「令和3年11月8日をもちまして、ベルベ全店閉店となりました。長い間ご愛顧ありがとうございました。」
先月、突然、全店閉店となったのは、パンや洋菓子を販売するベーカリーチェーンの『ベルべ』。1973年創業のベルベは、店でひとつひとつ職人によって手作りされたパンやケーキが人気を呼び、神奈川県を中心に東京や静岡など、合わせて28店舗を展開していた。
「ベルベのパン大好きでした」
「スイートポテトが美味しかったのに残念」
閉店を告げる張り紙には多くのメッセージが書き込まれ、近隣住民からも閉店を惜しむ声が寄せられるなど、地元での人気の高さがうかがえる。
帝国データバンクによると、去年6月期の売り上げは過去最高となる約25億円。今年も、東京に新店舗をオープンするなど、順調に見えていた中での閉店。一体、何があったのだろうか。先月まで勤務していた元従業員に話を聞くことができた。
「倒産したのが11月9日なんですよ。知ったのが8日です。大和市(神奈川県)に事務所があるので、そこに店長が集合して、役職の人から言われましたね。10月の末に社長がいなくなっちゃったんですね。専務や常務の人が連絡を取ろうとしても取れなくて。置き手紙だけを置いて飛んじゃったというか……」
なんと、従業員の多くが閉店当日にそのことを知らされたという。ベルベを創業し、一代で大きくした社長と突然の音信不通――。家族でさえも所在が分からない事態に陥っている。
担当弁護士によると、当初、社長は会社の債務整理の相談を受けていたが、連絡が取れなくなってしまったため、これ以上、営業を続けることが困難になったという。負債額は、分かっているだけで、50億円を超える見込みだ。
順調な業績に見えた中で、突然明らかにされた巨額の負債――。長年、企業の倒産動向などを取材している、帝国データバンク横浜支店・情報部長の内藤修さんに話を聞いた。
「表向きは積極的に出店を重ねることで、売り上げが伸びてると、対外的にはアピールできていた会社なんですけど、実際にはかなり以前から状況は厳しくて、足元の新型コロナがとどめをさしたという形になったんだと思います」
閉店から約1カ月。番組の佐々木真一アナウンサーが大和市にある本店を訪ねると、店外で何か作業をしている人の姿が。その方は業者でベルベに依頼されてゴミの処理に来たという。
その搬出される軽トラックには、お砂糖やパンを作るための小麦粉などがあった。パンの材料なども残されたまま、慌ただしく閉店した様子がうかがえる。こうした元社長の行動に、元従業員は「ちゃんと説明して欲しい」と怒りをあらわにした。
「来年子供ができるので(収入面で)頼りにしていた部分はあったんですけど。それが一気になくなった時はどうしようかと思いました。ベルべは、従業員500人くらいいるとか言っていたので、その人たちをいっぺんに野に放つわけじゃないですか。悲しむ暇もないんじゃないですか。(社長には)連絡がとれるようになって、ちゃんと説明をしてもらいたい。大変な思いをしているのでふざけないでほしいとは思いますよね」(『ABEMAヒルズ』より)
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