虫の糞のお茶と書いて、虫糞茶……。葉を食べるガの幼虫の糞を活用したお茶。
京都大学大学院で、農学研究科に所属している丸岡毅さんは、このお茶の普及を目指し、日々研究を続けているという。
「いろんな虫を集めてきて、いろんな葉を食べさせて、とれた糞を飲んでみて、おいしいかどうかをまず最初に行っています。その上で、おいしいお茶というのは、なんでおいしいんだろうというところを突きつめていくために化学分析を行って成分をみてみたり、お茶によってなにか違いがないのかを探す研究をしています」
一体なぜ、ガの幼虫の糞を飲んでみようと思ったのか……。以前、中国でカイコの糞を飲む文化があることを聞いたことがあった丸岡さん。きっかけは、先輩が農園からもらってきた大量のマイマイガだった。
「実験を夜までやっていて、夜中のテンションだったというのもあるんですけど、『糞を飲んでみよう』と思いついたといいますか、降ってきたというような感覚なんですけど。そこでお湯を注いでみたら、すごくきれいな紅茶の色をしていまして」
香りはまさに、紅茶そのもの。さくらの葉を食べさせていたので、さながら桜のフレーバーティーのようだったという。
「飲んでみたらすごくおいしくて、予想とのギャップの大きさに笑ってしまうような美味しさで、そこからいろいろ試してみようということになりました」
虫糞茶の魅力にとりつかれた丸岡さん。たくさんの虫とたくさんの植物を組み合わせ、お茶の開発にいそしむ毎日が始まった。その組み合わせは、なんと40種。なかには、高級感のある中国茶のような味わいのものもできたという。
しかし、一般的に考えると、虫の糞を汚いと思う人は少なくないはず。そんな疑問点に丸岡さんは、体に害はなく有効な成分も含まれると話す。
「原料となる葉っぱに人体に有害であるようなという物質は含まれていないですし、虫の中で反応が起こって、危ないものが出るんじゃないかというようなお話もあると思うんですけど、今のところ、そういったものは見つかってはいないし、アミノ酸やポリフェノールとかがすごく多量に含まれていて」
さらに、もともとカフェインを含まない葉っぱを食べて出た糞が原材料なので、ノンカフェインのお茶ができあがることも魅力のひとつだと話す丸岡さん。作る工程をみても、葉っぱを食べさせた虫の糞を回収するだけ……と、とってもエコ。今後は一般向けに商品化して販売していきたいとしつつ、まずは多くの人に飲んでみてほしいと話す。
「やはり飲んでみないとなかなかわからないと思うんですよね。『所詮虫の糞』って言われてしまうかもしれないんですけど、飲んでいただいた方は『全員がおいしい』と言ってもらってるので味の面では問題がないと思うので、そのびっくりするっていう体験をしてほしいなとおもっています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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