ルッキズム問題を逆手に?“顔隠しミスコン”は時代にマッチするのか?あおちゃんぺ「普通のミスコンも見た目だけで判断しているわけじゃない」
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 昨年12月にグランプリ1名が決定した立命館大学(京都府)のミス・コンテスト「ミラクルガール立命館」。容姿の良し悪しではなく、内面の魅力や得意なことなどを見て判断してもらいたいと、エントリーした学生は“顔出し”やドレスアップをせず、それぞれが選んだお面に大きめのサイズの白いTシャツで自らをアピール。

【映像】顔隠しミスコン主催者と考えるルッキズム問題

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 全く知らない料理名を想像だけで作ったらどんな料理ができるのか、といった企画や、1000円もらったら何して遊ぶか、といった、個性や価値観を引き出せる企画を半年以上にわたって実施。ファイナリスト7名の中から、初代グランプリとして姫子さんが選出された。

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 運営代表を務めた苺姫まりりんこと吉川仁菜さんは「見た目にはそんなに自信がないけれど、すごく良いものを持っている、それを誰かに見て欲しい、という思いを持っている人が活躍できる場には価値があると思う。外見という要素を一旦排除して、それ以外の個性を見られるようなイベントがあったら面白いんじゃないか」と企画の趣旨を話す。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「Netflixで『ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!』という、声だけで恋愛をするドラマが配信されていて、知人が出ているので注目している(笑)。ひょっとしたら外見よりも内面を表現することで人の魅力は十分に伝えられるということが若い世代に感覚として広がっているのではないか」と指摘。「“美しさとはこういうものである”という価値観がいつのまにか植え付けられていて、足元にあるそれぞれの価値が覆い隠されてしまっている、それが象徴的にミスコンで用いられていたということだと思う。そろそろ自分たちの美しさくらい自分たちで決めようよという、そういう提案をされているのかなと思った」と述べた。

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 一方、カンニング竹山は「イベントとしては面白いと思うが、例えば顔に傷があったとしても、身体が太っていたとしても、“なんかこの人素敵に生きているな”とか、“幸せそうだな”というのは出てくるのではないか。僕なんかがまさにそうだけど(笑)、全くイケメンでもなんでもない容姿で人生を送ってきたけれど、むしろをそれを武器にして、お笑いという商売をしているわけだ。こういう生き方の人だっている。そこはルッキズムだからダメだということではなく、総合的に考えてもいいのではないか。これからイベント自体も成熟していくと思うが、顔も出した上で“1000円どう使う”というのをやったほうが、人間味も出て面白いね、ということになるのではないか」と問題提起。

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 イタリア出身の精神科医、パントー・フランチェスコ氏も「オリジナリティのある企画で素晴らしいし、参加した方の感想を見ると、自信が付いたとか、自分の個性を見付けられたといったこともあったようだ。一方で、普段の生活ではお面を被って生活しているわけではないはずで、家では鏡の前で自分の姿を見ているはずだ。精神科の観点で言えば、まずは自分の見た目を受け入れた上で内面などの個性を出した方がいいのではないか。確かに今の社会ではルッキズムが過剰になり、容姿で判断しすぎてしまうこともあるが、ありのままの見た目を受け入れる努力も必要だと思う」と指摘した。

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 吉川さんは「容姿を否定するというよりは、容姿が出ているとどうしてもそこを見てしまうため、除外して見ることはできないか、という考えだった。そうした観点で考えたことがなかったので、面白い観点だと思った。勘違いしていただきたくないのは、現状のミスコンを批判したり、否定したりするつもりはないということだ。容姿が素敵な人たちがいることも、それが評価されることも構わない。ただ、全員が全員、容姿で判断されたいわけではないよね、ということで、外見で判断しないミスコンがあってもいいよね、と考えた」と説明。

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 また、ギャルユニット「ブラックダイアモンド」リーダーのあおちゃんぺは「そこまでして順位をつけるのかと思うし、普通のミスコンも見た目だけで判断しているわけじゃないと思う。綺麗になるには努力が必要だし、それが見た目に表れたり、内面の強さ、良さに繋がったりするのではないかと思うし、それも実力だとは思わないか。そもそも投票した人の中でその子が好みだと考える人が多かったというだけで、その子が本当にかわいいというわけではないかもしれない。そう考えると、このミスコンに出場できるのが女性だけでいいのか、ということも疑問だ」と述べた。

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これに吉川さんは「私たちも、順位付けはしたくないし、誰の性格が良くて、誰の性格が悪いというような差をつけたくはない。今回はみんなの共通の目標を形にする意味で1位を決めたがそれが目的ではない。もちろん、SNSでの人気投票になりかねないという反省もあるので、決め方も検討していく必要があると思っている。そして、私たちはルッキズムに晒されているのは女性だけではないと思っている。ただ、主催の3人が女性で、容姿でしんどい思いをしたということもあって今回は女性に限定したが、いずれは男女の垣根を超えてやっていけたらいいなと思っている」。

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 ジェンダー論や外見の社会学を研究している昭和大学准教授の須長史生氏は「昨今のミスコンへの批判を逆手に取って、外見以外でどうやって魅力的な女性が選べるだろうかというように考えた点は面白い。また、こういうものは試行錯誤なので、第一歩としてはとても評価できるかなと思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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