デビュー戦同士の対戦となった一戦は、流れの中での意図しない偶然のバッティングに端を発した連打からのTKO決着に。視聴者の間で賛否意見が上がる中、元ボクシング世界王者は「レフェリーに助けを求めて、集中を切らしたら負け」と敗者の対応を指摘。プロボクサーとしての今後を見据え、あえて厳しく突き放した。
12月16日にメルパルクホール大阪で開催された亀田興毅プロデュースによる興行『3150ファイトVol.1』で朝倉雅也(陽光アダチ)と水田祐生(JM加古川挙)が対戦。試合は3ラウンド序盤にレフェリーが試合を止め朝倉がTKO勝ちを収めた。連打のきっかけの一つとなった偶然のバッティングが議論を呼んだが、プロが指摘したのは「戦う姿勢」の在り方だった。
朝倉19歳、水田20歳と共にプロデビュー戦らしく、開始から激しい打ち合いを展開した。朝倉が左を当てると、水田も距離を縮め連打で反撃。すると開始15秒、朝倉が右の強打で早々にダウンを奪う。視聴者からは「ガード不要の4回戦だ」「面白い」、さらには朝倉の「好きなボクサーはタイソン」というプロフィールからか「さすがマイク・タイソン」と興奮ぎみのコメントが並ぶ。
試合再開後も朝倉の勢いは止まらない。右を2発、さらに左と当てややスリップ気味ではあるものの2度目のダウンを奪う。これで後がない水田は反撃に出る。強い左フックを皮切りにワンツー、クリンチからの離れ際のパンチで相手の持ち味を潰し、危機的状況を乗り切ってラウンドを終えた。
2ラウンド、クリンチや投げといった荒っぽい攻防が散見されるとABEMAで解説を務めた元WBC世界ライトフライ級王者の木村悠氏は「(水田選手は)疲れてきている。ちょっとオーバーなアクションもありますかね」と指摘。その言葉のとおり、ダメージの蓄積からか水田が劣勢の場面で後ろを向き、クリンチに逃れるシーンが目立ちはじめる。
3ラウンドも開始から朝倉が右を2発、さらに左フックと着実に水田を捉えていく。するとラウンド開始1分、水田のボディを冷静に受け流した朝倉がアッパー、さらに一発貰いフリーズ状態の相手に、左右の連打を叩き込んでレフェリーストップを誘った。
しかし、朝倉のTKOフィニッシュの場面にも、視聴者からは「頭じゃない?」「バッティングじゃなかった?」との指摘が。「ショートアッパーで相手の顔が上を向いたところでレフェリーストップ」と実況されたが、直後のリプレイ映像を確認すると朝倉の頭が水田の顔に当たる様子が確認できた。ここでファンから賛否の声が上がるも、解説を務めた木村氏は「水田選手は止まってしまった。頭が当たったところでレフェリーに助けを求めたようですが、そうじゃなくて集中を切らしちゃいけない。とくにプロの世界なので、こういうところで詰められてしまう」と毅然とした様子で発言。さらに「オーバーにアピールし過ぎたのが仇となりました」とも指摘した元世界チャンピオンの言葉にゲスト解説の赤井英和も「(アピールしている間に)パンチを貰いましたからね…」と納得したように頷いた。