「東京の下水は日常的に河川に垂れ流し」区議が警鐘 水質汚濁で遷都を検討する世界の事例も
【映像】川に流れ出る“茶色く泡立った”下水の様子
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 今月8日、東京・大田区の蒲田駅から徒歩10分ほどにある呑川で、ボラなどの魚が大量に死んでいるとの通報が入った。その数およそ1000匹。蒲田に住んで70年になるという男性は「驚いた。つい最近までバーッと泳いでいた。それがこんなになるとは…何が原因でなっているかは知らないけど」と驚きを隠せない様子で語った。大田区と都の環境局がそれぞれ調査した結果、川の水から毒物は検出されず、水中の酸素濃度も問題はなかった。引き続き区は調査を進めていくという。

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 この問題について、東京の水環境に詳しい東京・港区議員の榎本茂氏は「酸素濃度の調べ方によっては計測する場所(表層・中層・低層のどこか)によって数値が異なる」としたうえで、測定した以外の場所は酸素が少なかったのではとも指摘。さらに大きな点にも着目する。

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「酸素の問題となかったら、東京の下水というのは機能不全に陥っていて、日常的に河川に流しちゃってる。何が流れてきているか、正直分からない」

 榎本氏によると、都内の大部分の下水処理は、降水量の増加に伴って処理しきれなくなった下水が雨水と共に河川や海域に流れる仕組みになっており「雨天時は下水は3ミリ以上降ったらギブアップ。下水処理場に行くまでに下水管には穴がいっぱい開いていて、だいたい500から700か所くらいといわれている。その穴から漏れるようにできている」とも。

 建物の増加に伴ってトイレも増えたにもかかわらず、下水処理場は増えていないというのが、榎本氏の指摘だ。その状況について榎本氏は「国会議事堂でジャーっとやると、2時間で芝浦の下水処理場に来て、雨降ってるときだったら、そのまま総理大臣の出したものは塩素だけ混ぜてドンと(東京湾に)出ちゃう。下水道問題というのは、ちゃんと向き合わないといけない。下水処理は地方の方が進んでいる」と警鐘を鳴らした。ボラの大量死は東京のトイレ、下水処理問題の不都合な真実の表れなのかもしれない。

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 事実、下水処理は地方よりも都市部の方が深刻で、東京・六本木周辺の下水管の直径は1メートル。ある50階建てマンションの下水管は直径40センチメートル。これらのサイズでは、少しの雨で下水管がいっぱいになってしまうということだ。榎本氏によると、下水処理場は水質汚濁防止法の対象になっておらず、そのことも問題だという。

 時事YouTuberのたかまつななは「SDGsの中には『水の豊かさを守ろう』というのもある。SDGs的な持続可能な社会を残していくためには、最終的には規制をしていくという方向になる。しっかりと法整備をして、罰則規定を企業に課すなどして進めていくしかない。世界的に見れば、首都を変えようという国も多い。現在は日本の人口の10分の一が東京に住んでいる。日本も地方分権を進めて行かないと、下水の問題もそうだし、人が多すぎて地盤沈下したり、ごみを出し過ぎて二酸化炭素の排出量が多くなるなどの問題もある。どれくらいの地域にどれくらいの人が住むかというのを考えていかなければダメ」と私見を述べた。

 すると、たかまつの話を受けた文筆家で評論家の古谷経衡氏は「インドネシアがそう。ジャカルタの人口が増えすぎて、大気汚染や渋滞、水質汚染がすごくて、ボルネオの方に遷都しようという計画がある。日本は水と安全はタダというのが何となくある。我々は下水がどこに行くのかと普段は意識していないが、世界では下水や水質汚濁で首都まで変えてしまおうという問題もある。もう少し考えないと」と続けた。(ABEMAABEMA的ニュースショー』)

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