12日、東京都で新型コロナウイルスの新規感染者が2000人を超えるなど、全国の感染者はおよそ4カ月ぶりに1万人を超えたことを報道機関が相次いで報じた。
こうしたことを受け、東京都などへのまん延防止措置の適用を求める声もあるが、新規感染者が同程度だった去年7月の状況と比較してみると、病床使用率の逼迫度合いは大きく異なっている事がわかる。
新規感染者数としては急激に増えてきている一方、重症者は低く抑えられている状況にある今も、新規感染者数の速報を競って打ち続ける報じ方のままで良いのだろうか。
パックンは「前回の波と今回の波の違いを念頭に置かなければならないと思う。いま病床使用率が低いのは、ワクチン接種率の違いもあるだろうし、自宅療養が前提になっているからという変化もあるだろう。そもそも重症者数、死亡者数の変化は、新規感染者数に比べて遅れて出てくる。1、2週間後にも病床使用率は変わらないのか。データを慎重に見ていくべきだ」。
フリーアナウンサーの柴田阿弥は「報道機関によっても違うが、新規感染者数が二桁になった、という時ですら、“しかし、広がる不安も…”みたいなナレーションを入れ、おどろおどろしいBGMを使ったVTRを作っている番組もあった。報じ方にコントラストをつけないと、本当に病床数が逼迫してきて、人々の生命に関わるような状況になったとき、メディアが行動の自粛をお願いしても効果が低くなってしまうと思う。楽観視するのも良くないが、過剰に不安を煽る報道は控えるべきだ」。
2019年のミス東大グランプリで、医学部3年の上田彩瑛は「オミクロン株は感染力が強いといわれているので、重症化率が今と変わらなかったとしても感染者数が急激に増えれば病床が圧迫される可能性も出てくる。逐一情報を見ながら判断していかなければならないと思う」。
元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏は「僕は普段から“大きい主語より小さい主語を”と言っているのだが、新規感染者数が多かった少なかったという報じ方だけでは、どうしても個人が感じる距離が遠くなると思う。重症化しなかったとしても後遺症が出る可能性もあるわけで、マスメディアの呼びかけとしては、私が感染しないためには何が必要なのか、それを淡々と伝えることが必要だし、それに基づいて個人が自衛のために混雑を避けるといったことを徹底する。そういうことが社会全体の感染対策になる」。
司会進行のテレビ朝日の平石直之アナウンサーは「ルーティンになることなく、その都度、必要な情報を吟味して報じていきたいと思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
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