「闘病中でもおしゃれで自分らしさを」乳がん乗り越え “ケア用品ブランド”を起業した女性の思い
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「人が前向きになれるような。そういう機能性とファッション性を両立したようなブランドがあったらいいなということで始めました」

 こう話すのは塩崎良子さん(41)。彼女が代表を努めている「TOKIMEKU JAPAN(トキメクジャパン)」では、がん患者や介護が必要な人に向けたファッションブランドを運営。鮮やかなデザインが印象的な帽子やカラフルな杖など、ケア用品に必要とされる機能性とオシャレなデザイン性を兼ね備えたアイテムを数多く取り揃えている。

【映像】闘病生活を経て“ケア用品ブランド”を起業

「ケア用品とか介護用品ってやっぱり身につけるのにちょっとハードルが高かったりとか、『嫌だな』という気持ちがあると思うんです。ファッションブランドという感覚をもともと持ち合わせていない商品たちだったので、“ファッションブランド”という感覚でものづくりをするようにしています」

 塩崎さんがこのビジネスを選んだ裏には、自身が経験したがんとの闘病生活が隠されていた。アパレル企業を立ち上げ、多忙な毎日だったという塩崎さんに乳がんが発覚したのは34歳の頃。入院生活を余儀なくされ、仕事を続けることが出来なくなった。そんなある日、医師からある提案を受けたという。

「『がん患者さんのファッションショーみたいなのを開催したらどうかな』と先生から言われました。(当時)すごい在庫を抱えていたんですよね。いきなりお店を閉めちゃったので。最初はあまり乗り気じゃなかったんですけど、少しずつ準備をしている間に、だんだん本来の自分を取り戻すようなことがあったので、それを見ながら私も一緒に前向きになれるような、そういう時間になっていきました」

「闘病中でもおしゃれで自分らしさを」乳がん乗り越え “ケア用品ブランド”を起業した女性の思い
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 力強く、前に向かって踏み出す人たちの姿に心を押され、もう一度起業をする決心をした塩崎さん。抗がん剤治療などを乗り越え、2016年に会社を設立。自身が入院中に感じたという”自分らしさ”を保つ重要性、そして生業としていた服飾の経験を活かすため、介護・ケア用品のファッションブランドを立ち上げた。

「自分が初めてそういうものを身につけたときに、市販のものでは商品に対して値段が高かったり、身につけた瞬間にいかにも“患者さん”というようなものしかなかったので、どうしても命や体調が優先だったりするのは仕方ない部分でもあるんですけど。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)みたいなものを上げるようなところに、少しずつ世の中も目がいっていると思いますし、うちの会社もそういうところで必要とされているのかなっていうのは感じます」

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 会社の立ち上げから約5年。今も体調面に不安はあるものの、熱意がそれを上回ると塩崎さんは話す。そして、“入院中でも、介護が必要になっても、おしゃれで自分らしさを保つ”。このブランドにそんな期待を寄せている。

「(ファッションは)自分らしさを表現する一番のツールのような気がしているので、すごく私は重要かなと思っています。介護用品のブランドって全然まだ無いんですけれども、全国どこに行っても、うちの商品が手軽に買えるようにできたらいいなというのもありますし、選べる自由や身に着ける楽しさをファッションを通じて、皆様に提供できたらいいなと思っています」(『ABEMAヒルズ』より)

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