「仲間や支援者との繋がりを」市販薬のオーバードーズで“倒れたくなる”若者…孤立する当事者をサポートする社会に
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 人体に影響を及ぼすほどの量の薬を過剰に摂取してしまうオーバードーズ(OD)、薬物依存症。近年、風邪薬など、手軽に入手できる市販薬を使ったオーバードーズが若い世代の間で増えているという。

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 国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存研究部長は「病院でもらうお薬に比べて市販薬は“軽い”というイメージがあるかもしれないが、はるかに危険な場合もある。市販薬を使っている子たちの内臓へのダメージは大きく、命にかかわるという点では侮れない」と話す。

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 EXITのりんたろー。は「すごく不安になっちゃった時に薬をいっぱい飲んじゃって、救急車で運ばれた知人がいる。僕も駆け付けた。たくさんの人に迷惑をかけたということで、いったんは落ち着いたが、また強い不安に襲われた時に飲んでしまうかもしれない」と心配そうな表情を浮かべる。

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 24歳から14にも及ぶ精神疾患を抱えてきた半生を綴った自叙伝『アイアム精神疾患フルコース』(彩図社刊)が話題の瀧本容子さん(48)もまた、オーバードーズに苦しみ続けてきた。「向精神薬を飲むと心が落ち着く、だからすがりたい。そして過剰摂取に走る。しかも市販薬はドラッグストアに行けば買うことができる。アルコールと同じで、簡単にやめられるだろうか。この状況から逃げたい、消えたいという気持ちが強かった」。

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 結果、強い眠気や気絶を繰り返したことから、仕事、さらには友人まで失ってしまったという。「自らの疾患について、治らないものとして一緒に寄り添っていくということだと思う」とし、オーバードーズにtういても「一人の力でやめられるなら、あんなふうにはなっていない。第三者の力が必要だ。私も精神科の診療券と保険証をパートナーに預けて、入手できないようにした。でも、いま目の前に置かれたら、多分やってしまう。欲求に勝てないと思う」と話した。

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 若い世代の当事者が増えている背景には、TwitterなどのSNSで情報が簡単に入手できることもありそうだ。交際相手と別れたことによる虚無感から薬の服用を始めたというハヤトさん(21)も、「たくさん出てくる。飲む量だったり、飲んだ後に心身がどういう状態になっていくのかだったりが載っていることが多い」と話す。

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 「もともと学校の成績などで落ち込みやすいタイプだった」と話すゆいさん(26)の場合も、社会人になって以降、気持ちが不安定になることがあり、SNSで情報を入手。オーバードーズに陥ってしまったいう。

 「お酒やたばこじゃ倒れられないけど、薬だったら倒れられるし、もしかしたら今の状況から逃れられるかもしれないと思って、薬に手を出した。Twitterとかで調べると、ODに向いている薬だったり、どのくらいの量を飲めばいいかが出てくる。ただ、薬局だと個数の制限があったりするので、ネットでちょっとずつ買っている。かなりふわふわ、ぐらぐらする。種類によってはテンションも上がって辛い気持ち気持ちが消えて、多幸感が出てくるような。けっこう飛べちゃう。でも、体調が悪くなったり、記憶が無くなったりすることもあるし、自己嫌悪に陥ってしまう…」。

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 妊娠したことを機に、一度はやめることができたというが、シングルマザーとして育児に向き合うストレスから、再び服用を始めてしまったという。「お腹の赤ちゃんのために。でも、やめている間は辛くて、何でストレス発散すれば良いのか分からない状態が続いていた。自傷行為に走ったこともあった。出産して解放されると、薬が飲めるという誘惑に負けてしまった。飲むと何も考えられなくなるし、今は生きるためにオーバードーズしている部分があるなと思う」。

 前出の松本氏は「“飲みたい、また飲んじゃった”と言える仲間や繋がり、支援者をたくさん増やすことが必要だ。医療機関、学校の先生、あるいは友達、親など複数の人に頼りながら、“つらい”という言葉でSOSを少しずつ出せるようにすることが大切」と話している。

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 しかし、周囲に信頼できる人があまりいないと話すゆいさんの場合、病院で安定剤は処方してもらう際、オーバードーズを防ぐため、採血も行うなどして、今をなんとか乗り切っているという。

 「“やめろ”と言われると逆にきつくなってしまうので、私が通っている病院では、“回数を少しずつ減らしてください”と言われ、多めに飲んだとしてもあまり責められることはない。むしろ“週3回に留められましたね”、“週2回で済みましたね”と肯定してくださる。ありがたいなと思う。保健師さんや助産師さんからのサポートを受けてはいるが、未婚で子どもを産んでしまった自分を責めてしまって、また不安定になることもある。そういう部分は、政治ではどうにもできないだろうなと思っている」と話していた。

 オーバードーズから抜け出せない人たち、そしてその背景にある孤立・孤独の問題を、社会がいかにサポートするかが問われている。(『ABEMA Prime』より)
 

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