消毒用のナプキンにある器具をつけると、ナプキンに青い薬剤が付着されて出てくる。このナプキンでまな板を拭くと、どこが消毒されているのか、しっかりと確認できる。時間が立つと、青い色は自然と消滅。アメリカでは新型コロナの影響で消毒の重要性が高まっていて、これらの器具は一般の病院などで需要が見込まれている。
8年前、このアイディアを生み出したのは、当時19歳だったキャサリン・ジンさんだ。2014年、西アフリカではエボラ出血熱の流行によって、医療従事者が非常に高い割合で死亡した。エボラの感染力はとても強く、当時、エボラ出血熱の治療の現場では、医師らの感染率の高さが課題になっていた。
エボラ出血熱と闘う医療従事者を守るため、研究を始めたキャサリンさん。透明の液体が青く可視化されたことで、全体を余すことなく消毒できるようになった。ただ、エボラウイルスを死滅させるには、10分間は待たなければいけないことが判明。感染した医療従事者らは、しっかりと消毒が完了していない状態で防護服を脱いでしまい、ウイルスに触れていた。
そこで、ジンさんは、今度は消毒剤の効果が出るまで、青い色が残るよう、色が消える時間をコントロールすることに成功。防護服を安全に脱ぐタイミングが分かるようになったのだ。
「今、病原体が(アフリカなど)資源の少ない地域だけでなく、新型コロナによって全世界に影響を及ぼしているのを目の当たりにしています。そこで、私たちは液体の漂白剤だけでなく、アメリカの病院でより一般的に使用されている消毒用ワイプ向けに製品を広げました」(以下、キャサリン・ジンさん)
科学者としてのアイディアを次々に形にしてきたジンさん。小さい頃から、算数や科学が大好きだったが、周りには男子しかいなかったという。
「高校では、コンピュータサイエンスのクラスを受講しようとしましたが、指導カウンセラーから『いいえ、そのクラスは男子の方が優れているから、代わりにジャーナリズムのクラスを受講しないか』と言われました。(当時)私は何も言わず、カウンセラーの話を聴いてジャーナリズムの授業を受けました」
女子に科学は向いていないと言われ、好きな分野の勉強に取り組めなかった高校時代。しかし、進学したコロンビア大学でジンさんに転機が訪れる。
「科学を専攻するとは思ってもみませんでしたが、生物学とコンピュータサイエンスの2つを専攻することになりました。大学に本当に素晴らしい女性科学者のコミュニティがあったのです」
その後、ジンさんは、2人の男子学生と共同で会社を立ち上げた。当初は軽視されていると感じ、ぶつかることもあったが、今では良き仲間だという。
「相手をやりこめるのではなく、耳を傾けあうことで、男性も女性も成長できると感じています。男女不平等は、女性だけではなく男性の機会も失わせています」
女性科学者として、感染症と闘うため、さらに開発を進めるジンさん。次の世代の女性が、性別に関係なく、好きなことにチャレンジできる世の中になってほしいと話す。
「女の子が将来、何ができるのか。模範やアイディアの1つになることが、重要だと思っています。もし若い少女が、女性が会社を経営している姿や、女性のCEOを見れたなら、自分自身がそういう人になれるんだと想像ができて、全てが変わりますよね。ですから、私は科学者の女性として、目に見える形で、自分の経験やストーリを共有することが本当に大事だと確信しています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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