責任感の強い男は、試合後もキュっと口元を結んだままだった。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2021」1月10日の第2試合、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)がトップ。第1試合に鈴木たろう(最高位戦)が個人2連勝となるトップを獲得しており、チームは同日2連勝を達成した。
この試合の対局者は村上、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)、EX風林火山・松ヶ瀬隆弥(RMU)、KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)の並びで開始した。佐々木、沢崎が持ち前の打点力を発揮し、先行していく中で、村上にチャンスが訪れたのは東4局1本場。7巡目に先制リーチをかけると、中盤にツモってリーチ・ツモ・白・ドラ・裏ドラの8000点(+300点、供託2000点)を手に入れた。
松ヶ瀬が大きく沈み、トップは3人の競り合いとなる。南3局、村上は南を鳴いて速攻、松ヶ瀬から南・ドラの2000点をアガってオーラスへ。南4局は村上がタンヤオで仕掛けたが、これに沢崎がリーチで反撃。この事態を前に、村上は実に1分半に迫る大長考で牌を選び、回し打ち。この局は沢崎の1人テンパイで流局した。
続く南4局1本場、佐々木が先制リーチ。これに松ヶ瀬が続く。「僕がアガらないで唯一トップになるのが、松ヶ瀬さんがアガること。難しかったです」と試合後に語ったように、ここでは松ヶ瀬のアガリを願い、結果はその願望通り松ヶ瀬が佐々木から跳満をアガってゲームセット。村上は両者の点棒のやりとりを確認すると、一礼して水を口にした。
目を閉じたままインタビューに登場した村上は「ほっとしていますが、7回ラスってるんで、3回目のトップなんかまだまだ全然」と語り、前半戦で抱えた負債の返済に意識を向けた。「せっかく『長男』のたろうさんがトップを取ってくれたのに、『次男坊』の私が3着に落ちそうな展開だった。最後は祈りが通じたというところでしょうか」と薄氷を踏む勝利にクタクタといったところだ。
とはいえ、これでこの日チームは2連勝、追い風が吹いてきた。ここから追い上げたいという思いも当然あるが「マイナスを考えないように、考えないようにって言ってる時点で考えている。マイナス400からというのを認識しつつ、チームにポイントを持って帰れるように1戦1戦頑張るだけ」と残り試合の戦い方を語った。
地力から考えても、400を超えたマイナスポイントは異常事態だった。個人成績ではこのトップでもまだ最下位。村上が本来の力を発揮し、ポイントを取り戻し、レギュラーシーズン突破を果たすことはファンが切願するところ。村上がファンへ向けて「どんどん上昇できるように精一杯頑張ります」と大きな声で宣言すると、コメント欄には「ありがとう村上ーー!!トップまってたぞ!」「この調子で勝ちまくってくれ」とエールが飛び、解説の土田浩翔(最高位戦)は「村上はリーチ7回、いよいよ“超人”でしたね」とその戦いぶりを称えていた。
【第2試合結果】
1着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)3万2900点/+52.9
2着 KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)3万100点/+10.1
3着 EX風林火山・松ヶ瀬隆弥(RMU)2万100点/▲19.9
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)1万6900点/▲43.1
【1月10日終了時点での成績】
1位 セガサミーフェニックス +226.8(54/90)
2位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +170.0(56/90)
3位 EX風林火山 +124.5(56/90)
4位 KADOKAWAサクラナイツ +112.8(56/90)
5位 U-NEXT Pirates +96.4(54/90)
6位 渋谷ABEMAS +21.1(54/90)
7位 赤坂ドリブンズ ▲137.8(56/90)
8位 TEAM雷電 ▲633.8(54/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)








