身長2メートルの巨体から繰り出される正確無比な強烈ボディショットに幾度となく「ウゥッ」と会場に響いたうめき声。解説が思わず「やめてあげて」と同情の声を上げると、実況も「一発の音がエグい」と驚きの声を上げるなど、ヘビー級による悶絶ボディのTKOショーが繰り広げられた。
1月28日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE:ONLY THE BRAVE」でラーデ・オパチッチ(セルビア)とフランシェスコ・エクシェジャ(アルバニア)が対戦。ド迫力のヘビー級のキックボクシング戦は2ラウンド、オパチッチの悶絶ボディショットにエクシェジャがうめき声を漏らして嫌倒れを繰り返し、3ダウンでTKO決着となった。
ここまで異次元の強さを見せてきたオパチッチ。元K-1重量級の雄、エロール・ジマーマンのアゴにスピンキックを叩き込む失神KOを皮切りに、悶絶するまで腹ばかり殴るエグい戦いを見せてきた。2メートルの長身から振り下ろす打撃から「ボクシングの上手すぎるセームシュルト」の異名も。毎回ゾッとするようなインパクトを残し続けている。
一方、対戦相手エクシェジャも194センチの長身。しかし、相対するとフレーム差は歴然としている。1ラウンド、ゴング直後から「重量級なのに早い」「ジャブ食らっただけで倒れそう」といった声が上がる中、ガードをきっちり固めたエクシェジャ。しかし、ボディショットやヒザの威力に耐えきれず、ジリジリと後退を始める。すると終了間際、オパチッチがミドル感覚で左ハイを側頭部に当て、相手をグラつかせるダウンでこのラウンドを終える。
2ラウンドに入っても、オパチッチの相手の体に突き刺すようなパンチ音が会場に鳴り響く。するとABEMAで実況を務めた西達彦アナウンサーが「一発一発の音がエグいですね」と苦笑い。視聴者からも「音が鈍すぎる」「なんだこの炸裂音」とどよめきが。
ラウンド中盤、2度目のハイキックを被弾したエクシェジャは「効いてない」と一瞬ニヤリとした表情をみせるが、オパチッチが間髪入れずパンチの連打をボディに叩き込むとケージにもたれるようにして撃沈。カウントを聞いたまま腰をくの字にして悶絶するエクシェジャの様子に、もはやこれまでという雰囲気が漂う中、エクシェジャは決死のファイティングポーズで試合に復帰。
しかし、本当の悶絶地獄はここからだった。再開するや否や、オパチッチが相手をケージに串刺しにしてパンチの連打を浴びせていく。エクシェジャが気持ちで一発を返すも、さらに無慈悲すぎるヒザ。さらに「ウッ」とうめき声が漏れる腹パンの連打に、為す術もなく戦意喪失ぎみに座り込んだ。
あまりにも一方的な展開に解説の大沢ケンジが思わず「やめてあげて」と絶叫するとファンからも「タオルだ」「痛い苦しい」と悲痛なコメントが殺到。「まだ続ける?」と心配そうに確認したレフェリーの問いかけに応じて立ち上がったエクシェジャだが、さらなる追い打ちのボディに耐えきれず、心も折れグニャリと寝転がるように3つ目のダウンでTKO負けを喫した。
この試合も圧巻の実力を見せつけたオパチッチ。ここまでくると勝者への称賛よりも「よく頑張った」「声が出ちゃうよな」「最初のダウンで負けておけば」「我慢した分、地獄だな」と敗者への同情と労いの声が大半を占める展開に。西アナウンサーも試合後に「同情を禁じ得ない」とコメントするほどだった。
そんな中、ゲスト解説を務めた志朗は「(オパチッチは)技術が凄い。中とか外の打ち分けもそうだが、上下のコンビネーションも多彩。パンチだけじゃなく、キレもある」と一人冷静に分析していた。