨について“広く一般市民から国民の健全な常識を反映させる”と説明されている。“広く市民一般”という意味では、確かに18歳の若者を含めてもいいかもしれない。裁判員6人の中に18歳がいて、新鮮で青くさい議論をする人がいてもいいんじゃないかという発想もあるし、全員が18歳だったらどんな判決が出るんだろうとも思う。しかし“国民の健全な常識を反映させる”という目的からすれば、ある程度の社会経験がなければならないのではないか、という考え方もあると思う。

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 裁判官だって若いうちは単独では公判を担当できないし、陪審員制度のあるアメリカ、イギリス、カナダでは18歳からだが、量刑の判断は難しいので担当は事実認定だけだ。立法時の、こうした疑問に立ち返って議論すべきだ。もちろん、年齢が上ならば遂行能力があるかという単純な問題でもなくて、18歳でも鋭い判断ができる人もいるだろう。私も被選挙権年齢である25歳がいいのではないかと思っているが、18歳にしてもいいのではないかという思いもあって悩ましい。

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 牧野弁護士の話を受け、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「確かにもう少し議論があっても良かったのではないかとも思うが、大学に行っている人が社会に出るのは、選挙権年齢の20歳はとうに過ぎた23、4歳になってからだ。もっと上の年齢の大人も含めて、“健全な常識”が身についているのかなと思う。一方で、決められた成人年齢を過ぎても大人と同等の扱いをせず、判断能力がないと子ども扱いをする社会の姿勢もどうなのかなと思う。犯罪は社会を映し出している部分もあると思うので、裁判に若い人の感覚が反映されることは大事だ。それが“広く市民一般”の感覚を取り入れるということではないか」と指摘。

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 また、ギャルユニット「ブラックダイアモンド」リーダーのあおちゃんぺは「やはり社会にどのぐらい揉まれてきたかということの方が重要だと思うので、私は年齢というよりも、“働いた経験が5年以上”などの条件にすべきだと思う。それから、辞退するにも条件があるということだし、興味本位で行ってしまった結果、誰にも相談できずに心に傷を負ってしまう心配もある」とコメント、EXITのりんたろー。は「20歳と18歳に大きな差があるとは思えないし、懸念もあまりないが、参加した結果として後悔したり、自分を責めてしまったりする可能性があることを考えれば、むしろ思い切って年齢を上げちゃってもいいのではないか」と話した。

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 さらに兼近大樹は「法律のことを学んだり、社会背景を知ったりする機会にもなると思う反面、悲惨な事件の内容に触れて心にダメージを負ってしまったら…とも思う。逆に高校生だったら、“これ、おもろいんじゃない”“仲間内にしか見えないからいいでしょ”みたいな感じでインスタストーリーに上げちゃう子も出てくるんじゃないか。そもそも大人たちが“これはやりなさい。これはやったらダメだ”と決めているだけで、18歳が決められない、生の声も聞かれないというのが気持ち悪い」と批判した。

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 スタジオの意見を踏まえ、牧野氏は「休むための仕組みも完備されていない中、真面目な人ほど、“権利がある”と言われると辞退できなかったり、“やらなきゃいけない”“やっぱりやってみたい”などと悩む。実際、大学生の経験者たちがそうだ。裁判所も電話相談窓口を設けてはいるが、知らない人に相談できるような話ではない。私たちが裁判員経験者ネットワークを立ち上げたのも、そうした心の負担を和らげるためだ。審理の途中も裁判所にカウンセラーや臨床心理士を待機させ、いつでもケアを受けられるようにすべきだという提言もしている。18歳に引き下げることを決めたのであれば、法教育の充実はもちろん、守秘義務でがんじがらめになってしまう問題や死刑の評決条件が全員一致でない問題など、これまで放置されてきた裁判員制度の問題点も含め、解決していってほしいと思う」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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