東京から車で2時間かけてやってきた群馬県南牧村。のどかな自然が広がるこの地は、コンビニもない通称“高齢化率日本一”の村だ。
2年前、夫婦で南牧村に移住してきた古川拓さん(27歳)は「とりあえず身体だけ行ってみようと思って来たのが始まり」と話す。学生時代に訪れた南牧村の魅力に惹かれ、古川さんは妻・里紗さんと一緒にこの村に住んでいる。
人口が減り続ける南牧村で暮らす不安はないのだろうか。妻の里紗さんは「まったく不安はない」と話す。夫の拓さんが立ち上げた林業の会社についても「私も林業に未来を感じている。心から応援したい」と語った。
今や日本全体の問題でもある少子化や高齢化。人口が減る中で、人々の働き方はどのように変わっていくのだろうか。
ニュース番組『ABEMA Prime』に出演した人口減少対策総合研究所理事長で『未来の年表』の著者・河合雅司氏は「出生数を確認したが、今の20歳の人たちと昨年生まれた人たちを比べると、およそ4分の3になっている。およそ25%減になっているので、普通に考えれば、ゆくゆくはどこの会社も採りたい人材を採れないような、そういうボリュームの減り方だ。もちろん外国人が日本に入ってくれば話は別だが、人手不足を前提に今後どのように対策をするか、考えざるを得ない」と指摘する。
移民の受け入れ、AIの活用やデジタル化、定年の引き上げ……労働力を確保する方法はいくつかあるが、米・イェール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏は「全体でGDP(国内総生産)を維持したり、増やしたりしていくのはもう“無理ゲー”だ」と話す。
「GDPの維持や増加は諦めたほうがいい。今後1人当たりの豊かさをどのように維持するか、伸ばしていくかが大事だと思う。少なくとも過去20〜30年間の歴史を見ると、高齢化や人口の減少と、1人当たりGDPの成長はそんなに相関関係がない。日本はたまたま高齢化し、かつ停滞している国だ。他国を見ると、高齢化があっても、そこそこ成長している国はある。シンガポールや韓国、ドイツが典型だ。なので、日本も全く無理ではないと思う。では、こういう国が何をやっているのか。基本的には、ある種の機械化、自動化で生産性を上げているという仮説がある。日本に関しても製造業を見ると、自動化はそこそこうまくできている。雇っている人の数は減っているのに、ここ30年で製造業、製造産業が占めるGDPに対する割合はほとんど変わっていない。だが、サービス業が壊滅的にダメで、サービス業の生産性をどうやって上げて根本的に体質転換するか。ここが問題になるのかなという気がしている」
国土交通省が出した「国土のグランドデザイン」によると、2050年には誰も住まない「無居住化地域」が広がり、推定人口はおよそ9500万人といった試算が出ている。
これについて、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「人口ゼロの地方自治体ができるだけなら僕はまだマシだと思う」と話す。
「例えば、橋の先におばあちゃんが一人で住んでいて、その橋がなくなるとおばあちゃんの生活が大変だから、そのためだけに橋を作り直すみたいことが日本では“正しい行為”という認識になっている。本当に少数しか住んでいない地方自治体がたくさん出てきて、それに対してずっとお金を払い続ける。そういった行為によって、無人の地方自治体が生まれない方が僕はまずいと思う」
ひろゆき氏の指摘に、河合氏は「すでにもう5人ぐらいの集落で、全員が90代の女性高齢者で一人暮らしをしている地域があちこちにある」とコメント。
「応益負担をどのようにしていくのかが問題だ。水道管、道路、郵便もそうだ。いつ来るか分からない郵便物のために、郵便局員を配置しなければいけないから、そこに日本郵政も苦しんでいる。ガチガチに法律で守られているが、限界点にかなり近づいている。あまりにも負担が大きくなってくると、都市部の人たちが、その人たち(限界集落の人たち)のために余分に(税金を)払わなくてはいけない。自分たちがそこまでしないといけないのか、疑問が出てくるだろう」
慶應義塾大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は、自身の実家が“山の中の集落”にあり、帰省時は毎回その集落に帰っていると話す。
「故郷ではみんなが『集落を残したい』と言う。僕はこれがすごく人間っぽいわがままだと思う。わがままは、人間が持っていて悪いものではないが、そのわがままを叶えたいなら、公共サービスを頼るのではなく、美談でごまかさずにその地を本当に愛している人たちがメチャメチャ稼いで『俺たちはこの街を自分たちの力で守る』と言わないといけない。『守りたければ頑張れ。ダメだったらコンパクトシティを目指してやっていく』と、どこかで決めないと、国が次の世代への投資ができなくなってしまう。村出身の立場からでもわがままだと思う」
ここで、ひろゆき氏が「人類愛が全くない成田先生はどのように見ているのか」と投げかけると、成田氏は「唯一の解決策ははっきりしている」とコメント。「結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなのしかないんじゃないか。僕はこれを大真面目に言っていて、やっぱり人間は引き際が重要だと思う。別に物理的な切腹ではなくて、社会的な切腹でもいい。過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎる。これがこの国の明らかな問題だ」と意見を述べた。
成田氏の発言に、テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「なんてことを言うのか」と驚き。河合氏も「そこまで過激な意見はついていけない」と苦笑。続けて、河合氏は「まろやかに私のアイデアを言うと、ある程度の集約化で、やや福祉的な住宅を高齢者のために作って(限界集落の人たちに)そこに集まり、住んでもらう。引っ越しが嫌だという人も多いので、例えば月曜から金曜はみんなで集まって暮らして、土日は元々自分が住んでいたところに帰って週末はそこで過ごす。時間をかけて少しずつ集約化、移行していくしかない」と提案した。
なかなか解決策が見出だせない日本の少子化問題。高齢世代に偏っている社会資源の配分を今後どうするか、課題は多そうだ。(『ABEMA Prime』より)
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