将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)と同学年にして、将来のライバル候補と言われている伊藤匠四段(19)。昨年は若手棋士の登竜門と言われる新人王戦で優勝し、年末には藤井竜王と記念対局も行った。この一局は、藤井竜王に貫禄を示され完敗に終わったが、これを解説していた棋士からは、その研究の豊富さや周囲からの評価の高さが明かされた。
未来の将棋界を背負うだろう19歳同士の対局を見守ったのは、深浦康市九段(49)と高見泰地七段(28)。深浦九段は藤井竜王に勝ち越している数少ない棋士で、また高見七段は早指し団体戦「ABEMAトーナメント」で藤井竜王・伊藤四段とチームを組んで優勝したことがある。
藤井竜王のずば抜けた強さは、将棋ファンならずとも知られるほどになっているが、伊藤四段の業界内評価も非常に高い。先述のABEMAトーナメントでは、伊藤四段が出場していなかった時に、練習パートナーとして各チームから呼ばれ、かつ大会出場者を次々と倒していたことが、後に各棋士から明かされてもいる。深浦九段も、伊藤四段と雑談をしたことがあるが、その時に驚いたのが研究会の量だ。
棋士は将棋ソフト(AI)などを活用し、1人で研究するケースも増えているが、古くからある複数の棋士が集まって行う研究会も、いろいろな考えを持ち寄ることができるものとして、有効な研究方法とされている。深浦九段が伊藤四段に「月に何回くらい、研究会しているの」と聞いたところ、出てきた答えはなんと「15回」。実質的なデビュー年度である2021年度は勝率8割を超え、対局数も増えている中、月の半数を研究会に費やすのは、実にハードだ。
深浦九段は「対局の翌日に気楽にできるわけでもない。自分が一番やっていた時でも、10とか12。(先輩に)呼ばれたりするんでしょうね」と語ると、高見七段は「若くて強い人と指したいという好循環だと思います」と、先輩からすれば勢いもあり新たな発想を持つ若手と触れられる、伊藤四段からすれば勝ち進まなければ戦えないような先輩と盤を挟める、というWin-Winの関係だとしていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)





