腰くらいまである長い髪を切っているのは、小学5年生の男の子・石田丞くん(11)。長さ60cmほどにもなる綺麗な髪は、3年半伸ばし続けたという。そこには、丞くんの“優しい想い”が詰まっていた。
Q. 髪を伸ばしている理由を教えてください。
「小児がんで髪が抜けちゃった人に渡すため。『男の子なのに髪が長い』と言われて嫌だったように、(逆に髪が抜けちゃった人にも)嫌な気持ちになってほしくなくて、またやろうと思った」(石田丞くん)
病気でウィッグを必要とする子どもたちに、髪の毛を無償で提供する「ヘアドネーション」。丞くんがヘアドネーションのために髪を伸ばしたのは、今回が2回目だ。
1回目は丞くんがまだ7歳のとき。髪を伸ばして寄付した男の子を知り、4歳のころから伸ばし始めた。当時も『病気の人に髪をあげたい』という想いから、大変な髪の手入れを欠かさずに行った。ただ、小学校に入学して初めて出会った友達にはびっくりされることもあったそうだ。
※丞くん(当時7歳)へのインタビュー
「女の子ってからかわれたりしていた」
Q. どう思いましたか?
「ちょっと嫌だった」
Q. 嫌になって髪を切ろうと思いませんでしたか?
「もうちょっとだって思って切らなかった」
最初のヘアドネーションから4年が経った今、再び長く伸ばした髪を切る理由について、丞くんはこう語る。
「(自分の髪が)誰に届くか分からないから直接はお礼を言ってもらえないけど、カードみたいなものをもらって、それがうれしかったのでもう1回伸ばした。(カードには)『あなたはヘアドネーションをしました』みたいなことが書いてあった」
「また誰かに喜んでほしい」――丞くんの優しい挑戦は、再び周りの人たちにも影響を与えた。そんな丞くんをずっと見守ってきたお母さんの石田えりさんも、ヘアドネーションのために伸ばした髪を切った。
息子の想いに、えりさんは「(幼い子が)“人のために”というのを言葉ではなく感覚で理解して行動に起こしてみるのがすごいと思った。“誰かのために”ということを親子でできる時間は貴重だなと。共感する気持ちを味わえるのがありがたいと思った」と話している。
興味をもった周りの友達も、髪を伸ばし始めた。1回目は女の子だけだったが、今回は男の子の友達も一緒に伸ばしたそうだ。
髪をとかしたり、結んだり……日常生活で大変なことも多い中、それでも丞くんは「自分の我慢が少しでも誰かの助けになれば」と語る。
「1回目にやったときに、同じように(『髪が長い』と)言われて自分が嫌だったから、髪が抜けちゃって(『髪が少ない』と)言われている人も嫌だろうなと思った。自分が嫌だから『切りたい』と思っちゃうけど、どちらにしろ切るわけだから、自分ともらったひとがうれしくなるならそのちょっとを我慢して、喜んでもらえたらいいな」
(『ABEMAヒルズ』より)
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