世界で広がるオミクロン株 医師が「伝播性」「病毒性」「免疫逃避」から現状を分析
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 6日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の国内3例目の感染者が確認されたと発表した。

 世界各地で確認されているが、未だその実態がよくわかっていない「オミクロン株」。気をつけるべき点について、新型コロナの感染症やワクチンについて正しい情報を届ける「こびナビ」副代表で医師の木下喬弘氏に話を聞いた。

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 先月25日に南アフリカで報告されて以降、世界40以上の国と地域で確認されているオミクロン株。木下氏は「渡航者だけではなくてすでに国内での伝播が確認されている国がある。イギリスやアメリカは完全に国境を突破されていて、国内での流行が始まっているということで、早い勢いで世界中に広がっている印象を受ける」と話す。

 変異株についてはこれまでも確認され、特にデルタ株が猛威を奮ったが、木下氏はそもそも「変異」の危険性について3点を指摘する。「1つ目が伝播性の上昇といって、人から人にうつりやすくなる。2つ目が病毒性の上昇といって、重症化しやすくなる。3つ目が免疫逃避といって、ワクチンの効きが悪くなったり、一度かかった人が再感染しやすくなる要素がある。世界中に広がったデルタ株は従来のものよりも2倍ぐらいの伝播性があるので、ほとんど世界中で置き換わっているというのが現状だ」。

 その上で、オミクロン株については「南アフリカのデータを見ると、デルタ株の2~4倍ぐらい広がっているスピードが早いということがわかっている。これは純粋に伝播性が上がっているのか、あるいは免疫逃避といって、ワクチンを打った人や一度感染した人の中でも広がっているからデルタ株より早く拡大しているのか、どちらかだということがわかってきている。さらに、初めて感染した人に比べて2回目、あるいは3回目感染した人が多いということがわかってきているので、伝播性もおそらく上がっていて、かつワクチンや感染した人が持っている抗体が効きにくくなっているのだと思う。最後の病毒性についてはまだあまりわかっていないので、データを見ていく必要がある」との見方を示した。

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 また、南アフリカでは、従来に比べて4歳以下の子どもの症状が悪化し、入院する例が増えているという報告に対しては、「そういうデータはある。これも従来のものよりも子どもが重症化しやすいのか、ワクチンを打てていない年代だから相対的に増えているように見えているのか、もう少し見ていく必要があると思う」とした。

 では、まだわからない点も多いオミクロン株への対策はどのようにすればいいのか。木下氏は、「手洗い、マスクと3密の回避が有効だというのは事実。オミクロン株になっても感染の仕方事態が変わるわけではないので、それで防御できることは変わらない。一方で、ずっと3密の回避とか言ってたらいつまでもライブに行けない、飲み会もできないといった問題がある。今は相対的に感染が落ち着いているのでそれはいいとするとか、感染が増えてきたら注意するとか、バランスをとりながらやればいいと思う」と訴える。

 一方で、いいニュースもあるとし、「ワクチン3回目の接種は変異ウイルスにもかなり有効だという研究結果が出てきている。デルタ株に対するワクチンの効果は従来よりちょっと効くぐらいだったが、それよりももっと効かなったベータという変異株がある。これは伝播性が高くないので世界中には広がらなかったものだが、3回目の接種だとこれに対してもかなり中和抗体化が保たれることがわかってきている。オミクロンが今までで最悪に近いベータと同じぐらいワクチンの効果が落ちたとしても、3回接種で守られる可能性は期待できると思っている」と述べた。(『ABEMAヒルズ』より)

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