将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)が2月3日、順位戦B級1組12回戦で、阿久津主税八段(39)に81手で勝利、今期成績を9勝2敗とし、初のA級昇級に大きく前進した。最終戦となる次局、佐々木勇気七段(27)に勝利、もしくは稲葉陽八段(33)、千田翔太七段(27)が敗れればA級入りが確定する。
【中継】順位戦 B級1組 12回戦 藤井聡太竜王 対 阿久津主税八段
強豪ひしめく「鬼の住処」の突破まで、もうあと少しだ。前局、勝てば条件付きで昇級もあった中、千田七段に敗れ、混戦模様の昇級争いに巻き込まれかけた藤井竜王だったが、最年少四冠を達成し、さらに五冠にも王手をかけている力を、この大一番で出し切った。
後手番の阿久津八段が横歩取りに導くところを堂々と迎え撃つと、拮抗した序盤を経由して中盤からは徐々にリード。夜戦に入り中盤から終盤に向かったところでは、3筋に攻撃を集中してはっきりと優勢とし、その後も盤石の指し回しで快勝を収めた。
対局後、藤井竜王は「序盤はできるだけ穏やかに進められればと思っていました。(中盤は)こちらの飛車の位置が定まらなくて、構想の立て方が難しい局面でした」と振り返ると、夜戦に入ってからは「具体的な戦果があげられるかは難しいと思っていました」。最終局については「自力(昇級)ということになると思うので、しっかり準備して臨みたいです」と語った。
これで藤井竜王は単独トップの9勝2敗。2番手には8勝3敗の稲葉八段、3番手には同じく8勝3敗の千田七段が8勝3敗がつけた。最終戦で藤井竜王が勝利するか、稲葉八段、千田七段のいずれかが敗れると藤井竜王のA級入りが決まる。
ALSOK杯王将戦七番勝負では、4連覇を目指す渡辺明王将(棋王、王将、37)に対して開幕から3連勝し史上4人目、最年少での五冠達成に王手をかけている。また、A級への昇級は谷川浩司九段(59)が持つ最年少名人(21歳2カ月)の更新に夢をつなぐものだ。四冠保持者の藤井竜王がA級になること自体、何も不思議ではないが、長丁場のリーグ戦で白星をつなげる難しさはまた別物。最古のタイトル、名人に向けて令和の天才棋士が、確実に歩を進めた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)