伝統ある将棋界の師弟関係の中でも、貴重な関係かもしれない。「第1回ABEMA師弟トーナメント」予選Aリーグ1位決定戦、チーム深浦とチーム畠山の対戦が12月31日に放送された。チーム深浦は、深浦康市九段(49)と佐々木大地五段(26)という2人で参戦している。この試合の第2局で深浦九段は、チーム畠山の斎藤慎太郎八段(28)と熱戦を繰り広げた。勝利まであと一歩というところまで追い詰めながら、痛い逆転負けを喫したところ、佐々木五段は師匠に向かって笑顔混じりに「何やってんすか、師匠!」。深浦九段も苦笑いで返すというシーンに、ファンからは「ガチおもろい」「良いツッコミだ」といった反応が相次いだ。
対局時には、顔を真っ赤にしてまで勝負にのめり込み、最後まで勝負を諦めないことで知られる深浦九段。最近では藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)に勝ち越している数少ない棋士としても知られている。佐々木五段は、深浦門下に入りプロデビュー後は高勝率をキープ、将来のタイトル候補にも名が挙がる。2人で共同のTwitterアカウントを運営する仲の良さもありつつ、将棋に対する姿勢などは厳しく指導がある、メリハリのある師弟関係だ。
絶対的な縦社会というイメージも強い「師弟」という人間関係だが、今の時代に即した関係とも言える深浦・佐々木の2人。深浦九段が、もう少しで勝利というところを逃した局面に、控室で見ていた佐々木五段は「いやー、いやー。まじかー」と無念そうな独り言を連発。深浦九段が次の対局に備え、控室に戻る前「いやー。佐々木に怒られます。まいったな」とつぶやいていたのが聞こえたのか、「あ、どうも」と軽く頭を下げながら入った瞬間、佐々木五段から飛んできたのが「何やってんすか!」の言葉だった。
短い時間のやり取りではあったが、日頃の2人の関係性がよくわかるものだっただけに、ファンからは「怒られたーーー」「さすが大地君」「大地愛の説教部屋」といった感想が多く寄せられることとなった。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)