大学入試の受験生について、文科省がオミクロン株の「濃厚接触者」だった場合は別室であっても受験を認めず、追試験で対応するよう全国の大学などに通知した問題。
現在、「濃厚接触者」に対し2週間の待機を求められていることを受けた措置だが、批判の噴出を受け岸田総理はきのう、別室受験も含め、受験の機会を確保するよう指示、末松文科大臣は別室受験を可能とする方針を取ることを発表した。
また、政府は「水際対策」においても、これまで感染者と同じ飛行機の乗客全員を「濃厚接触者」としてきたのを改め、感染者の同じ列と前後2列の乗客のみにすることとした。
「危機のときにはtoo late too smallより、拙速やりすぎの方がましである」と話していた岸田総理。“先手”を求める声がある一方、“やりすぎ”との声も上がる中、“落としどころ”はどこにあるのだろうか。
感染症対策コンサルタントの堀成美氏は、「デルタ株と区分けする必要があるのか、といった反応もあったが、やはりそこまで煽るほどの危機的な状況ではないのに、よく分からないまま先に報道が出てしまったのではないかと思っていた。水際対策についても、皆さんの関心が高く、これまで“できてないじゃないか”という批判を浴びてきた分野でもあるので、それへの防衛的な反応ではないかと思っていた。ただ、これも“本当に14日間も隔離すべきなのか”、“制限は最小限ではなくてはいけないと法律には書いてあるのに、それが守られているんだろうか”といった不安の声が大きくなっていた」と話す。
「飛行機内の“前後2列”というやり方は他の感染症でも用いられている基準だが、私はそもそも“濃厚接触者”という言葉を使ったこと自体が間違いだと思っている。乗務員の方は例外扱いだったり、感染者とどれくらい席が離れていたのかと聞いても教えてもらえなかったりなど、不安を残したまま隔離に入れることも良くなかった。
こうした点については、かえって不安を煽った気がするし、“やりすぎ”というよりも“ずれている”と思う。感染拡大が始まってから2年近くが経った今も国にインテリジェンスチームがいないのだろうかと、私は怖くなった。陽性が判明しても元気な人が多いらしいよとか、全てに効かないとしてもワクチンを打っていればそこそこ大丈夫なのかもしれないよといったポジティブな情報も上がってきているのに、説明が変わらないことに不安があった」。
ジャーナリストの堀潤氏は「世論調査の結果を見ると、岸田政権の水際対策に支持が集まっているし、みんな“やりすぎ”の方がいいのかと思った。法律などを整備するのをすっ飛ばして強いパフォーマンスをすることに大衆の心は揺れる。これがコロナのもたらした怖さの一つだと思う。行動抑止のモチベーションにつなげるためには、後遺症の問題など、その後の経過についての情報を発信すればいいのではないか」と問題提起。
堀(成美)氏は「私たちが注目していたのは、デルタ株よりも重症になりやすいのか、といったところだった。しかし、どうやら違うと。予防法や治療法についても、これまでと同じでいいのだろうか、というところがあったが、いずれにしても3密回避やマスク、換気、そういったものは今も有効だと思う。
だから帰省や旅行を止めるほどの根拠もないし、マスクを着けるなどの工夫をし、ワクチンを打っていればそこまで心配しなくても良いんじゃないか。“帰省するなら検査”というキャンペーンが始まったし、検査数が増えた分だけ、陽性者も増えると思う。ただ、ワクチンを打ったとしても感染する人はいるわけだし、大事なのは責めないこと。検査を受けた結果、早く分かってよかったね、職場に早く復帰できてよかったね、というマインドだ。
その意味では、行動が緩くなったというよりも、ワクチンの接種率が思いのほか高まったので、今は啓発のような“持っていき方”だと思うし、みんなが協力できるようにする必要がある。例えば健康観察をデジタル化するのはいいが、アプリを2つインストールして、同じ内容を入力しなくてはいけない。なぜ2度なのか。統合する時間もあったはずだ。いくら対策を強化しようとしても、みんなが協力してもらえなければ難しい」。(『ABEMA Prime』より)
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